1-1-2-48 異世界文明崩壊学
魔男王の話は続く。
---------------
人々には余裕が無く、君たちは余裕を持て余している。その特権を利用したまえ。
余裕が無く、労働と布施と祈りを永遠に捧げ続ける人々がいる。それらの人々を救うと言って、君たちは私と戦おうとしているのだ。だが現実は変わらない。どの世界であろうと、私が喜ぶことは変わりないが、少数の人が喜ぶ世界は多くとも、多くの人間が喜ぶ世界は存在しない。人々はそれを神や悪魔のせいにしたり、運命のせいにしたりする。人間が人間を忘れる。
虚空といい、この牢獄のような部屋といい、君たちは常に人とは離れたどこか別の場所にいる。
君たちは何をしているんだ?
人間は人間だ。私はボンたちとともに、楽しみにしておこう。
異世界の人類は、滅んでしまった。
人間が人間を滅ぼそうとすることは多い。
君たちも私たちも人々が傷つくのを見ているだけだ。
2015年9月20日もそうであった。
戦争は2009年9月1日からヨーロッパ・アメリカ同盟対中国対ロシアの戦いが地球上の至るところで起こっていた。人口30万人以上の街で、2〜3日で10人〜30人の負傷者が出ていた。
日本国内では政権交代後の「国民のいかなる請求も全て承認するための政府」が築かれた。
2012年1月、中国で初めて人工知能を利用した兵器が日本へと向かった。日本では、迎撃のために死者が3人出た。
国内が騒然とする中で、日本政府は何をしたらいいのか国民に教えてもらおうとしたが、国民は黙っていた。
そしてこう言った。
「責任感も何も無い政治家を総理大臣にした責任感の無い人間は誰だ?」そして「それは……俺たちだ」と。
国民は絶望していた。そこへ現れたのがマッドサイエンティストになる男だ。
彼は、2012年12月に総理大臣となった。マッドサイエンティストは中国に頭を下げ続けた。
そして2015年9月20日午前に核兵器を中国に向けて放った。
報復が行われて、9月20日の午後には地球は焼け野原になっていた。
これが2009年9月1日〜2015年9月20日に起こった異世界文明の崩壊までの戦争だ。
彼らの話を聞いてみよう。
--------------------
映像が変わる。
椅子に前のめりに座るマッドサイエンティストの1人がいる。
話を始めた。何者かの質問に答えるようにして彼は言った。
「人は何者かに従う生き物なんです。何かに支配されないと生きていけないんです。誰かに従いたくないのも人間だからね。私は何でも良いから何かに従うふりをしたんです。みんなそれに乗ってくれました。何でなのかなんて分かりません。私は自分の意思に従っただけです。彼らは私の意思に従っただけです。率直に言って、私が彼らを支配していた。それだけなんです。上手くいきましたよ。これで勝てる。そう思ってスイッチを押させたんですがね……みんな平和になると思っていたら、突然みんな死んじゃった。訳がわからないですよ。誰が失敗の犯人なんだと言ったら、それは、分かりません。みんな死ぬと思ってなかったんです。私も死ぬことを意識してません。いや、誰かが死ぬとは思っていました。しかし、私が死ぬとは……思っていなかった。人間だから、思っていたことと違うことも起こるんですよ」
そして別の映像が流される。
真正面から映像の向こうを見つめる別のマッドサイエンティストの1人だった。
「私は神の審判を知りました。神は審判を下された。私たちを救われたと思い、私は慢心を起こしていたのです。私たちにここへ来るように下されたのは仕方がありません。私たちは救われたのでしょうか?いいえ、分かりません。しかし私は信じているのです。例え、魂の抜け殻となった我が身が真っ黒になろうとも、私はまた、美しい神の創られた似姿で生まれてくると……そうしてくださると信じて私は祈りを捧げているのです」
----------
これは死後の映像ではない。何人もいるこの世界への転生者の証言だ。
人間は支配される生き物だ。従う生き物だ。
私はそこに干渉しない。
今も人々は何かに従って生きている。
君たちは3000年間、傍観者だった。今も傍観者だ。
そこは異世界の人々の信じる神という存在もまた変えられないようだ。
さあ続きはまた今度にしよう。
書きたいことがよく分からなくても書いてみたいことがある。書いていることがよく分からないけど、書き続けよう。
20万字いけるかな。




