表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
輪廻の扉 ~看護師千代の物語~    作者: ひな月雨音・菜須よつ葉
6/12

006 花嫁

「これからだったんです。皆に祝福されて。余命宣告された私を、大切にしますって……」



 花嫁衣装のまま運ばれてきた女性は、私の前で泣き崩れた。



(医師の余命宣告はあくまでも目安。それよりも長く生きていく方もいらっしゃるし、急に進行してしまう方もいらっしゃるのが現状なのよ)



 花嫁にゆっくり話しかける。



「……私が最期に見たもの、何だと思います?」


(皆さんの涙かしら?)



 顔を左右に振ると、少しだけ瞳に優しさを宿し、こう答えた。



「それは……あの人の笑顔です」



 女性が亡くなることは分かっていたはずの男性は、この世の最期に自分の笑顔を見せるなんて、心が張り裂けそうな思いだっただろう。



(素敵な男性に愛されたわね。彼の優しさに包まれて、光の導く道を真っ直ぐに進んで行きなさい)



 一歩踏み出した女性は、最後にこんなことを聞いてきた。



「私……生まれ変わったら、またあの人に出逢えるかしら?」



 前世の記憶を持ったまま生まれ変わることはないが、個人的には、そうなってもらいたいと思い……。



(ええ。きっと)



 その言葉を聞いた女性は笑顔で一礼すると、光の中へと姿を消した──



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ