007 新生児
小さな小さなご遺体が、私の目の前にやって来た──
この子はこの世界に生まれて、やり残したことなんて考える間もなく亡くなってしまった。
(ご両親は授かった命を喪ってしまい、あなたに申し訳ないと思っているわよ)
「あぁ、う~~」
言葉が話せる訳でもなければ、名前すらないこの子を、私は抱きしめた。
(……赤ちゃん。私も生きていたら、あなたのように、かわいい子を産んでいたのかな?)
小さな小さな魂を導くように話しかける。
一度お空に帰って、もう一度生まれかわっておいで。次に生まれてきたときは、色々素敵な時を刻んでいこうね。
赤ちゃんは、私の顔をじっと見つめ──
「きゃっ、きゃっ!」
喜んでいるように感じたのは、私のエゴかも知れないけれど、それでも、そんな純粋な声で笑ってくれたら……。
(……あら? 涙が出てきたわ)
私の涙を見た赤ちゃんは、大きな声で泣き始めた。
(こんなに元気に泣けるんだよって、お父さん、お母さんに届くといいね)
お腹の中から広い世界を知った新生児。
嬉しそうな声をあげていた。しかし、そろそろ正しい道を歩んで行かなくてはならない。
(この光輝く道を真っ直ぐに進んでいくんだよ。後ろを振り向かず真っ直ぐに進んで行くんだよ)
小さな小さな魂に語りかける。
柔らかな光が、赤ちゃんを優しく包み込む。
(さぁ、生まれ変わっておいで)