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ニューカマー・リトルシスター

「結論から言うと無理じゃ! 帰れ帰れ!」


 エービーが、しっしっ、とアサリを追い払う仕草をした。


「むかーっ! なんでよ! このぽんこつ神!」


「なんじゃとーっ!! お前、言うに事欠いてわしをぽんこつ神じゃとーっ! むきーっ!!」


 うわあ、エービーとアサリが取っ組み合いを始めてしまったぞ!

 シュモックはごく冷静な顔で、説明を始める。


「つまりな。あのお嬢ちゃん、今回のゴッド・ストラテジーの景品なんだよ。景品がどっちかの側に肩入れしちゃまずいだろう」


「ああ、なるほど」


 とても分かりやすい説明だ。

 エービーはそういうところ、省いたりするからなあ。


「ううう、あたしもウニと一緒に戦いたいよう」


 アサリがとてもしょんぼりしている。

 いつも快活な彼女がそんな姿なのは、見てられない。


「アサリ、僕は大丈夫だから。ほら、こうして戦士のシュモックさんが仲間になったし、こうやってだんだん仲間を増やしていくからさ」


「そお? でも、あたしだって仲間になったら強いのよ!」


「ほんと!?」


「おいウニ。こやつ、クラスがハウスキーパーとか出ておるぞ! 強いとかいうの嘘じゃからな!」


「むがー! クラスで人を決めつけないでよちびっこ神!!」


「な、な、なんじゃとーっ!? おまっ、お前、言うに事欠いてわしをちびっこ神じゃとーっ!?」


 また揉み合いを始めたぞ!!

 と、そこへ横から掛かる声。


「あのー」


「うん? あれ、シジミちゃん」


 そこにいたのは、アサリの妹でシジミちゃん。

 僕よりも二つくらい年下の女の子だ。

 背丈は僕とアサリの顎の下くらい。赤みかがった髪を、背中で一つに編んでいる。


「お姉が飛び出して行っちゃったんで、探しに来たんですけど……ウニさん、もしかして仲間を探してます?」


「うん、エービーの信者っていうおまけつきだけど。あんな神様だから、昔から全然信者ができなくてねえ。できても、お迎えが近いおじいちゃんおばあちゃんが、可愛い孫みたいな感覚で信者になってね。それで神様に看取られてぽっくり行って、また信者が減って……」


「へえ……わ、わかるわあ」


 シジミちゃん、引きつり笑いでうちの神様を眺める。

 今も、僕の幼馴染と取っ組み合いをしてるもんな。


「じゃあ、あの。私がもしも、信者になって一緒に戦いますって言ったらどうします?」


「どうって……! ダメだよ、危ないよ!」


「大丈夫よ! 私、お姉よりは腕っ節に自信ないけど、お掃除とか賄い作ったりできるから!」


「賄いはいいな」


 シュモックが乗り気になった。


「エービー!」


 助けを求めてエービーを呼ぶと、彼女はアサリの腕からするりと逃れ、こちらまでころころ転がってくる。

 そして起き上がって言うのだ。


「いいんじゃないかの! 信者が増えるのは大歓迎じゃ!」


「いや、あのさ、クラスとか……」


「うむ、シジミのクラスはメイドじゃな」


「メイド!!」


 僕が神官、シュモックが戦士で、次に来る仲間がメイド!!


「ほれ、ウニ、転向させんか!」


「あっ、ちょっと待ちなさいよ! こらシジミ! あんた、もしかしてこの隙にウニに色目を使おうと……!」


「へへーん! 女の大事なのはおっぱいだけじゃないってところを見せてあげるわお姉! 女はここよ、ここ!」


 頭をトントン、と突付くシジミちゃん。

 ああ、もう。


「知らないからな! シジミちゃん、本当にエービーの信者になっていいんだね?」


「もちろん!!」


「うう、気乗りしないなあ。じゃあ、信者に……って、嘘!?」


 シジミの胸に、エビの紋章が輝く。

 これって、シュモックを仲間にした時より全然早い!


「速いか? 当然じゃろ。入信の意思があれば、一瞬で信者になれるのじゃ。幸い、シジミはまだどの神も信じておらんかったようじゃ。他の神の信者じゃったら、もう少しセキュリティを破るのに時間がじゃな……」


 エービーが訳の分からない話をしている。

 まあ、信者になってしまったものは仕方ない。


「それじゃ、よろしくね、シジミちゃん」


「はい、ウニさん! それと……」


「シュモックだ。上手い飯を期待してるぞ」


「はい、シュモックさん!」


「あのー。信仰対象であるわしは……?」


「エービーはいつも顔合わせてるでしょ」


 シジミちゃんが仲間になっても、エービーの扱いは変わらないんだな。


「お姉、じゃあそういうことなので、お父さんとお母さんによろしくね!」


「シジミーっ! 絶対、あんた父さんと母さんに叱られるからねっ! 言いつけるからねっ!!」


「むふふー、ご自由にー。お姉もまだまだ子どもよのー」


「ギギギギギ」


「姉妹で争うのはやめてえ!」


 僕は見かねて間に入り込んだ。


「いいから、アサリは宿に戻る。このゴッド・ストラテジー終わらないと、シジミちゃんも帰れないでしょ。頑張って早く終わらせるから」


「ほんと? ほんとにほんと?」


「ホントホント」


「うん、分かった、信じる。だから最期に……」


 アサリが、僕にむぎゅーっと抱きついていった。

 うわっ、柔らかっ……!


「チッ」


「チッ」


 エービーとシジミちゃんが舌打ちしたような……。

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