プロローグ——強すぎる従妹
チュートリアルボス。
この単語を聞いた人が思い浮かべるボスは、大きく分けて二つある。
まずは、誰でも倒せる最初のボス。
非常に弱く、初心者でも絶対に倒せる『最初の達成感』のためのボスである。
文字通り、操作説明のための踏み台ボス。これがよく知られるチュートリアルボスだ。
もう一つは……所謂『洗礼』と呼ばれる存在。
これは、操作説明の終わった後に、滅茶苦茶強いボスと交戦させて、『このゲームはいずれこういう、今は全く敵わないボスとも戦わなければならない』と釘を刺すような、ちょっと制作者の意地の悪さが垣間見えるようなボスのこと。
当然『負けイベント』と呼ばれるものであり、一度ゲームオーバーになってようやくチュートリアル終了となる。
こちらは言うまでもなく『最初の絶望感』を受けるためのボスである。
そのチュートリアルボスが、今ユウトの目の前で光の粒になって消えた。
消えた巨体の前で佇むのは、獣系亜人という種族の女性。
手足はすらっと長く、白いショートヘアから上に動物のような耳が特徴的で、何かの動物系の亜人であることが伺える。
ショートパンツから伸びた長い脚はブーツを履いており、背中から見ても存在が分かるほどの大きな胸も含めて大人の色気を醸し出している。
今、圧倒的な力でチュートリアルでは絶対に倒せない洗礼ボスを倒した美女が、ユウトに振り返り破顔する。
「ユウ兄ぃ! 私、倒せた!」
その大人びた容姿と不釣り合いなほど無邪気な笑顔、そしてあまりにも耳に馴染んだ自分の呼び名。
ユウトは自分と同じ方法でゲーム世界に転生してきたであろう、幼なじみ同然の女の子であるエリの転生体を見上げながら心の中で呟く。
――僕の従妹、強すぎるし、いろいろとデカい……。
本作は仲の良い従兄妹二人が異世界で逆身長差になってしまう、異世界転生ファンタジーの予定です! お色気多め予定!
もし続きが気になると少しでも思っていただけましたら、是非是非ブックマークしていってくださいませ!