1-1-1-15 緩やかに進める
クラス0の生徒たちは、ステラを奇異な目で見ている。
ステラにとってそれは気にならないことだった。
火にかけられたり、殴られるクラス5の生徒のほうが心配だった。
そうかといって、クラス5の生徒のところへ行くと、このクラスの生徒たちから何をされるか分からない。私を見た人はみんな首を斬られるかもしれない。
クラス5の生徒の安全が保障できない。
制度の改革を促すことで解放されるものがいる。しかし、その制度の改革で犠牲になる弱者もいる。
全ての強者が、弱者になるのではない。
全ての弱者が平等にさらなる弱者を奴隷にする。
それは多くの世界で経験されてきたことである。
ステラは、多くの魔法を使った。
それは、クラス0の生徒たちや、もっと言えば教師たちの見たことの無い魔法である。
そのためか教師シギは、
「あなたが魔法を使えないのは分かりました」
魔法を使えないのは、シギやクラス0の生徒たちである。
知らないから使えない。
至高の存在である自分たちの知らない魔法は無いというわけでステラの魔法は、教師たちから見て魔法ではないと評価されたのである。
そんなある日、ステラは、ある女子生徒に声をかけられた。
その女子生徒とステラは教室で2人になっていた。
「こんにちは、ステラさん。私はゴウタミ。呼び捨てでいいわ」
ステラは振り向いた。
「こんにちは、ゴウタミ。私も呼び捨てでいいよ」
「それなら……ステラ、あなたに聞きたいことがあって、どうしてこの学園を去らないの? もしかしたら殺されるかもしれないのに」
「私、大丈夫だと思う。ゴウタミは、そんな私に何か用事?」
「ええ、あなたに頼みたいことがあってね」
「何かしら?」
「封印解除厳禁魔物の討伐なの。どうしたって構わない。できるかしら?」




