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プロローグ
城をあとに旅立った。
この世界、『リオアヒルム』の誇る最大の大国、ガルロッテ公国の巨城。
第二の領土を持つゴディバルト帝国の襲撃から早三日。既にガルロッテの市街地には繁栄と賑わいは存在していなかった。
「ギル君、早く行こうよ!」
目の前を駆け足で行く銀髪の少女、リレイアが呼びかけてきた。
リレイアはこのガルロッテ公国皇族の血を引く、いわば『お姫様』でもある。
そんな俺と彼女が目指すのは遥か遠くの国。
俺の故郷でもあるその国にいる『青』の王を探すために。
正直、リレイアはまだ幼い。いつどこで戦闘になるかも分からないこの状況で、この先どうなることか。
所詮これは始まりに過ぎない。
ここからの語り手は彼女に任せようと思う。
まだ出会ってもいない。出会わなければ何も知らずに済んだかもしれない。別世界の少女に。