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1-1-3-10 地上に生きる人----クラス4だった人

ステラはシャープロから言われた。

「私はここで泣いていますが、民衆は実際どうなのでしょうか?」


「声、聞きたいわ」

ステラは答えた。


「たとえそれが、モンシュの目をくり抜いた人々だったとしても?」

シャープロは言う。


モンシュはすぐに答えた。

「私も聞いてみたい。

聞かなければいけないと思う。

私の目はゴミのように捨てられた。

あの時、私はアイニーに言った。

助けに来ないでくれてありがとう。

私はそう言った。


クラス4の人々も今ではどうなっているか分からない。

私は彼らが私の目をくり抜いたことを許さない。

でも、私と同じように、目で私を見る人がいる。

私は見捨てることができない。

私の目をくり抜いたクラス4の友達。

友達の目に見える、私の目はくり抜かれても良いみたいだ。

私から見る友達は目をくり抜くような友達ではない。

私は、まだ友達を知らないから、もっと知らないといけないと思う。

目の前にいる私の姿を見る友達のことを」


ステラは言った。

「苦しくて悲しい出来事だった。

でも、私も気になっていたの」


シャープロは言う。

「ぼくはこう思います。

はるか昔の記憶がある。

ぼくは人が人を分けることを肯定していた。

人は生まれた時から分けられると信じていた。

信じる心を学園で育んだ。

だからこそ、ぼくは知らなかった。

目をくり抜かれたら、今度は目をくり抜き返したいという憎しみがあるのではないかと思う心があった。

しかし、モンシュは違うと知った。

ぼくはクラス4の生徒たちは同じ人間ではないと思っていた。

だから、彼らを守るわけでもない。

はるか昔の出来事。

でも、胸が熱くなる。

何か気持ちが言い表せない気分になる。

受け入れて良いはずのことなのに……難しい」


ステラは言った。

「あの時はみんな分からなかった。

今でも分からないと思う。

モンシュの言っていることが何となく分かると思う。

はるか昔、学園の生徒はクラス分けされていた。

それは階級によるものだったかもしれない。

階級で分ける心を育んだ。

だから奥深くが変わらない。

とにかく、見てみましょう」 


ボードに映像が写された。

クラス4にいた生徒の1人。

彼らの中でモンシュの目をくり抜いた人が出てくる。

名前はリーカ・モンバーラーという。


何もない部屋にいた。

座り込み、体を震わせていた。

何を置いても時々地震が起こり、壊れてしまう。

外からは冷たい風が入ってくる。


これは、モンバーラーの心の声である。


「寒いなあ。

今日も1日が終わる。

何でまたこんな所に生まれてきたんだろう。

以前生きていた世界よりも長く生きている。

私が生きている間にトクーコ先生に殺された生徒たちを何人も見た。

友達は目の色が変わっていく。

私は、段々とトクーコ先生を好きになり従順になる。

あの時、体が反応するようになったから、好きになったのだろうと思う。

分からないところを聞いた。

トクーコ先生は私の首を切った。

私は、死んでしまった。 

分からないことを聞いた私が良くなかった。


そして目が覚めるとこの世界にいた。

何者かが、私の前の世界の記憶を甦らせてくれたけど、全然嬉しくない。

あのクラス5の子が、私たちのクラスに入ってこなければ、私たちの生活はもっと良くなっていたかもしれない。

あの子のせいだ。

目をくり抜くだけじゃ足りなかった。

汚いから近づけなかった。

あれじゃダメだったんだ。

あとの世界は印象に残らなかった。

幸せな世界だったような気がする。

他にも私はこんな世界にいた。

私は、目が見えにくいから目が欲しいと声をかけたら本当に相手が目をくり抜く気持ち悪い出来事のあった世界があった。

あれは本当に気持ち悪い出来事だ。

親切心とはいえ、衛生面で不安のある眼球をもらいたいとは思わないだろう。


幸せなことより、嫌なことの方が残ってしまう。

今幸せじゃないのに、幸せな世界に生きていた自分を見せられても自分が惨めなだけだ。


私は変わらない。

いつ生活が壊されるか分からない戦争は終わらない。

いつも飢えとの戦い。

飢えても死なないからタチが悪い。

死にたいな……。

私、悪いことはほとんどしていないのに……」


モンバーラーは外を見る。

破壊された家々が並ぶ。

そして、また言う。

「寒いなあ……」


シャープロは手を挙げた。

「ちょっと良いですか」


ステラは言う。

「良いよ」


シャープロは言う。

「ぼくは何か勘違いをしていたようなんです。

しかしその勘違いの正体がまだ分からない。

でも、これだけは分かる。

あの子はもう救われないと思います。

救われなくて当然です」


ステラは言う。

「それが一番の意見?」


シャープロは言う。

「そうです」


ステラは言う。

「私は私を変えることはできない。

私の行動は少しずつ変えられる。

私の心は少しずつ変えられる」


モンシュは言う。

「私もいいですか?」


ステラは言う。

「はい。いいよ」


モンシュは話す。

「シャープロ。

なぜそう決めつけてしまうの?

何か勘違いをしているとすれば何かと決めつけてしまうところの正体を知ることが大切なのではないかな。


決めることは悪いことではないけれど、

決めつけてしまうのは前へ進むことをためらわせる」


シャープロは言う。

「仕方ないじゃないか……仕方ないじゃないか」


モンシュは言う。

「ごめんなさい。

私もシャープロの考えを尊重していなかった。

私の手の届かないところにモンバーラーが生きている。

それを忘れないようにしたい」


シャープロは言う。

「そうだね。そして、いつかモンバーラーが幸せになる時もあるとは思いたいよ」


ステラは言う。

「クラス4にはたくさんの生徒がいた。

まだ全然知らない人たち。

ここからは何もできないけれど、せめて知ることにしましょう。

これから知っていきましょう」


そして話は続いていく。

忘れるかもしれないので、書いておきます。

リーカ・モンバーラー

バラモン→乞眼のバラモン


シャープロ→舎利弗

モンシュ→文殊


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