1-1-2-65 捨男
捨男は彼を連れてきた。捨男は前耳の首を吊った。首を吊った。
疑似的な死。繰り返される前耳の生。
何度繰り返しても何一つ変えられない。
それが前耳の命! それこそが命!
満足にいかない生。前耳には何もできない。
そんな前耳を不満と憤りが支配する。
不満があるなら誰に言う? 憤りがあるなら誰に言う?
前耳が悪いと誰かが言う。それを誰かがあなたに言う。
そんな誰かを恨んだとして何かが変わるわけでもない。
そんな誰かを信じても何かが変わるわけでもない。
魔王にとってそれは美味い。
「さあ人生を味わってくれ。二度と味わえない自分の人生だ」
金があろうと無かろうと そんなの知ったことではない。
結果を出そうと出すまいと そんなの知ったことではない。
障害となるものは多い。
乗り越えなければならないものは多い。
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捨男は死会と話している。
「捨男先生!」
「死会くん。君は異世界で頑張ったじゃないか! 仇討ちのために生き、見事に勝ってくれた」
「はい。あの者たちを殺し尽くして良かったと思っています。何者かに人生を左右される人々で可哀想でしたが……」
「その通り、可哀想だ。私たちは自由だ。自由を侵害する人々は殺さなければならない。例え民主主義の弊害を生み出すであろう人々とも協力して、私たちが手にする自由の敵は殺さなければならない」
「はい。土下座して頼み込みました。あの頃あなたはいらっしゃらなかった。勢力を広げるあの者たちをどう殺すか悩みました。だが、根本的に彼らには力が無かった。力が無かったことが幸いし、情報、金、世論、交通、食を支配する私たちが勝利しました」
「死会くん。 それは全てハジュン様の御力のおかげだ。 ハジュン様は流れを生み出し続ける方だ。そして今、この世界でまたもう一つの流れができている」
「ステラたちのことですか?」
「そうではない。いい流れだ。ステラたちは何も変えられない。将来私たちの仲間になる存在だ。何かを変えようとしても何も変えられない世界だ。決して何も変えられない。変わったように見えても、何も変えられない。だが、油断してはいけないよ。私たちの転生はまた、殺し尽くした人々の転生も意味するかもしれないだろう?」
「そうですね。彼らには何かを変えられるでしょうか?」
「いや、無理だろう。なぜならそんな転生を繰り返しているからね。前耳も変わってないじゃないか。こんな生が繰り返されるのは悪くないと思う。それじゃあ私は行くよ」
「はい。先生」
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努力が実らないことや、不幸を書きたいわけではないです。詳しくなくても歴史について少し調べて書いていこうと思います。正確さも何もないけど書いていこう。
最近知った1945年から1990年までで自分が印象に残った言葉の一つは第2バチカン公会議でのテーマ「アジョルナメント(現代化)」。




