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1-1-1-12 フトとの出会い

ワタルは、その時のことを回想する。

「仏陀より高い地位を置くことは、天魔として当然のことだ。それにしても俺は、あのフトとかいう正義漢が気に入らなかった。フトという人間の万人平等論は、差別を肯定する社会に流れる特有の心地悪いが、幸せになるためには受け入れるしかない空気を壊して、世の中を不幸にするだろう。いつかみんなが平等という考え方は人々の生活を堕落させ、破壊するんだ」


神官の地位には様々ある。

その中に仏陀という地位があった。

仏陀は上位5つの位の中で2番目に高い位だ。

最高位はハジュン。


仏陀の地位に立つものはこの世界で20人だ。

そのある1人にフトという神官になったものがいた。

フトは学園の生徒でもあり、クラス1にいた。クラス0を拒否した変わり者と思われていた。

フトは、学園の差別撤廃を叫んだが受け入れられず、森の中に入ったと言われている。


それは、ステラが地上に出る1年前のことであった。


ステラは、その日学園に行くのが辛かった。

歩いていた方向を変えて、街の外へと出た。


そこにメリーがいた。

「ねぇ、一緒に歩く?」


メリーがワタルと別行動で街の外へ出るというのは、珍しくないようだ。


「ステラは、学園は苦手?」


「はい。苦手です。私には合わなかったみたいです」


「嫌な思いさせてごめんね。ステラは、街の外のほうが合っているみたいだから、私の知り合いに会いに行こうか?」


「はい」


ステラは静かな森へと入っていった。


森の中にポッカリと空いた広い野原がある。

そこに1つの家があった。ボロボロの屋根に少し隙間もある。雨風が防げそうではない。

だが、何か温かみのある雰囲気が周囲に出ており、花々が美しく咲いていた。

「ここだよ」


ステラは近づいていった。


「ああ、メリーか。久しぶりだね。あれからワタル君はどうしているのかな?」


「彼は相変わらずです」


「そうかよく分かった」


フトは、椅子に座って、目を瞑っている。


「あなたに紹介したい人がいるんだけど」


「そうなのか。私はもう目が見えなくなってしまった。そば近くへ来てくれないか?」


「はい」

ステラもそばへと近づいていった。


「はじめまして、ステラです」


フトはステラの声のする方を見た。


「ステラさん。君の手に触れてもいいかな?」


手に触れるとフトは涙を流した。


「フト、あなたはどうして泣いているの?」


メリーは、フトに聞いた。


フトは笑顔になった。


「ああ、メリー。君は、人間の寿命が君より遥かに短いことを知っているよね」


「まあ、そうですね」


ステラはメリーが、長生きであることを知り疑問に思ったが、ひとまずフトの話を聞くことにした。


「この手は苦しみを知る手だ。ぼくは、幾千幾万の手に触れてきた。それは、もちろん自分の過去の姿も知ってのことだ。だが、これほどの苦しみを知る人の手を触ったのは、今日が初めてだ。ぼくは、もう長くない。もし仙人がいたなら、こうしていただろう。優れた人の前では、こうなるものなんだ……」


メリーは、頷いた。


「あなたには、過去が見えるのですよね。でも、まさかもう長くないなんて、ここへ案内したのは、ここで修行させるためだったのに……もうそれはできないんですね」


フトは怪訝な顔をした。

「メリー……君はきっと彼女の元へとたどり着く。その前にメリーはきっと、ステラさんに犯してはならない罪を積んでしまうだろう。それは君がまだステラを仲間だと思っていないから起こることだよ。戦いの後は、仲間だと思って生きていくんだ。みんなが仲良く共に生き抜ける世界を目指していかなければ、私たちは負けてしまうだろう。1000億などといった異なる世界が存在するかもしれない世界の全ての命を救い、その何百億、何千億、いやそれを遥かに超えた数の世界をすり潰した粒をそれぞれの世界に一粒ずつ置いていくような時を経た時間をかけてより良い世界をつくることができた人であっても、ただこの世界では敗北に終わる。それを忘れてはいけないよ」


メリーは再び頷いた。


「それは、気をつけないとですね」


ステラはそれを聞いていたがよく分からなかった。


フトは、手を離した。


「あとステラさん」


「はい」


「学園の生徒に対して、怖いとか思ってはいけないよ。もう一度人として生きることができるように、自分を信じて、学園に通ってくれないだろうか。それは未来のことだから今はいいけれどね」


ステラは、自分の心の動きで、学校を休んだ。


もっと休みたかった。

もう行きたくなかった。


初めて会うこのフトという人間。

彼の言葉にステラは

「フトさんの言っていることは難しいですが、嬉しかったです。まだどうなるか分かりませんが、通ってみたいと思います」


こうしてステラのフトとの出会いは終わった。

それから数日後のことだという。

フトは静かに眠った。


ステラは誓った。

「私は迷わずに進んでいこう。今あるこの学園に平等を取り戻す」

プロットも何も無いけど、とにかく書いていこう。

犯してはいけない罪を積むというのについて書き加えました。


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