見上げてごらん夜の星を
冬が来た。
みんな年末に向けて
背中を丸めて急ぎ足で家路につく。
息も白くなって凍りつきそうな日の夜。
その日のニュースで
「今夜は晴天。ふたご座流星群がピークでしょう」
そう聞いたのを
彼女と寝るベッドの中で思い出した。
僕は「耳」を外している彼女の手のひらに
ほしをみにいこう!
すると、眠たい声で
「私、星見えないもん」
僕は悲しかった。
その日、流星群を一緒に見れないことじゃない。
彼女から、見えないからしない
できないと言われたようで辛かった。
彼女もできないことを誘われて
辛かったのだろうか
いや、眠かっただけなのか
昔、買い物途中に明るい一番星を見つけて
「あれなに?」と彼女が聞いてきた。
「明るくて大きいから一番星だよ」と言うと
「私、星見える!」って驚いていた。
夜の世界がどんなのかもう忘れたという彼女。
冬の夜は空気が澄んでて
星から音が聞こえそうなくらい綺麗だよ。
たくさんの彼女を知っているつもりだけど
たとえ期待を裏切られてもできないって決めないで
それでも目をつぶらないで。
見えてる頃も見えない今も
いつだって星は頭の上で輝いている。
僕も星に負けじと輝き照らす。
これから先もずっと
一緒に生きていけますように
その日の夜、僕は一人で
そっと流れ星にお願いした。
次回に続く