助手席から見る横顔
免許取ったら、あんな車が欲しいなー。
運転代われなくてごめんねー。
彼女は目の病気のせいで、運転免許を持てない。
車の免許を持てば、自分の好きな時間にどこにだって行ける。
「車の運転」という世界を目の前にして
彼女はなくなく諦めざるを得なかったのだろう。
好奇心旺盛な彼女のことだ。きっと落ち込んだに違いない。
そういうわけで、彼女の移動手段は基本、徒歩か電車、バス。
田舎に住む僕は、17歳のときに原付免許を取ったあと
18歳になって自動車免許を取り、車を買ったので電車やバスでの移動はあまりしない。
何時にあのバス停、、、
乗り換えは、、、
時刻表に縛られる感覚が僕には分からなかった。
馬鹿げているかもしれないが
ふとしたとき、考えることがある。
彼女は目的地に着くまでに、途中のバス停や駅で止まり
降りていくお客さん、乗ってくるお客さんを待っている。
目的地に着く時間は時刻表通りにハッキリしていて
着くまでの時間を当たり前の時間として過ごしている。
流れる景色の中、新しいカフェを見つけても、特売中のスーパーを見つけても
車のように止めることは出来ず、ただ正確に目的地に移動する。
大人になった今
車を運転できれば、どんなに彼女の世界は変わるのだろうか。
標識の意味、安いガソリンスタンドの場所、車のメンテナンス、、、
最近、iPS細胞を使って目の病気が良くなるかもしれないという
とても期待できる研究がおこなわれている。
この治療を受けることができ、目の病気が改善すれば、車の運転もできることだろう。
そうなれば、時刻表に縛られることなく、路線やレールの上を走る必要もなくなる。
次回に続く