冒険者のあれこれ
さて、町を探索してたら辿り着いたこの場所。異世界行ったらお約束の、冒険者ギルドとやらです。
ここが冒険者ギルドだってわかった理由は、お昼を食べに入った食堂が冒険者ギルドと併設されていて、周りの人たちの話を盗み聞きしてわかったのです。目的地もここだったから、かなりラッキーだった。
ちなみに今は獣人だからか五感がかなり敏感で、ご飯がさらにおいしく感じました。
ここに来た目的は二つ。一つ目はお金を手に入れるために冒険者登録。自分でお金を稼げるようにならないと、生きてけないからね。
二つ目は情報収集だ。職業について調べるのに冒険者ギルドはもってこいのはずだからだ。
冒険者ギルドの中はいかにもって感じで、いくつかのカウンターに受付の人がいる。その反対側に机を囲んで厳つい格好の男の人が何人かいるけど、私が入っても一瞬だけこちらを見て気にすることなく話している。
絡まれたりは嫌だったからちょうどいいけど。
とりあえず私は一番近くのカウンターに向かった。そこの受付の人は女性だから、男性よりも話しやすいと思ったのもある。
「すみません。冒険者登録ってできますか?」
「冒険者登録ですか?それでしたらすぐにできますよ」
「じゃあ、登録お願いします」
「わかりました。ではまず、こちらの水晶に手をかざしてください。この水晶はステータスを見る物で、登録される方には全員してもらってます」
ふむ、ステータスを見る道具か。
今は奴隷からの解放を使ってジョーカーになっている。これなら職業は村人となっているはずだ。けどなぜか首輪が外れなかった。獣人のほうが原因なのかな。
別に見られても困ることはないので素直に指示に従う。手をかざせばステータスが空中に表示される。
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名前:リフィア
年齢:13
職業:村人Lv2
<アクティブスキル>
索敵Lv2
身体強化Lv1
<パッシブスキル>
餓鬼耐性Lv2
呪い耐性Lv3
暗視Lv2
隠密Lv2
気配察知Lv3
五感強化Lv3
格闘術Lv1
<職業スキル>
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あれ?なんかいろいろ増えてるし、表示されなかったことも多い。
「さすがは獣人種ですね。これだけ多くのスキルを村人の状態で手に入れてるとは」
彼女は小声で言ったみたいだけど、私には丸聞こえだった。そうか、スキルが増えたのは獣人になったからか。確かに獣人なら持ってそうなスキルだね。
けどさすがに人のステータスをジロジロ見すぎだね。
「もういいかな?疲れてきたんだけど」
「え?あっ、はい。申し訳ありません。もう手を放していただいて構いません」
私は水晶から手を放す。疲れてきたってのは、嘘じゃないよ。ジョーカーだとこれだけでも疲れる。奴隷状態が一番楽だな。
「では、こちらが登録に際しての注意事項となりますが、文字は読めますか?」
彼女が紙を出したので見てみる。
文字は前世とは違っている。そしてこの世界の識字率はそんなに高くないようだ。冒険者や商人、貴族なんかが読める程度だろう。
だけど私は読める。ここに来るまでの間、自分の知識を探ってたんだけど、なぜかこの世界の文字をたくさん知っていた。その時は読めなかったけど、断片的にはわかる単語もあったので、なんとか解読した。
ある程度の単語がわかると後は、接続詞とかをパズルのように考えれば何とかなるもんだね。書くのは難しいけど読むのなら何とかなるし、自分の名前ぐらいは書けるようになった。
「大丈夫だけど、間違ってるかもしれないので、確認しながらでもいいでしょうか」
「ええ、大丈夫ですよ。全く読めない方もいらっしゃるので。読み終えて同意していただけるのなら名前の記入をお願いします」
彼女にところどころ確認しながら読み進めて、なんとか読み終えた。
まず、登録すると職業が冒険者になるらしい。上位の職業でも強制的に変更されるからその場合は注意しろってこと。
次に、冒険者にはランクがあって一番下のFからAまで、特別枠にSがある。このランクは依頼の達成や昇格試験によって上がるらしい。
依頼は多岐にわたり、採取や討伐とか護衛などがある。依頼の成功で報酬がもらえるが、失敗なんかをすると罰金や場合によってはランクの引き下げもある。
注意事項を破ったり、犯罪者となった場合はギルドから追放される。
そして最後に、生死は自己責任で。と書かれていた。
別に問題はないので、さっと自分の名前を書く。するとその紙は消え、消えた後に一枚のカードが残されていた。
【職業変更特典が受け取り可能です。受取可能アイテム:”駆け出し冒険者セット”】
冒険者になったからか、受け取れるものがあるらしい。これは後回しにしといてもいいだろう。
もしもジョーカー限定の特典だとしたら今取り出すのも問題ありそうだし、違うなら何か言われるだろうし。
「そちらがギルドカードとなります。ギルドカードは身分証としても使えるのでご利用ください」
ギルドカードには私の名前と職業である冒険者が書かれていて、カードの左上に大きくFと表示されている。
私はカードを受け取り掲示板に張り出されている依頼を一通り見た後、ここと併設されている資料館があるらしいからそこに行くことにする。