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第一話{マルダー農場防衛戦~月夜の晩の不可視の謎~}

間幕世界観紹介『レーゼルドーン大陸』



別称、黄昏の大陸。

かつてはこの大陸の最南端、エイギア地方で人族が繁栄を極めたが、およそ300年前にあった蛮族の大侵略行為……大破局ディアボリックトライアンフによって、一度は人族の領域が一切失われた。


近年になって、数々の英雄の活躍から人族の領域を取り戻しつつあり、最大規模の開拓村であるカシュカーンを中心に、人族の反撃が開始されている。

開拓が進みつつあるものの、依然として蛮族の脅威が身近にある場所の為に、冒険者達の仕事は多い。



レーゼルドーン大陸はすぐ南にあるテラスティア大陸最北端の国、城塞都市ダーレスブルグより通じる大橋でつながっており、現在はそれが唯一の別地域からの陸路となっている。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「取り合えず、保安官に挨拶でもしときましょ。この手のタイプは、新顔が大きな顔をするのを好まないはずよ」

 そう提案したのはカタリーナ。その意見に他の全員も肯き、一行は保安官事務所を目指す。

向かう途中、ヴェレッタはレイチェルに素朴な疑問を投げかける

「ところで、さっき『一夜の夢を見させてやるのが仕事』って言ってたのは何なんだ?」

「子供にはまだ早いわよ」

 と、レイチェルはその質問を回避する。

「……ヴェレッタの坊やは、まだ知らなくていい」

「そいつを知るには、50年早いよ」

 ウサダが帽子をかぶり直しつつ、カタリーナは若干呆れた様子でそれを肯定した事で、ヴェレッタも納得し。

「なんだか知らないが……まあ姉ちゃんが必要じゃないって言うなら良いや」

 と、深くは追求しなかった。

 そういった会話を時折挟みつつ、カシュカーンの町を案内のボロイ看板を頼りに進む内に、もっぱら偽物と評判の有る守りの剣の安置された中央広場にたどり着く。この広場の脇に、目指す保安官事務所はあった。

 カタリーナが先頭に立ち、事務所のドアを叩く。

「こんにちはー。保安官はいらっしゃいますかー?」

「……入れ」

 低い男の声が中から返ってくる。

ウサダは先ほどまで吸っていた煙草を形態灰皿に押し付けて片付け、ヴェレッタはその重々しい様子に警戒心を強める。

カタリーナは臆する事無くドアに手をかけ、扉を開けて中に入る。

「失礼します」

「失礼しますわ」

レイチェルも相手に好印象を与える、所謂”営業スマイル”を振りまきながら事務所に入る。

 保安官事務所の室内は、日中だというのに窓を締め切り、薄暗い。その奥に、デスクに向かった一人の壮年の男が訪れた者達を見ていた。

 後から入ってきたヴェレッタは、その閉鎖的な部屋の雰囲気に、威圧さえ感じるその男の双眸に、若干顔を引きつらせていた。そうしてヴェレッタが二人の後に部屋に入ったその時、ヴェレッタの背中に棒状の何かがあてられ、ヴェレッタは即座に足を止める。

それと同時に、先に室内に入っていたカタリーナとレイチェルは、即座に武器を抜ける姿勢で振り返り、ヴェレッタの背後に目をやる。

そこにはドアの影に隠れ潜んでいた別の男が、サーペンタインガンをヴェレッタの背中に突きつけていた。

その男は二人が即座に察知したのを見て、ガンを落し両手を挙げ、敵意が無い事を示す。

「……今度の冒険者は多少は勘が働くみたいな」

 暗い声で、奥の男は言う。

「あら、どういうことですの?」

 と、レイチェルは見た目は穏やかに男に尋ねる

「人類の最前線へ来ておいて、緊張感のない冒険者が多いものでね。未開だ、遺跡だと目をくらませてな。迷惑なんだよ、そういう輩は」

 男は悪びれる事も無く、先ほどから変わらない平坦で低い声で話す。ヴェレッタは冷や汗を拭いつつ。

「ずいぶん、手荒な歓迎だねぇ。だが、なるほどな……」

 と、納得したようだった。心なしか申し訳なさそうな表情をしている。

「……まぁ、そこそこ経験はしているので。でも、見た目以上に物騒な場所のようだね」

 カタリーナも構えを解きつつ、奥の男のほうに振り返る。

質問をしたレイチェルも、大げさに納得した様子を見せる。

「なるほど、そういうのを篩にかけるためにこのような仕掛けをされていたのですね」

 男は小瓶をあおると、立ち上がって自己紹介をする。

「俺はジム・ドーソン。この町の保安官だ。そいつは保安官助手のアンディ」

「ああ、俺はヴェレッタ。いずれ決闘者と呼ばれるガンマンになる予定の男さ」

「冒険者のウサダだ。歓迎、感謝する」

「カタリーナよ」

「レイチェルです、以後よろしくお願いします」

 冒険者達も、それぞれ自己紹介を返す。

ジムはさて、と前置きをしつつ。

「簡単にこの町のことを説明しよう。遺跡や蛮族と遣り合おうって命知らずはレーゼルドーン寄りに、町の中にいたいなら、ダーレスブルグ寄りの宿を取ることだ」

「その2つの宿には、何か違いがあるの?」

 カタリーナのこの質問には。

「蛮族の総攻撃があった際の逃げる時間程度の違いさ。だが、ダーレスブルグに近いと安心するとかほざくやからも多いのでね」

 後半は失笑交じりに答えた。そして、ジムは説明を続ける。

「だがどちらも口利きが必要でね……」

「保安官殿の口利きが必要、という事か」

 察したウサダが、ジムの言葉に重ねて言う。だが、ジムは首を横に振りつつ。

「口利きは、村で地位のある人間にしてもらえ。簡単にいえば、最初の仕事を俺が斡旋する。それをこなせばいい。それだけの話さ」

「仕事については、僕から説明しますね」

 ジムの言葉を引き継ぎ、助手のアンディが話し出す。

「行って頂きたいのは、外れで大きな農場を経営されてるヴィンセントさんのところです。ここ最近、作物や動物に被害が出ている。護衛を雇っているがあまり効果が上がっていないので増員を希望されているのです」

「……被害とは、具体的にどんな被害だ?」

 ウサダが質問する。

「農作物や家畜の窃盗、器物の破損…ケガをした使用人もいるとのことです」

 アンディは一旦そこで言葉を区切り、此処にいる誰もが考えている可能性を、話す。

「蛮族の仕業、でしょうね」

 冒険者たちは全員、納得のいった顔をする。


 蛮族は人族の敵である。これが人族社会に生きる者の常識であり、神々の時代から定められた不文律。

 人族は力のある者が冒険者や騎士となり戦いに出る一方で、生まれついての力の少ない人族にとっては、下級の蛮族でも脅威となる。

故に、人族は都市国家を作る。堅牢な城壁を作り、蛮族達が魂に持つ”穢れ”に反応する、結界を作る。その結界を作るマジックアイテムこそが、守りの剣であり、それは人族の大きな町には必ず一つはあるアイテムだ。

 蛮族は本来、元祖の神たるダルクレムが戦いの神で有る事もあり、生れながら戦闘力に特化した存在であり、下級の蛮族でも戦闘訓練の受けていない人族にとっては脅威そのものである。

その一方で下位種はどれも知性や社交性に欠けており、集落や軍隊と呼べるほどの集団で行動するのはよほど上位の蛮族が指揮統率している時に限られる。

故に、蛮族の社会に組織立った動きがなくとも、下位種だけの小さな群れは度々人族領域で悪事を働く。

下位種であるほど魂に持つ穢れが弱く、守りの剣の影響が致命的で無い事。そして守りの剣の数が開拓村等――このカシュカーンも例外ではなく、1本ある剣すら偽者疑惑が絶えない――の前線では不足している背景もあり、むしろ下位種ほど目に見える日常の敵といえる。


「レーゼルドーンだからね。蛮族の規模は判っているの?」

 カタリーナは無論、その蛮族と戦う事を仕事としている為、敵の情報についてアンディに聞く。

「報告に上がっているのは、5~6体ほどですが、護衛の方々があまり種類に明るくないようで……レッドキャップ以外は判明しておりません」

「返り血で白い髭や髪を赤く染めると言われる、残虐性と闘争心の高さで知られる下級蛮族、だな?」

 ウサダが名前の挙がった蛮族について、すかさず補足説明を入れる。ジムはそれに少し感心した様子にも見える。

「あいつの急所については、昔戦った事があるから知っている。俺のデリンジャーで蜂の巣にしてやるさ」

 ヴェレッタも調子を取り戻したようで、獲物を狩る肉食獣のような獰猛な笑みを見せつつ言う。

 アンディは説明を終えると、外に出つつ言う。

「では受けて頂けるなら、これから僕が案内しますね」

 カタリーナはヴェレッタ、レイチェル、ウサダに振り返り、確認する。

「あたしは受けるけど・・・・みんなはどうする?」

「俺は文句は無いぜ」

 と、ヴェレッタ。

「私も受けることに異論はないわ ふふ、なかなか手ごたえがありそうじゃない」

 と、何故か楽しそうに含み笑いと共にレイチェル。

「…当然、受けよう」

 帽子を被りなおしつつ、ウサダも同意する。

 確認を取ったカタリーナは、早速先頭に立ちアンディの後を追って事務所を出る。と、同時にドアの裏に向けて抜き放ったサーペンタインガンを突きつける。

カタリーナの直感は当たり、そこにはドアの裏から顔を出して今にもサーペンタインガンを構えようとしていたアンディの姿があった。

「すみませんね。上司命令なので」

 彼は銃を目の前で開き、装弾されていない事を見せつつ謝る。

「ですが過去には保安官が外に出たところを刺されたこともあります。気をつけてくださいね」

「それじゃあ、慎重になるのも当然か……」

 カタリーナはガンをホルスターに収め、仕方がないと言った様子だった。

「人伝に聞いたことはあったが、本当にデンジャラスなところだねぇ」

 その様子を見つつ続いて出て来たヴェレッタは、感心しているのか呆れているのか微妙な表情でそう言う。恐らく両方だろう。


 一行はアンディに案内され、目的地のマルダー農場に向かう。アンディの話では、この農場で仕事をするらしい。

事務所を出るや否や、直ぐに煙草を取り出し吹かし始めるウサダを見て。

「おっさん、さっきからそればっかだな……」

 と、ヴェレッタは率直な感想をこぼす。嫌味とも呆れとも取れるこの言葉に、当人はただ一言。

「……その内、判る時が来る」

 とだけ、一服しながら答えるのだった。

 案内されて向かった先には、清水が湧いており、それを引いた大きなプランテーションが見える。

件のその農場の前には、一人の男が立っている。アンディはちょっと待ってくださいねと冒険者達に言い、何かをその男と話す。そして、冒険者達にこっちに来るように言い、農場前に立つ男の事を説明する。

「お待たせしました。彼はここの護衛をしている一人、ルーカスです」

「ルーカスだ。事情はアンディから聞いた。仕事を説明してやるよ、ついてきな」

 ルーカスは冒険者達の顔ぶれを一通り眺めると、ぶっきらぼうに手招きしつつ農場に入る……。その時ルーカスがレイチェルだけは全身を嘗め回す様に見ていたのはそこにいる誰もが気がついたことだが。

「それでは、後はお願いします」

 アンディはそう言い、本来の職場に戻って行く。彼の案内は此処までのようだった。

冒険者達はルーカスの後を追い、ついて行く。その道すがらカタリーナはルーカスに聞こえない小声でレイチェルに

「彼、あなたに見惚れていたわね。」

 などと茶化し。レイチェルも悪びれず。

「ふふっ あなたもアレくらいの男なら手玉に取れるくらいにならないと」

 などと返すのだった。

 農場にたどり着くと、ルーカスは近くにある小屋に張ってある農場見取り図を見せながら説明をする。見取り図の絵は線がふにゃふにゃで、字も非情に読みにくかった。

「ここは大きく四つのエリアに分かれてる。今ちょうど収穫時期を迎えてる野菜やらがある農地1、そしてあまり作物はまだ育ってないが、収穫したものを集める倉庫のある農地2。日中に家畜を放牧する原っぱ、そして厩舎だ。このエリアの端に護衛部屋があり、常時誰かが詰めることになっている」

 ちょうどこの小屋が護衛部屋だな、とルーカスは付け足す。

「こりゃ大層な農場だな、俺の故郷にはこんなに広いのは無かったぜ?」

 ヴェレッタがそう驚いていると、農場の方向から声が聞こえてくる。

「あにきー!」

 その方向からは、ひょろりとした体格のグラスランナーと若い人間の二人が、ルーカスに向かって駆けて来るのが見える。

「なんすかそいつらはー」

 若い男が、ルーカスに聞く。

「俺はヴェレッタだ、保安官のジムとアンディの紹介で来た冒険者だ。こっちにいる三人も同様さ」

 ルーカスが説明するより先に、ヴェレッタが自分達の事を説明し、ルーカスに視線を向ける。

「…あの二人は俺の部下達だ。グラスランナーの方が斥候のセオ、人間の方がガンマンのテッド。出来は悪いが、まぁ人手がないんでね」

 視線の意味を察したルーカスは、二人の事を紹介する。

 ここで、ふとカタリーナは何か思い出したようで、冒険者にとって依頼で二番目に重要な事を聞く。

「ところで、報酬はいくらになるのかしら? それと、いつまで護衛をしていればいいのかしら?」

 契約期間と、その報酬金。冒険者は慈善事業ではない上、命を賭ける事も日常茶飯事の仕事だ。その為、依頼の内容が自分の身の丈に合っているのか否かの次には、報酬の話は大事だ。

「報酬は一人800G、襲撃隊を収穫が終わるまで凌ぐか、倒すことだな」

 ルーカスは遠回しに『解決するまで』で有る事を示しつつ、報酬金の額を伝える。

「まぁ、奴らがやってくるのは夜だ。それまでは休んでおくといいぜ」

 言いつつ、ルーカスはカタリーナを嘗め回すように見たりする。それを察知したウサダはさり気なくカタリーナとルーカスの間に立ちつつ、ルーカスに挨拶する。

「……夜か。よろしく頼む」

 割って入られたルーカスは諦めた様で、代わりに部下の二人に

「ほら、お前達は休んでないで回って来い」

 と言い、不機嫌そうに小屋に入る。

「あにき~、そりゃないっすよ。いつも俺らに外回らせて自分は中にいるじゃないっすか~」

セオのほうが情けない声を上げながらも、しぶしぶと言った様子で二人は農場の見回りに戻る。

「ちょっと待って。少し聞きたい事があるんだけど……」

 見回りに戻ろうとする二人をカタリーナは呼び止め、いくつかの質問をする。






「一度に来るのは5,6匹だが、集団だとしたら毎回同一個体とは限らない」

「……ある程度盗んだら、見張りの射程に入る前にいっせいに逃げ出す」

「敵はレッドキャップのほか、グレムリン種のような存在がいる」

「そして、襲撃して来た蛮族の中で、誰がリーダーとかそういうのはではなさそう、との事ね」

 冒険者達はセオとテッドから聞き出した情報を元に、小屋で作戦会議を行う。

「……盗むだけ盗んで逃げるのも、銃の射程範囲を読んでの行動も、残忍なレッドキャップらしくない」

 煙を吐きつつ、ウサダは不自然な点を挙げる。

「俺は狡賢いグレムリンが指示を出していると思ったんだが……」

「農場に来る集団ににリーダーが居ないのであれば、それは違うだろう……だが、統率者はいる可能性はある」

 ヴェレッタは自分の推理を発表するが、ウサダはそれを否定する。だが、それが見当違いの意見ではない事を付け足す。

「レイチェル、カタリーナ、二人はどうだ?」

 ウサダは女性陣からも意見を聞くが。

「私はレッドキャップより小さい蛮族というと、コボルド位しか知らなかったわ」

 と、カタリーナ。

「お生憎、蛮族のお相手は初めてだから、そういう知識には明るくないわね」

 と、レイチェルは言う。

 ウサダは見取り図を写した羊皮紙を広げ、小屋に置いてあったチェスのコマをその上に置く。

「……なんにせよ、4人で同じ場所を見張るのでは、襲撃に対処出来ない恐れがある」

「じゃあ、俺が厩舎で待機して、そこから北側の放牧地を見張る」

 ヴェレッタはビショップのコマを一つ摘み、厩舎の位置にそれを置く。

「あたしも、ヴェレッタと一緒にそのあたりを張って置くわ」

 カタリーナはルークのコマを摘み、厩舎の方に置く。

「ところでルーカス。お前達は何処を見張るつもりだ?」

 ふと、ヴェレッタが此処の常在の護衛にそれを聞いてみた。椅子にもたれかかり帽子を被り眠っていたルーカスは、それに対して。

「俺は小屋で見張ってる。あの二人の配置は適当にお前らが決めてくれ」

 と、他人事のように不真面目に答え。そして、レイチェルにこう言う。

「お前も一緒に、どうだ?」

「ふふ、高くつきますわよ?5年分の給料持ってきなさい」

 それを、レイチェルは軽くあしらう。このやり取りについて、ヴェレッタは若干疑問顔だった。

「……見張りをするなら、斥候の技術を持つ者は班に一人は必要だろう。カタリーナもヴェレッタも、その技術については疎いだろう。その点、此処のセオは斥候の技術をそれなりに持っているようだった。セオはヴェレッタ達の班に、テッドはこちらの班で共に行動しよう」

 ウサダはポーンのコマを一つヴェレッタ達のコマの隣に置き、ナイト、クイーン、ポーンのコマを、厩舎から遠い農地1に置く。ついでに、キングのコマを小屋の位置に置いた。

「……レイチェルも、班分けに異存はないな?」

 ウサダはレイチェルに確認を取る。それに対してレイチェルは少し色目を使いつつ。

「ええ……ふふ、お相手に私をご指名なんて、見たいのは斥候の力だけ?」

 と、やや思わせる事を言うが。ウサダは肩を竦めつつ言う。

「生憎、持ち合わせがない。今日は斥候だけで頼む」

「あらら、つれないのねぇ」

「…こう見えて、シャイなんだ」

 迫られたウサダは逃げる為の口実か、リラックスの為か、小屋の窓際に移動して一服しはじめる。

「まぁ、働くのは夜だ。今の内に仮眠は取っておこうぜ。各班は仕事中に何かあったら【シグナル・バレット】を空に向けて撃ち連絡って事で」

 二人のやり取りを理解出来ず、理解する事を一旦諦めたヴェレッタは作戦会議に戻る。

「ええ、了解よ。それじゃあ各自休憩して、また日が落ちたら持ち場で合流しましょう」

 カタリーナも意味は理解していたが、深くは追求しない事にした。




 夜、厩舎でヴェレッタとカタリーナは背中合わせの位置で待機していた。直ぐ近くにはセオもいる。ヴェレッタは北口から放牧地を見ており。カタリーナはたいまつで薄く照らされた厩舎の中に注意を配っている。

 エルフは自然に溶け込み暮らす者が多く、種族的に夜目が良く利く。片親が人間のヴェレッタもそれは変わらない。それを見越して、ヴェレッタはこの位置で見張る事を選んだ。実際に、放牧地は月明かりに照らされてはいるが、遠くまで見渡すならば夜目が利かない種族では厳しい所だ。

 ヴェレッタの目が、暗い放牧地を歩く三つの影を捉える。ヴェレッタはその影の動きを見つつ、セオとカタリーナの背に触れてサインを送る。

「お、きたっすね……」

 振り向き、セオは小声で話す。ヴェレッタは肯き、二人に向かって小声で作戦を伝える。

「放牧地の方に隠れろ……奴らが射程距離に入り次第、一気に沈める」

 二人はそれに肯き、三人は音もなく厩舎から離れ、草陰に身を潜める。

射程内で不審者の影を確認すると、三人とも報告にもあったレッドキャップで、ヴェレッタ達に気がついている様子はない。

 レッドキャップ達は何かを早口で言っているが、蛮族の間で使われる言語の様で、それらの知識に明るい者の居ないこの状況ではその言葉の意味を知る事は出来ない。

『コマンドワード入力【ソリッド・バレッド】』

『コマンドワード入力【ソリッド・バレッド】。同一コマンド、リピート』

 カタリーナとヴェレッタは、自らの体内のマナを僅かに身に着けた銀色の物体に込めつつ、言葉を紡ぐ。

 銀色の物体は、マギスフィアと呼ばれるアイテム。それはマナを動力源とし、入力されたコマンドを実行する、人族の叡智の結晶。

入力されたコマンドは、弾丸への魔力の付与。単体ではただの鉄の筒でしかないガンも、弾丸と、それに付与された魔力により、ミスリルすら貫く必殺の武器と成る。

 レッドキャップ達はその言葉に反応して振り返るが、もう遅い。二人は既にそれぞれの得物を手に、彼らに狙いを付け終えていた。

銃声が放牧地に鳴り響き、カタリーナのサーペンタインガン、ヴェレッタの持つ二つのデリンジャーから弾丸が撃ち放たれ、それはレッドキャップに向かって寸分違わぬ狙い通りの位置を貫く。

「ガヒィ!?」

 カタリーナの放った弾丸は一匹の腹部を打ち抜き、血の噴水を上げさせる。

「ガッ……」

 ヴェレッタの放った弾丸は頭を砕き、命中した別の一匹は脳の組織を辺りに散らしながら動かなくなる。

「ゴシャァ!」

 無傷のレッドキャップは、即座に手に持った剣を振りかぶり、二人に向かって襲い掛かる。その目の前にカタリーナは咄嗟に飛び出て、ヴェレッタを守る。レッドキャップはお構い無しに振りかぶった剣をカタリーナに目掛けて振るう。

カキィン、と小気味良い金属音が鳴り、その後何かが地に落ちるドサリという音が鳴る。

それはカタリーナの首が切れて落ちたわけではなく、カタリーナがガンとは逆の腕で振りぬいたバスタードソードがレッドキャップの剣を弾き、勢いそのままにレッドキャップの手からすっぽ抜けた剣が放牧地の何所かに落ちる音だった。

「ギッィ……?」

 そのやり取りから戦意を失った、腹部を怪我したレッドキャップは即座に踵を返して逃げ始める。

「俺がそいつを撃ち抜く、姉ちゃんは逃げた奴を!」

 ヴェレッタが言いつつ、素早くコマンドワードを詠唱。再び両の手に持ったデリンジャーから二発の弾丸が飛ぶ……かと思われた。

「ガッ……ギィ」

 放たれた弾丸はカタリーナの前に立つレッドキャップに命中するが、その数は一発。

(片方ジャムった……こんな時に!?)

 狙いが正確だった、だが弾丸が飛ばず、レッドキャップが踏みとどまった事を見て、ヴェレッタは即座に自分の犯したミスの正体を知る。

「まったく、しょうがないわね!」

 カタリーナは即座にコマンドワードの詠唱と共によろめくレッドキャップに狙いを付け、弾丸を撃ち放ち、レッドキャップに止めを刺す。

だが、その間に逃げたレッドキャップはカタリーナとヴェレッタから十分距離を取ってしまい、このままでは逃げられてしまう。

 だが、レッドキャップは突如足を止める、その目の前には、セオが居た。

「散々悪さしやがって、逃さないっす!」

「ゴシャア!」

 レッドキャップは目の前に立ったセオに目掛けて武器を振り下ろす。戦闘経験を積んでいないセオに回避出来る訳もなく、その剣がセオの腕を切り裂く。

「ひぎぃぃぃ」

 セオは痛みに悶絶し、斬られた腕を押えながら蹲る。だが、この一瞬の時間に、カタリーナはレッドキャップの背後まで接近していた。

カタリーナが走る勢いそのままに突き出した剣がレッドキャップの胸を背中側から貫通し、最後の一匹も絶命する。

「何とか間に合ったわね……今、治すから『コマンドワード入力【ヒーリング・バレット】』」

 カタリーナは名誉の傷を負ったセオに向けて、弾丸を放つ。それに込められた魔力は、先程の物と違う、治癒の力。

セオの腕の傷は瞬く間に塞がり、出血が止まる。放牧地を見張る彼ら三人は、無事に蛮族に勝利したのだった。




 一方、農地1にはたいまつを持ったウサダとテッドの姿しか見えない。

ウサダは長い耳で遠くに響く銃声を聞き、放牧地の方向に襲撃があった事を知る。そして、それに対して別の班が迎撃に当たっている様子である事も。

テッドは、やや不安そうにウサダに話しかける。

「銃声っすね……兄貴かなぁ?」

「……かもしれん。誰が戦っているせよ、合図があるまでは待機だ」

 ウサダは先程まで吸っていた煙草を携帯灰皿に片付けると、コートから使い古されたサーペンタインガンを抜く。

帽子を少し上に上げ、遠くの一点見据える。その瞳の先には、夜闇に隠れた小さな影が二つ見える。

(……レッドキャップにグレムリンか)

 ウサダには、その二匹は銃声の聞こえる方向に応援に行こうか行かないかまごついているように見える。

「……合図を聴いたら、奴等の方向に走る」

「えっ、合図って……?」

 ウサダの言葉に、テッドはやや疑問顔だが。ウサダはただ一言。

「……直ぐに解る」

 とだけ言う。そして、テッドの口が次の言葉を紡ごうとして、声が出る前に。乾いた発砲音が一つ響く。同時に、二つの影の内、小さくて空を飛ぶ方の影が半分位の大きさになり、地に落ちるのが見える。

「行くぞ」

「へっ……はい」

 ウサダはその”合図”を見て、テッドと共に駆け出す。そして、呟く。

「……レイチェルの狙撃は、頼りになる」

 片方の身長を半分ほどにした人物は、レイチェル。

「ふふっ……甘いわよ」

 彼女は夜闇に隠れた位置に居て、銃を立てかけて笑う。そして、即座にその銃をもう一匹の方に狙いをつける。

『コマンドワード【ソリッド・バレッド】【ターゲットサイト】』

 銃に魔力が込められると共に、マギスフィアが変形して標準機となる。標準機の十字の中心にレッドキャップの脚部を置き、撃つ。

「グヒィ! ガヒッ、ギギギッ」

 レッドキャップは仲間が突然死に、自身も足を撃たれ、パニックに成りながら逃げようとする。だが、その進路にウサダが立ち塞がる。レッドキャップは立ち塞がるウサダに向かって斬りかかるが、ウサダはローリングでそれを回避する。ウサダは銃を突きつけ、睨みを利かせながら汎用蛮族語で語りかける。

「降参するなら、今のうちだ。仲間の様にみじめに死にたいのか?」

「アりえなぃ……ラくだってぼすが」

 だが、パニックに陥っているレッドキャップには会話は通じなかった。無駄だと理解したウサダは、コマンドワードを詠唱する。

「『コマンドワード【ソリッド・バレッド】』……。地獄で、また会おう」

 引き金を引き、弾丸が放たれ、レッドキャップは胸から血を噴出しながら倒れ死ぬ。

弾薬をガンに込めなおしつつ、彼が最後に呟いた言葉から、ウサダは。

「……やはり、親玉がいるか」

 そう、呟き、帽子をかぶりなおした。その時。

「そのようね、随分ともたない方の相手だったわぁ」

 いつの間にか後ろに立っていたレイチェルが、ウサダの呟きに答える。

「……今度から背後に立つときは一声かけてくれ」

 ウサダは特に驚いたそぶりは見せないが、たしなめる様にレイチェルにそう返すのだった。





 二方面からの襲撃を冒険者達が迎撃したその直後、小屋の方向で銃声が鳴り、その上空10mで何かが発光する。

それは、あらかじめ決めておいた、援軍要請の信号弾だった。

「襲撃!?」

「セオ、援軍に行くぞ!」

「あにき! 今行くっすよ」

 放牧地から厩舎に戻ろうとしていたカタリーナ、ヴェレッタ、セオはそれをみて直ぐに駆け出す。

「……合図だな」

「えぇ、急ぎましょうか」

「あっちは小屋っす! あにきに間違いないっす」

 農地から信号を見たウサダ、レイチェル、テッドも急いで駆け出す。

二つの班が向かった先に行くと、そこにはレッドキャップの死体が一つ。近くの倉庫には、鈍器で強打したような凹みがある。

「居ない、どういう事!?」

 あたりを見渡すカタリーナは、ルーカスの姿も、ましてや襲撃者の姿すらない事に驚いている。

「いや、足音がする……。そっちだ!」

「……」

 ヴェレッタはその感覚で、襲撃者の居る方向を察知し、示す。ウサダは無言で手に持ったガンを構えなおし。カタリーナは直ぐさまその方向に魔法を行使する。

『コマンドワード入力【フラッシュライト】!』

 光で照らされた先には、何も居ない。だが、足跡が一つ、また一つと増え、こちらにゆっくりと接近してくるのが見える。

「何者だか知らねぇが……それ以上近づくと、撃つぜ」

「……ぶち抜く前に聞いておくが、やる気か?」

 ヴェレッタはデリンジャーを抜きつつ、足跡の主に警告を発し、ウサダは汎用蛮族語で問いかける。足跡の主は一言も発せず、こちらに向かって突進してくる。

「それが返事だと受け取る。お祈りは先にしておけ『【ターゲットサイト】【ソリッド・バレット】』」

 ウサダは素早くコマンドワードを詠唱し、ガンの引き金を引く。だが、透明な者に対して狙いは正確に定まらず、容易に避けられる。

『『コマンドワード入力【ターゲットサイト】【ソリッド・バレット】』』

 カタリーナとヴェレッタの息の合った射撃が避ける敵を追いかけるが、これもひらりと避けてこちらに接近を続ける。

『コマンドワード【ターゲットサイト】【ソリッド・バレット】』

 レイチェルも即座にガンを向けて射撃をするが、狙いをつける時間もない状態ではその敵の急所を捉える事も出来ない。攻撃の失敗を悟ったウサダとカタリーナは、レイチェルとヴェレッタを攻撃に晒すまいと一歩前に出て立ちふさがる。透明な敵はカタリーナに狙いを定め、殴りかかる。

「くっ……」

 カタリーナは頭上で腕を交差させ、敵の攻撃を受け止める。鎧の硬質な箇所で受け止めた事によりダメージは無いが、透明な攻撃に対してそれが出来たのは偶然もあるだろう。

「守りがお留守だぜ!」

 だが、その一撃の一瞬の隙、そしてカタリーナの前にいるという位置情報から、ヴェレッタが素早く狙いをつけて放った弾丸がついに敵を捉える。くぐもった痛みに堪える声を上げると共に、中空に弾痕と、そこから流れる鮮血が現れる。

「……流石だな。これでよく的が見える」

 ウサダはヴェレッタを賞賛しつつ、敵に追撃を撃ち込むが、弾痕は血を散らしながら後ろに飛んでそれを回避……透明な敵が、バックステップを取ったのだろう。カタリーナとレイチェルも続けざまに撃つが、中空の弾痕がひらりひらりと動き回るだけで、それ以上傷が増える事はない。

中空の弾痕は急速にウサダに向かって接近してくるのが見え、そして透明な腕がウサダに殴りかかってくるが、その殺気を察知したウサダは横っ飛びで回避する。そして、ウサダが攻撃をかわすと同時に、筋肉と血管の浮き出た異様な姿が月明りの下にあらわになる。

「……種が分かれば、大したことはないな」

「あらあら、この私がお相手してあげるというのに随分な格好ですこと」

ウサダは帽子を被りなおしつつ呟き、レイチェルは透明な者の姿に異様さを嘲笑する。

「行くぜ、姉ちゃん!」

「ええ、ヴェレッタ!」

『『コマンドワード入力【ターゲットサイト】【ソリッド・バレット】!!』』

 姿を現したその異様な人型に対し、カタリーナとヴェレッタはすかさずガンの引き金を引き、弾丸を撃ち放つ。寸分違わぬ連携と狙いで放たれた弾丸は透明だった敵の急所を貫き、地に膝を付けさせる。奇怪な人型はそれでもさらに動こうとしたが、がくがくと身を動かすと、血を吐いて倒れた。

「やれやれ、見えないだけが取り得の雑魚かよ……」

 ヴェレッタはガンに弾を装填しつつ、息を吹く。ウサダはあたりを見渡し、同じように弾を装填しながら聞く。

「ルーカスの行方を知ってるやつはいるか?」

「いや、知らないわね。小屋にいたんじゃないの?」

「ルーカス……? ああぁ!」

 カタリーナは特に問題ではなさそうに、ヴェレッタはハッと今気がついたようだった。待機しているはずの小屋の中を確認しても、ルーカスの姿はない。

「だけどこの方向から信号弾は飛んできたのですわよね」

「……不味いな。ここにいないとなると、さらわれた可能性もある」

 レイチェルとウサダは、想定される問題を挙げる。

「まさか……さっきの襲撃は陽動か?」

 ヴェレッタは考え込む仕草をしつつ蛮族の作戦を推理する。ウサダは可能性はあると言いつつ、別の仮説を挙げる。

「もしくは持ち場を離れて追って行ったか……」

 二人が考え込んでいる時、レイチェルがカタリーナの【フラッシュライト】を頼りに地面の足跡を探り。

「大き目の足跡が二つ、農園から離れていっているわ。これは……逃げたのでしょうね」

 と足跡を目線で追いながら、全員に伝える。冒険者達はそれに肯くと、レイチェルの先導について行く。

「……誰が逃げたかが問題だな」

 ウサダはレイチェルに先導されながら、推理を続ける。ウサダの知識が正しいならば、組織的な動きが出来る蛮族の集団である恐れもある。警戒すべき物は、少しでも先に予見しておきたい。





 月は既に昇りきり、足跡の追跡を続ける内に少しづつ西に下りてゆく。

足跡の先、暁の太陽に照らされた先にある事件の結末を……、冒険者達はまだ知らない。

さて、先ずは第一話を読んでくれて、ありがとう。



そして、今私が言わなければならない事は、この作品はリプレイであるものの、作風の観点から、若干のカット・脚色等の編集が加えられている。


通常のリプレイでも、冗長になりそうな部分は細かく書かず、適当に端折りつつ書くのは基本だ。

この作品でも冗長な部分はカットされている他、所謂「PLの視点ありきでのドラマ」はカットしている。

具体例を挙げると、カタリーナがレッドキャップを倒す際のシーン。そして、保安官事務所でヴェレッタが出目11を出した箇所のいろいろがカットしてある。

今後もそういった編集を要所で挟んでいくが、ご了承していただきたい。



さて、簡単な解説で済む世界観紹介等は、今回の前書きのように前書きで書いてゆく。

今回のあとがきでは、SW2.0を知らない人向けの、SW2.0の<ガン>の特徴について軽く説明しよう。



まず、人族と蛮族の戦いは、現代を含めて四つの文明に分かれていると、歴史学者は言う。


神々の戦いの時代~神紀文明~

魔法王が群雄割拠した時代~古代魔法文明~

魔法による道具が発達し、人族が圧倒的優位に立った~魔動機文明~

そして、冒険者達が活躍する~現代~


ガンが登場したのは魔動機文明にあたり、この頃はかつての文明で支配階級の特権であった魔法を万人の物とする為の新たな魔法の体系が考えられ、その結果生まれたのが魔動機術……そしてそれの扱い手を、マギテックと呼ばれ、この魔法は正しい知識と魔力、そして必要な道具があれば誰でも扱えることを目指して生まれた。

そのマギテックの扱う魔法により生み出される魔弾。それを射出するための武器が、ラクシアにおける<ガン>なのである。


ゲーム的に言えば、魔弾の攻撃力の決定をマギテックのレベルで、ガンの命中率の決定をシューターのレベルで決定すると言う特徴がある。


魔動機術はガンの他にも、マギスフィアと呼ばれる銀色の球状の物体を使用する。

それに魔力を込め、コマンドを起動する為のワードを入力する事で、マギスフィアは様々な効果を発揮する。

先ほどの魔弾の生成に加えて、作中でも使われた【フラッシュライト】や【ターゲットサイト】がこれにあたる。


SW2.0におけるガンマンとは、様々な飛び道具を扱う射手であり戦士、そして同時に、数々の魔法の技術を操る魔法使いでもあるのだ。

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