りんごの木
とあるりんご農園には他の品種のりんごの木と比べて甘いというりんごの木がありました。
その甘いりんごの木はことあるごとに
「私の実は特別甘い」
と周りの木に自慢していました。
しかし出荷される時には同じ品種の木のりんごと一緒くたにされるため、りんごを買う人のみならず作った農家の人まで甘いりんごの木が他の木よりも甘いことを知りませんでした。
そのことに甘いりんごの木は
「私はこんなに甘いのに。お前たちが甘くないせいで私まで甘くないと思われてしまう」
と周りの木に不満をぶつけていました。
そんなある日、味見をするために甘いりんごの木のもとにも農家の男がやってきました。
甘いりんごの木は
「私が特別甘いことをやっとわかってもらえる」
と大層喜びました。
そして味見をした男は言いました。
「この木のりんごは特別不味い」