私の知識って偏りすぎ
気が付けば朝だった。
いつの間にか眠ってしまったのかな?疲れてたし衝撃の真実を知ってしまったからしかたないね。
まあ、さすがに服も着ないで寝るのはどうかと思うけど何とかベットまではたどり着いたからマシだけど。寝てる間に死んじゃうとか洒落になんないから。
そして一晩寝たおかげか衰弱が小になって体が軽く感じる。今なら何でもできそうだね。
それにしても”忌み子”かぁ、つまり今までの周りの反応は奴隷だからだけじゃないんだね。むしろこっちがアウトだったんだ。
けどそしたら私、この世界で生きていける自信がない。奴隷だけが問題なら対策はできるのに、さすがに身体的特徴をどうにかできるわけないよ。
・・・よしっ、朝ごはんにしよう。考えててもらちが明かないし、何よりお腹すいた。昨日の夕飯食べときゃよかったなあ。
そんなわけで私は一階に降りた。カウンターには昨日と同じ女性が居て、私に気づいたみたいだ。
「昨晩はよく眠れましたか?」
「はい。久しぶり?にベットで寝れたから、疲れがほとんど取れました」
「それは良かったです。朝食はもう食べれますので、そちらの食堂で部屋の鍵を見せていただけば、ご用意いたします」
そういって食堂の方を指さしながら説明してくれた。ん?この人昨日と雰囲気変わった?よくわかんないけどそんな気がする。まあきっと私には関係ないことだよね。
私は考えるよりも食欲を優先してさっさとご飯を食べることにした。
朝食は決まっていて、硬いめのパンと野菜たっぷりのシチューだった。美味しいが、私には少し多いかなと思ったんだけど、意外と全部食べ切れた。まだ食べられるぐらいだ。この小さな体のどこに入ったんだろう?
食べ終わってから気づいたんだけど、食堂にいる何人かの人がチラチラとこっちを見てたんだよね。ご飯が美味しくて全然わかんなかったよ。
でもなんだろう、別に嫌な視線ってわけじゃない。だからと言って居心地は良くないから、さっさとどっか行こう。
どこに行こうかな。この街について私は名前でさえ知らないのに、どんな施設があるかもわからない。情報収集をしたいとこだけど、人に聞くのは無理そうだし、図書館みたいなのがあればいいんだけど。
とりあえずこの街を歩き回ってみるしかないかな。
そんなわけで私は誰もいない裏路地にいます。何でかっていうとね、初めは普通に町を歩いてた。そんな中で問題がいくつか。
・・・人多すぎない?宿を出てすぐは人が少なくて、周りをゆっくり見て回れたんだけど、そんな暇がなくなった。だってなんかすごい見られてたんだもの。んで、周りが同じ単語を話してるのが聞こえた。
その話を聞いて、ちょっとこれはいろんな意味でやばいかも?と思い全力で走って人を撒いた後、隠れるように身を潜めている。
町を歩いて知った重大な真実。これが本当ならこの街を出ないといけないかもしれない。それほどこの街では私が居るのは大事だからだ。
白い髪に黒い瞳は周りに死を振りまく存在の”忌み子”ってのが私が知っていることだった。これもこの街にいられない条件には十分だけど、本当はある意味もっとめんどくさいことだった。
この世界で白い髪に黒い瞳ってのは、とある種族にしかありえないらしい。
そしてその種族は、”竜人種”と呼ばれている。竜人種は人型種の中でも上位に位置するらしいけど、詳しくはさすがに聞けなかった。とりあえず強いとか、信仰されるレベルだって話だね。
【特定行動値を達成したためスキル、隠密を取得しました】
【特定行動値を達成したためスキル、気配察知を取得しました】
【特定行動値を達成したためスキル、ジョーカーの能力が一部開放されました】
前触れもなく流れるメッセージに、私は驚き、躓いて転んでしまった。怪我はなかったものの、顔からダイブしたので鼻のあたりが痛いし、立ち上がる気力もなくなった。
本気でびっくりしてしまったんだ。だって突然頭の中に流れるんだよ。
考え事をしている最中に無理やり割り込んできてさ。いきなり耳に息を吹きかけられる様なもんだからね。
それにしてもジョカーの能力が解放されたんだっけ。もしかしたら今の状況を何とかできるかもしれないし、確認してみますか。
<ジョーカー(スキル)>
【new】
種族の変更とステータス欄で種族が確認できるようになる。
変更できる種族はその種族の知識をある程度持つか、その種族を殺すことにより追加される。
変更可能種族
獣人、竜人、犬
あれ~、おかしいな~。確かに今の状況を何とかできそうだけど、それじゃない感がやばい。
種族の変更で竜人から変えればいいのがわかるけど、変更可能なのが獣人と竜人、そして犬って。なんで普通の人間がないのに、犬なんですか。
確かに犬の知識はたっぷりありますよ。前世で犬を溺愛してたってわかるぐらいには。今は違うけど前世は人間だったはずなのにない。つまりこの世界の人間とは違うってことなのかな。けど獣人があるってのは、よくわかんない状況だよ。
とりあえずどうするか考えないとね。