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勇者の従者は泣き虫アサシン  作者: SHO-DA
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勇者の従者は泣き虫アサシン 序文

拙作「勇者の従者は秘密のアサシン」の第二部にして北方篇です。

実は、本編のみで独立した作品として、某小説大賞に投稿しようとしていたのですが、けっこう笑える諸事情により・・・いや、短に作者が未熟ってことなんですがね・・・断念しました。

しかしながら、、第一部よりもテンポが速く、かつ主要キャラの動きがメリハリがきいていて、執筆途中ながら、自分としては気持ちよくかけております。ぜひ最後までお付き合いください。

なお、前作にあたる「勇者の従者は秘密のアサシン」(完結)も、「小説を読もう」で掲載中ですので、興味のある方はぜひご一読ください。

 かつて、人族が、他種族と覇権を争っていた時代・・・。

 本来、肉体的に劣弱で、数的にもそう多くはない人族は、覇権以前に生存そのものが脅かされていた。心身ともに虚弱な人族には「知力」や「技術」、「多様性」という種族的な特性があったが、それをいかす余裕もないまま弱小種族として消え去るはずであった。

 しかし、人族に、大いなる存在が出現した。勇者である。 

 

 勇者出現以前と以後では、人族は種族的に変質したと言ってもいい。

 ただ一人の勇者が、時に屈強な魔王と戦い、時に無数の大軍を食い止める。その様を見た人族は、勇者に声援を送り、更に勇者を助けるべく自ら武器を取り、ついには自ら勇者たらんと心身を鍛え・・・いつしかその「知力」を磨いて魔術を、その「技術」で開発した武具を、その「多様性」を発展させて文明を手に入れた。それは勇者の「勇気」を手に入れ、失敗を恐れず正しく前進した人族の成長。挑戦を続けた人族の勝利。

 いつしか勇者を中心に結束を始めた人族は、多くの種族・・・亜人と言われる・・・に打ち勝ち、覇権を手にした。


 更に時が過ぎた。人族は、いつしか支配を当然のものとし、他種族を蔑視するようになる一方、手に入れた果実を失なうことを恐れるようになった。発展した魔術や科学、文明は巨大な産業社会を成立させ、戦いの規模を大きく、組織的にしていったが・・・。

 いつしか戦場に勇者は不要になった。

 むしろ、清算なき戦いを行う時代遅れの愚者となった。

 そして、人族から「勇気」が失われていった。

 勇気なき「知力」は打算となり、勇気なき「技術」は模倣に終わり、勇気なき「多様性」は不和を生み・・・人族は挑戦を、前進を、発展を止めた。


 今から、30年ほど前、人族に従属していた亜人がついに一斉に蜂起した。彼らは人族の魔術を学び、技術を模倣し、文明を受け入れ、人族を追い越していたのだ。


 大陸にあった多くの人族の国は滅び、南方の族長連合、中央の王国、そして北方の帝国だけが残った。守勢に立った人族は、城郭都市を築きあげ、以後30年間、その残された版図を維持することに終始した。


 現代の人族の決戦兵器は城郭都市である。

 勇者がついに復活したと言われる今でさえ、それは揺らがない。

 勇者は時代遅れの決戦兵器、これは、そう呼ばれる時代の物語である。


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