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手を繋ごう  作者: akira
2/10

彼女の「耳」

あれは確か、付き合い始めて間もない頃

彼女から小さい頃の話を聞いた。






5歳の頃、東京で人工内耳の手術をしたんだよー




髪の毛を剃って、頭の中に機械を埋め込んで、、、




ほら、ここー

髪の毛生えてないとこあるでしょ?




最初は慣れるまでうるさくて、「耳」の電源切ったりしてたしー

学校に行っても、日本語が分からなかったから、発音の練習してたのー






(頭の中に機械、「耳」の電源、日本語がわからない、発音の練習、、、)






どこか違う星の人と話してるような不思議な感覚と同時に

その世界を知りたい気持ちでいっぱいになった。




5歳の時、この世界に音があることを知り、自分の声や家族の声

いろんな音を初めて聞くという感覚は想像もできないけど、ビックリしただろう。






そして、その「耳」の機械の値段が100万円するというので驚いた。



どうやら保険が適用されないらしい。






その「耳」の機械は水に濡れてはいけないため

お風呂のときは、電源を切って外す。





お湯がホースをつたってシャワーが流れる音、お風呂の椅子を動かす音

シャンプーポンプを押す音、髪を洗うときの泡立つ音、洗い流すときの音、、、





彼女には、音のないお風呂タイム。




一緒にお風呂に入ると彼女は「日本語」を使って

そのお風呂タイムでも僕に話しかけてくる。




しかし、僕は聞いた話を広げたいが彼女には僕の声が聞こえない。




僕が口を大きく開けて、一言ずつゆっくり話せば

彼女が口の動きを見てくれて、なんとか伝わる程度




これじゃ彼女に言いたいことが上手く伝わらないじゃないか。





とても歯がゆくて、もどかしい気持ちだった。





その気持ちを伝えると、「耳」を付けていないとき

コミュニケーションをとる方法を彼女が教えてくれた。




それが、50音を片手で表すことができる指文字だった。




手話とは全く別の「音」を表す手法。



3ヶ月間、少しずつ教えてもらって、少しずつ覚えたのが懐かしい。








次回に続く

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