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ステラの世界の歴史  作者: 神曲朗読好き
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1-1-3-8 地上の戦争(兵士レオンと偉い人の話)

世界には多くの人がいる。

異なる文化、思想、社会、言語、人種など多くの異なることがある。


それぞれの生活を営んでいた。

その世界を信じることは難しい。


そしてこの世界のはるか上には学園が浮いている。

学園は太陽の力を支配しようと利用して、空の上に浮いている。

学園から見える景色は青い空、白い雲、そして白銀、緑色の山々、青色の海、茶色、黄土色の砂漠などである。


もっと細かく見ると、人々が生活する地域が数多くある。

ステラは地上の様子を見ることができる場所で地上を見ていた。


ステラは言う。

「今、地上に降りられたら降りていきたい」


桜は言う。

「私たちは見ているだけなんだよね」


「桜……」


桜も地上を見る。


桜は地上を見ることができず、目を押さえた。


ステラは言う。

「すぐに終わらない。

早く終わってほしい。

いつ終わるんだろう。

どうして始まったんだろう。

どうして争いを始めた人は分かってくれないんだろう。

どうして始めてしまうんだろう」


桜は言う。

「この世界に死はないかもしれない。

でも、敢えて言う。

地上で何百万人が死んでいる。

体が粉砕される。

意識は無くなる。

誰も望んでいない。


痛みはいつしか消えていく。

何十年もすると体は若々しく健康になる。

そして痛みまで忘れてしまう。

残酷だよ。

私が生きていた、以前の世界では人は死んだら生き返らない。

でも、生き返らないんじゃなかった。

死んだ人たちはみんな、この世界に転生して生きていたんだ。

私がこの世界を初めて見た時、特別な人はいなかった。

そう思っていただけだった。

私がワタルに会った時、ワタルは世界の中で特別な人になっていた。

ワタルも自分が特別な人間だと信じていた。

ステラに会って世界が変わった。

ワタルは元いた世界で世界が崩壊するのを見た。

ワタルはハジュンを倒すことを決めた。

ラージュとして生きることを決めた。

どれだけの時間が過ぎたか分からない。

ワタルが生み出した、ハジュンとか、ハジュンの生み出した神官とかそうした特別な人間はいなくなった。

そういう考えが無くなったようだ。


でも人々は、この世界で戦争を繰り返している。


あの世界は無くなった。

この世界は無くならない。

みんな痛みを忘れない。

誰も痛みを忘れない」


ステラは言う。

「地上で戦っている兵士の1人は戦いを望んでいるわけではない。私には彼の声が聞こえてくる」


桜は言う。

「ああ、私にも聞こえる」


兵士の1人はレオンという。


レオンは言う。

「今日の天気は晴れ。

空には雲ひとつ無い。

目の前にいるのは友の死体と敵の死体がたくさん。


また1人死んだ。

死んだと言っても、再生するからまた会える。

生きすぎて疲れるくらい生きているのに、何で戦わなきゃいけないんだ。


ーー戦わないと私たちの生活が終わる--

そう家族が言っていた。

その通りだ。俺たちは俺たちの生活を守るために戦わないといけない。


ーーー戦わないと敵に力を奪われるーーー

偉い人はそう言っていた。

考えてみたら俺と偉い人に何の関係がある?


なぜ戦争なんだか分からないから納得できない。


敵の頭をぶっ壊しても、いつしか再生するから変わらない。

俺の頭だって、ぶっ壊れても気を失って、目が覚めると、この世のものとは思えない酷い痛みにうなされるだけでいつか再生する。それを何度も何度も繰り返した。いつまで経っても終わらない。


とにかく殺されそうだから殺すだけだ。

1番味方を殺している偉い人に銃を向けるとみんなから撃たれるから意味が分からない。


俺はどうすればいいか分からないが、敵を俺たちの味方にするか、殺すしかないみたいだ。


あのよく分からない破壊力を持った兵器をこっちも相手も持っていても、持っていなくても分かるんだ。


敵とは分かり合えないってことが分かるんだ。


だがなぜ戦争なんだ?


そしたら殺すしかないじゃないか!

いい加減やめてくれよと何百回も何千回も何万回も思ったが、終わらないんだよ。

俺は今の家族と別れたくないから戦うだけだ。死んだら離れ離れだけどな。

ああ、また敵だ。

こっちへ来い。

殺してやる」


偉い人は言う。

「またあいつらがやって来る。

あいつらは何をしたら静かになるんだ。

せっかく同じ力を付けたのに無駄に使わせやがって、何をやりたいんだあいつらは。


まだ終わらないのか?

まだ足りないのか?

まだ分からないのか?


人はたくさん生まれるんだ。

量産体制を取っている。

駒はたくさんあるんだ。


あいつらは近づいて変化を求める。

黙っていたら強引に近づいてきて何様のつもりなんだ?

私はあいつらのことを信用してないんだ。

出来損ないで、若い連中など信用できない。

若者は黙って従っていればいいんだ。


私だって、若い時はそうやってきたんだ。


これからも変化は必要だと思う。

変化に対応することが大事だと思う。


あいつらが信用に値するくらい頑張れば少しは良い方向に変わるだろうな。

だから教えてあげよう。

私は頑張って戦おう。

そうでなければ国を守るために、信用するに値しない若者連中に、力を奪われてしまうだろう」


桜は言う。

「偉い人ってよく考えたら、テレビの特集でやっていた新入社員の心と体を壊してしまうような、仕事のできるおじさんみたい。

だからと言って、当たり前のことだけど、おじさんは殺し合ったりなんかしない。難しいけど、本当は単純なことなのかもしれない。こういう景色を何度も見せられている。その度に思うんだ。何で私が生きていた世界の人たちが生きているうちに私は気づけなかったんだろう。おじさんもおじさんの思う信用に値しない人たちも話し合えば良かったんじゃん。でも分かり合えないよね。そんな単純じゃないものね」


ステラは言う。

「いいえ、私も単純だと思う」


桜は言う。

「ラージュとかはどう思うんだろう?」


ステラは言う。

「次の授業はそうした話にしようかな」

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