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目覚めたら奴隷でした

深夜のテンションで書いてみました。

書き溜めはないので不定期更新です。

 ある日私は目覚めた。

 目覚めたといっても夢からではない、逆に夢を見始めた様なものだけど。

 まだはっきりしない頭と霞む視界で何が起こっているのかを整理してみる。


 まずは頭のほうから。

 たぶん私は異世界に来たんだと思う。それも魂だけ。

 なぜかというと、私の記憶がひどくごちゃ混ぜになってしまって、元の世界とこの世界の知識だけある状況。しかし、私が生きてきた記憶がない。それが今の私の現状で、元の世界の私がどんな人だったかはわからないし、人格なんかも変わってるかもしれない。


 今の私は、どちらかといえば、前世の知識に引っ張られてる感じかな。

 まあ、今となっては前世の私なんてどうでもいいんだけど。

 

 次に私がいる場所だけど、こちらは暗い部屋にいるってことぐらいしか分からない。

 体を動かそうにも力が入らないし、手首に何かつけられている。しかもたぶん今は裸同然の格好をしているのがわかる。服と呼べるかどうかも怪しい布きれでなんとか局所は守られている状況だ。


 ・・・あまり考えなくたくもないけど、これはあれだろう。異世界のお約束である”奴隷”と呼ばれているやつだ。否定しようにも元の世界の知識とこっちの知識が許してくれない。

 しかも私は奴隷の階級でもかなり下の扱いみたいだ。すでに廃棄処分の一歩手前だろう。空腹感はすでに感じないレベルであり、口の乾き具合からみてもここ数日は何も食べれていないようだ。


 こんな私の様なものを入れて置くのがこの部屋である。幸いといえるのが、今は私だけしかいないようで、前に人がいた時から少しして私が入れられたみたいだ。その間に掃除されて匂いとかもない、とはいっても今の私には五感はほとんどないみたいだから関係ないけど。


 そんなことを考えていると、急に視界が真っ白になった。なんとか扉の開くような音が聞き取れたので、たぶん誰か入ってきたみたいだ。


「こちらが現在残っている廃棄間近の奴隷です」


 徐々に目が慣れていく中で聞こえるのはそんな言葉。元の世界の言葉とは違うけど、こっちの世界の知識もあるので言葉は分かる。今の私は話せないけど。


 少しずつだけど目が慣れてきたので、目線だけを声の方向に向ける。

 見えるのは二人、一人は奴隷商人でもう一人はたぶん奴隷を買いに来た客だろう。客のほうは、見た目20歳よりも若く見える青年で、冒険者スタイルの格好だ。


「いくらだ?」


 彼はすでに私を買う気なのだろうか。すぐさま値段交渉に入る。

 少しの間2人で話し合っていたようだが、私はそんなことを聞いている余裕はなくなっていた。何せ今から私は買われるのだから、(たぶん)元現代人として誰かの奴隷になるなんていやだし、ましてや今の私はやせ細った少女で買い手は元気あふれる青年。

 これは確実に使い捨ての慰み者ルートまっしぐらだ。せっかく第二の人生が始まったのにそんな人生はいやすぎる。


「立て」


 そんな妄想をしている間に話が終わったのか、奴隷商が私を立たせようとする。すでに青年はいなくなっていて、これからある程度の身支度をさせられるようだ。

 ただ、私には立って動くだけの体力も残っておらず、奴隷商に抱えられながら身支度を終えていった。

 ちなみに食べ物も食べれました。おかゆのようなものだったけど、すごくおいしく感じました。


 身支度を終えた私は、青年のいる応接室のような場所に連れられた。


「さて、これから奴隷契約を行わせていただきます」


 そう言って奴隷商と青年は契約を済ませていく。青年は指先をナイフで傷つけ私のお腹にある奴隷紋にその血を垂らす。それで契約は終了だ。

 契約を終えた青年は奴隷商に別れを告げ、私を連れて外にでた。そのころには私はふらつきながらも自分で歩けるまでは回復していた。


 外に出てすぐ青年は私のほうを向き話を始めた。

 ・・・要約するとこんな感じだった。

 -自分は世界中を歩き回った冒険者だ

 -冒険しているときに私のような人を見てしまい、ひどく心を打たれた

 -そんな人たちを助ける力が自分にはある

 ここまでは何とか聞いてられたが、ここから先が問題だった。


「さあ、今から君は自由だ!奴隷の契約は解除できないけど僕は君を縛ったりしないし、逆に僕の奴隷という立場が君を守ってくれるはずだ」


 そんなことを言い、私に一月生活できるだけのお金を渡してどっかに行ってしまった。


 私はしばらく唖然して固まっていたが、復活してからも怒りとかは沸いてこない。ただただ呆れるしかなかった。

 ただ、さっきの偽善者のおかげで仮初ではあるが解放されたので軽く感謝はしておこう。そして記憶の片隅に押し込んで置いた。


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