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001 回想1
看護師国家試験に合格して憧れの看護師になれることに仲間と喜びあった。夢にまで見た白衣に身を包み新人看護師として勉強の日々が始まった。
研修のそれとは全てが違い、現場での対応は、教科書に書かれていないことでいっぱいだ。
毎日が慌ただしく、でも確実に看護師としての道を歩いていた。少しずつできることが増え先輩看護師に任せてもらえる処置が増えたりしてきた。
「衛藤さん。おはよう」
「千代ちゃん、これお食べ」
患者さんからも、親しみをもって接していただけるまでになったある日の事。
指導看護師付きの研修期間が過ぎ、夜勤も一人前になってきた夜勤明けのいつもの帰り道で……。
猛スピードで走り去る一台の赤い車を、私は薄れゆく意識の中、見つめていた──