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002 回想2
どうやらここはオペ室であるらしい──
断片的に聴こえてくる会話の内容は、看護師の私には決してよくないものだと理解できた。
「数値が上がってこないな」
「輸液全開」
聞こえてくるのは、生命の危機を感じさせるものばかり。
(あぁ……私、死ぬのね。まだまだしたいこと……たくさんあったのになぁ)
この世への未練を思い、涙が一滴零れた直後──
「心肺停止です」
電気ショックを与えられている自分が見える。
生命維持装置のモニターからは、ピーと亡くなった事を知らせる音がオペ室に響いた。
(……私なら、私のことを、助けられたのかな?)
“全ての人を助けたい”──
その想いと志を胸に、看護師として歩み始めた衛藤千代は、肉体から離れた。
そして──
強すぎるその念は、彼女をこの地に、縛り付けた。