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番外編{きっかけの話~昔のお仕事の最中~}

パーソナルデータ紹介~レイチェル~

性別:女 年齢:21 毛の色:金 瞳の色:蒼

その他特徴:抜群のスタイル。長くて綺麗な金髪。思わず溜息が出るほどの美人。

主なる技能

斥候スカウト

その他技能

射手シューター

魔動機師マギテック

錬体士エンハンサー

一般技能

高級娼婦コーティザン

・踊りダンサー



 戦場で戦う技能を二の次。密偵としての技術に前のめりに経験点をつぎこんだ技能が何よりの特徴。

 その高い斥候のレベルから、探索、追跡、隠密、危険の感知に加え、戦闘においても安定して味方陣営に先手を与えられる。

 ただし、単独での戦闘力は低く、ジェザイルのリーチの長さを除けば、攻撃力や耐久力は他のキャラクターに一歩劣る。

 だが、人間の持つ[剣の加護/運命変転]によるここぞという場面での強さ。そして、時に静かに潜み、時に軽やかに舞う動きの柔軟さは、パーティに一人は居て欲しいと思える頼もしさがある。曲者だが優れたサポート役。

 室内に乾いた銃声が三回聞こえると、部屋は静かになった。

 上に乗った二人の人間の動きに合わせ、ギシギシと音を鳴らすベットの軋む音も。

 与えられる快楽に身を委ね、言葉にならない声を上げていた男の喘ぎも。

 粘着性のある液体が発する、くちゅりという湿っぽい音も。

 室内に乾いた銃声が三回聞こえたのを最後に、まったく聞こえなくなった。

「……まずは、一つね」

 三回の銃声を鳴らした、愛用のガンを片手に、三回の銃声を鳴らさせた女性が、またがっていた男性の上から降りて、ベットに腰掛ける形になる。

 女性は自分が一糸纏わぬ姿である事を意に介さず、全裸のまま立ち上がると、何かを呟く。その呟きに呼応して、彼女が唯一身に着けている銀色のイヤーピアスが前方に明かりを発し、薄暗い室内を照らす。

 部屋は個室にしては広く、先程まで女性が居たダブルベットに、その脇にあるランプの置かれたサイドテーブル。その足元には脱ぎ散らかされた女物のドレスと下着に、男物の礼服と下着がワンセットずつ。他の家具は木製の大きな本棚に、引き出し付きのデスクと椅子。床は板張りで、窓はカーテン付きのガラス窓。部屋の入り口の扉は少し丈夫そうだ。

 部屋を一通り眺めなおした女性は、その中から目星をつけ、優先順位の高いものから素早く調べてゆく。デスクの下や裏を見て、軽く拳骨で叩いて音を聞くと、今度は本棚に歩み寄り、壁と本棚の僅かな隙間にライトを当ててみる。

「ビンゴ。これで二つね」

 本棚で隠れた壁には、隠し扉があった。本棚に少し力を入れて押してみれば、見た目よりも軽い材質の物なのか、簡単に横にずれて、隠し扉が姿を現す。

 女性が隠し扉を開けるべく、手をかけようとしたその時。

「そこまでだ」

 室内に、女性の立てる僅かな音以外の音が発生する。入り口のドアを開ける音。何者かが部屋に入る足音。渋い中年の声。

「……あら、どちらさま?」

 女性は両腕で自分の体を隠しつつ、ゆっくりと振り返る。入り口に居たのは、赤いバンダナが印象的な、白い毛のタビット。

「タビットの戦士、ウサダ。そこで寝ている男に雇われた用心棒だ」

「あら、役立たずなのね」

 彼の自己紹介に、挑発するかのような返答を返す。事実、雇い主を守る用心棒が、易々と雇い主を殺されたのでは、まったくもって役立たずなのだが。

「まったくだ」

 自嘲気味に言い、ウサダと名乗るタビットは肩をすくめた。

 しかし実際の所、女性は余裕を装っては居るが、内心は穏やかではない。身に着けている唯一の装備はイヤーピアスのみ。ガンは既に弾奏の三発を撃ち切った上に、装弾されていない。しかも間が悪い事に、装備は現在、ベットの脇のサイドテーブルの側にある。

「ええ……それに無断で女性の裸を見るなんて、紳士のする事でもないわね」

 世間話をするような気軽さで話しかけつつ、女性はサイドテーブルに自然に歩み寄ろうとする。

「そうだな、ウサギの神が見ていたら、俺は明日にでも天罰を食らうだろう」

 だが、ウサダは会話をしつつ、その進路に立ち塞がる。

 女性は表情を動かさず、心の中で思い切り歯噛みをした。今まで仕事でしくじった事は無かったが、自分の命運も尽きたかと考える。

「……何時から気がついていたの?」

 女性は言葉を投げかけつつ、隙を窺う。だが、あまり時間もかけられない。用心棒一人に見つかっているなら、別の護衛が事態を聞きつけて増援に来るのも時間の問題だった。

「ピアスに偽装したマギスフィアを見た時から……。それに、そのガンは消音加工を施した物だな。良い武器だ」

 ウサダは一見、暢気に話に付き合っているだけのようだが、その右手は常にホルスターに収まったサーペンタインガンに添えられている。少しでも不審な動きを見せたが最後、あのガンの銃口がこちらに向いて火を噴くのだろう。

「ええ、大切な人から貰った大事な物よ。私に魔動機術マギテックを教えてくれた人から、ね」

 レイチェルは、自分に”女”以外の武器を得るきっかけを与えてくれた人の事を思い返す。でも、もう彼には会う事もない。会う機会も、恐らくこの失敗で永遠に奪われる。

「思い入れのある武器か、良い物だな。……ところで、この仕事は何時からしている?」

 意外な事に、ウサダの方から女性に問いかけてくる。

「さて、何時だったでしょう……。こう見えて、これまでは失敗無しだったんだけどね」

 女性は肩をすくめて答える。その顔は、少し諦めたような、死を悟ったような吹っ切れた表情でもあった。

「そうか」

 ウサダはそう言って、ホルスターからガンを抜く。

「だが、その仕事も今日で終わりだ」

 ウサダのその言葉を聞いて、女性は最後の時を待った。













 意外な事に、レイチェルに向って飛んできたのは、弾丸ではなく自分のドレスと下着。そして、ドレスに隠した腿に巻くタイプのベルトとホルスターに、スカウト用の小道具入れ。

「……早く着替えてくれ。こう見えて、ウサギは照れ屋なんだ」

 左手で窓を開け放ちつつ、右手で隙無くガンを構えるウサダが、背中を見せつつレイチェルに言う。

「……どういうおつもりかしら?」

 ウサダの真意がわからず、レイチェルは尋ねる。

「言っただろう? その仕事は今日で終わりだと」

 ウサダがそう言った。女性はそれが死刑宣告だと捉えたのだが、どうやらウサダの中では違うらしい。

「単刀直入に言おう、俺と共に冒険者になる気は無いか?」

 女性は、まったく予想だにしない答えに面食らってしまう。一体何処に、雇い主を殺した女を冒険に誘うウサギが居るものかと思ったが、今まさに目の前に居た。

「あはっ……面白い事を言うのね、貴方。貴方みたいな男には初めて会ったわ」

 女性は思わず笑ってしまった。そして、先程まで死を覚悟していたのが馬鹿らしくなる。

 考えてみれば、冒険というのは何と心躍る響きなのだろうか。今の仕事に不満は無いが、もしかしたらこのウサギについて行った方がもっと面白いかもしれない。

「良いわ、貴方のお話に乗りましょう。でも、私のご指名は高くつくわよ?」

 女性はそう返答する、そして、脱いでいた自分の服を身に纏い、開いた窓の側に佇むウサダの側に駆け寄る。

「良い返事だ……。名前は……アシュリーと言ったか?」

 ウサダは返答に満足そうに言い、名前を確認してくる。

「レイチェルよ。その名前はそっちの彼の前でしか使ってないわよ」

「そうか。今から俺とレイチェルは冒険者仲間だ。冒険の先で立ち塞がる困難を、協力して共に乗り越える仲間だ」

 女性はレイチェルと名乗り、ウサダはそう言って、開けっ放しの部屋の出入り口に振り返って話を始める。

「困難って、例えば?」

 廊下からは、慌しい足音が聞こえてくる。それを聞きながら、レイチェルはウサダに問いかけた。

「そうだな、例えば……」

 廊下の足音は止まる。部屋の入り口からは、四人の武装した護衛達が部屋に入ってきて、レイチェル達をひっ捕らえんと手を伸ばしてくる。

「”自分達より沢山の相手が、俺達を捕らえようとしている時”だな」

 言うや否や、ウサダはホルスターにガンを収めると、右手でレイチェルの手を引き、窓から飛び降りる。左手の指を鳴らして手を開くと、手の平に乗っていた豆が急激に成長して太い蔦になり、窓枠から別の建物にまで伸びる道になってゆく。レイチェルは驚きつつも、ウサダと共にその蔦の上に着地し、ウサダに手を引かれるまま蔦の上を走り、逃げてゆく。














 無事に逃げ遂せ、その翌日。レイチェルは身支度をして、今まで世話になった居場所を後にする。

 店のマスター……皆からはマダムと呼ばれている者には、昨晩の内に話をしてある。マダムは止めもせず、かといって門出を祝いもせず、ただ出て行くことを了承してくれた。

 ウサダとは、昼頃に街の北口で待ち合わせをしている。旅に必要な物も、待ち合わせ場所に行くまでの間に、手持ちのお金で買えるだろう。

 だけど、思い残した事は、ないわけではなかった。

「おねえさま、お出かけですか?」

 店を出ようとするレイチェルを、呼び止めた人物が一人居た。

 可愛い妹のように思っている後輩、マーガレットが黒い瞳をこちらに向けている。彼女に黙って出て行く事への罪悪感も感じていたが、旅立ちの事を言えば彼女は止めるだろう。止められたら、きっと旅立てなくなってしまう。

 でも、何時までも店や彼女に頼ったままでは居られない事もわかっている。だから、なるべく平静を装った。何時もみたいに、少し出かけて来る様子を装って、レイチェルは別れの挨拶をする。

「ええ、そんな所……。じゃあね」

 レイチェルは、自分でも、上手く隠せたかは、わからなかった。

「はい、いってらっしゃい」

 けれど、マーガレットは特に気にした様子も無く、何時ものように笑顔で見送ってくれる。レイチェルはあえて振り返らない様に心掛けながら、店を出て真っ直ぐ表通りに駆け足で向かった。






 それから、乗り合い馬車に乗って北上するレイチェルとウサダが、後にパーティを組む二人と出会うのは、少し先の話。

 度々更新が遅れて申し訳ない。

 今回は、レイチェルが冒険者になるきっかけの話になる。



 この話はウサダの過去と同様に、レイチェルのプレイヤーが手掛けた過去話を元にしている。

 ウサダの時と違うのは、今回の話はとある事情から原文が紛失していた事。

 過去編は富士見公式TRPG ONLINEのキャラクターシート製作・保管機能によって管理されていたが、レイチェル過去編はキャラクターシートにしか保管をしておらず、そのキャラクターシート保管機能の停止に伴い消滅したのである。


 そう言った事情もあり、元が短い話だったのもあるが、思い出しながらの執筆で有った為に、久しぶりの更新でありながら、短い話になってしまいました。



 最後になったが、何時もパーティを影から支えて来たレイチェルを演じ、そしてその過去編を書き、それを元にした話の投稿を許可してくれたレイチェルのプレイヤーさんに感謝を。

 ありがとうございます、これからもよろしくお願いします。

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