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モヤモヤする

なんだか、新キャラが登場した気がするけど、もうすでに出てるような。時間空きすぎて覚えてないという体たらく(汗) ということで、作中の風雲児こと木山つくしの登場です!


※1/2修正。前半部分が丸っと入ってなかたったです。ウヒー。


※1/25修正。やっぱり登場してました、つくしちゃん。少し文体いじります。

そんなこんなで、アメリカンのおかわりをしたところで、ようやく沈黙に耐えられなくなってきた私としては、もっと深くのことを知りたいと思うのも私のジャーナリストとしての性。だけど…

「……」

 さっきまで子供みたいに無邪気に笑っていた彼が、店じまいでもしたかのようにどんよりとした空気に包まれている。いや、顔は笑ってるんだよ。でもね。

「大丈夫……ですか?」

「え?」

 心ここに在らず、ってこういう時に使えばいいんだよね。

「この方が、春日井さんの……」

「じいさんです」

「さっきは義理の保護者と言ってましたけど?」

「……そうですね」

 しばらくの逡巡のあと、なんだか早口の返答。笑顔だけど明らかに何かを隠すかようのようによそよそしい表情。さっきまでの人懐こい様子は微塵もない。

 義理の保護者、祖父ではなく保護者、だ。呼び方としては祖父を表す言葉で呼んでいるけど。その関係が成り立つのなら、彼は養子ということになる。にわかに信じ難い、というかこれまでの情報だけではまとまらない。

 両親は?他の家族は?

 それにさっきから気になってることが一つ。

「……春日井さん、あの、これ」

 そう言って、弊社の雑誌を彼に見えるように向ける。見出しも大きな字で書かれている比較的読みやすいページだ。しかし……

「? どうしました?」

 笑顔ではぐらかされるが、わざと目線を向けようとしないのはわかる。

「あの……見えます?」

「あ、ええ、はい」

 回答は返ってこない。どうして。

「……さて、そろそろ開店準備しなくちゃですね」

「あ……」

 そそくさと、厨房へと立ち去ってしまう彼の背中を見ながら私の脳内には疑問符ばかりが飛び交っていた。今までもどこか不思議な雰囲気のある彼だったが、とりわけ異質な感じを覚えた。私は、おそらく地雷を踏んだのだろうが、彼にとってトラウマを抱えさせられた人物であるのなら……

(あそこまで嬉しそうに話すかな……?)


※ ※ ※


それからのことは、正直はっきりと覚えていない。彼のあの表情ばかりが頭の中を行ったり来たりして、外から見たら恋する少女のように見えたかもしれない。いや、見えてほしいとは微塵も思ってもないのだが。

「……」

「……」

 そんなことを考えてしまう。この状況なら。

「…あの、木山さん」

「なんですかー?」

 やっぱり出てきたよ、この子。

 しつこいだろうけど、もう一度説明させてほしい。

 このふわふわな返事をする彼女は、私の一期下の後輩にして、私とは対極的に異性にモテモテの木山つくしだ。私が氷なら彼女は……そう、毛布?いや、そんなことどうでもいいか。

「近い」

「あ、すいませーん、センパーイ」

 やけに先輩呼称のところだけ、強調してくるなこの娘はほんとに……

「聞きたいこと、あるんでしょ?」

 確信を持って彼女に聞いてみる。いや、確信があるからこそ確信を以って彼女に問いただす。その目的は、抑圧だ。

「嫌だな先輩、そんな怖い目しないでくださいよー」

 一呼吸置かれて出た言葉は、私の予想通り。

「わかってるくせに」

 内容もそうだが、こういう攻め方をするのも予想済みだった。伊達に25年生きていないのだ私も。自分がどれだけ迂闊だったのかぐらいは、わかってるつもりだ。

「……私の負け?」

「そんなこと聞いてる時点でー。もー、覚悟してるじゃないですかー?」

「わかったよ」

 なるべくかいつまんで、納得のいくように…

「脚色とかつけたら即バレですからね?」

「……うぐぅ」

 覚悟決めるか……。自分語りとか恥ずかしくてしたくないだけど。

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