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魔法使いの勇者様  作者: 枕と御布団
魔法学園編
8/33

第六章[日常に不必要なモノ]

グロ描写が連続します。仕方ないのです。

 学園の庭園はもう地獄絵図として呼ぶべき惨憺たるありさまだった。

 旧時代のヨーロッパ風に整えられた、四季折々の花々が品よく咲き誇る広大な土地、ところどころに休憩所として存在する噴水など、一種の幻想的な光景を常に保っていた魔法学園の庭園はモンスターたちが跳梁跋扈し、人間だったものの残骸があちこちに飛び散っていた。


 もはや彼らを普通のやり方で弔うことなど不可能だ。箒で飛んでいるところをドラゴンが飛翔してできた風圧に高空から叩き落とされた結果、運悪く首を折ってしまったせいで即死したのだとわかる、噴水そばにころがっている推定百キロ以上に肥え太った男性職員はまだましなほうだ。

 颶風に巻きこまれた建物や木々に激突されて腹部から上を失った下半身がある。竜巻の中で風圧に折りたたまれて全身あらぬ方向にねじ切られて子供が適当に遊んだ関節可動人形のようになった元清掃員の体がある。ドラゴンに応戦した魔法使いの投射した石槍の流れ矢に貫かれて百舌鳥の速贄のようにされた老魔法使いは反対側から中身をぶちまけてびくびくと痙攣していた。


「こ、ろして……」


 息も絶え絶えに懇願されても殺人の恐怖で首を振るしかできない。老魔法使いは恨めし気にこちらを睨みつけて殺せ、殺せ、と何度も言っていた。魔法使いの特徴として、不老や不死を得てしまう者がいる。おそらくは体が勝手に魔力で生命機能を補完してしまうせいでこんなに致命の傷を負っていても死ねないのだろう。

 殺してやったほうが救いだ。襟人はこんな風になってしまった人を治療することなんてできないし、それは後ろの少女だって同じだ。

 それでも襟人にはできなかった。人間を殺すことがどうしても忌避されて、二人して怨嗟の声から逃げ出した。


 序の口だ。この程度はまだ最初のドラゴンの被害に過ぎない。怪獣招致(モンスターコール)で召喚されたくせにドラゴンにはこちらをわざわざ殺して回るという目的はないらしい。まるで自分の縄張りの中にうっとうしく飛び回る不届き者が現れたから適当に払い落とした、というかのように、ドラゴンは空を飛ぶ魔法使いに対してだけ敵意を向けた。

 いや、敵意というか。ドラゴンには敵意はなかった。本当に追い散らすだけ追い散らして、あとは空を飛びまわりながら人間が空を飛んでこないように見張っている。


 問題となるのはドラゴンによって、巻き殺されたそれらを拾い食らう食人鬼たち。

 襟人が木の強度を劣化させて押し倒し、その状態で無抵抗に殴り倒したゴブリンたちや、先ほど偶然事故で首を折ってしまった豚面巨人、あるいは四つも目を持っている二股のしっぽが特徴的な野犬や人間の破片を取り込んで消化しているゲル状の塊(スライム)


「……お、げぇぇええ!」


「うっ……ええっ!」


 首が後ろ向きになった誰かの死体を千切って食べている豚面の巨人を見つけた時には二人して胃袋の中身をその場にぶちまけることになった。

 さらにそれに反応したのか、モンスターたちに気付かれて逃げまわることになる。


「とんでもない状況ですわ……」


 まさに地獄絵図、だ。食人鬼に食べ散らかされたもの、まとめてぞうきんを絞るように他人の体と一体化してしまったもの、内臓を花のように開かれたものはもう人間の死に方として認められない。それらはもはや人間の遺体ではなく、ただ一言で死体と呼ぶべきものだから。


 いっそう強く武器を手に入れる必要がある、と自覚した。あんな死に方はごめんだ。それなりに鍛えてはいるけれど、怪獣招致(モンスターコール)の怪物たちとまともに同じ土俵で戦いたいとは思わない。予想ではゴブリンはナイフを持った個体と一対一で勝率七割から六割程度、豚面巨人はもうあきらめたほうがいい。

 魔法無しであんなものと打ち合えるようならそいつはもう半歩ほど人間を踏み出している。


 もちろん、奥の手のエレクトロン焼夷弾を使えば四体までは倒せるはずだ。だが強力な武器である半面、このエレクトロン焼夷弾には一つ欠点があって、すさまじい高熱を集中的に浴びせることができ、閃光弾のように視覚を奪える代わりに遠くのほうまで強烈な光が届いてしまって、怪物たちを引き寄せてしまうかもしれないのだ。


 そうなればドラゴンによって箒という移動手段を奪われた襟人たちは四方八方から押し寄せてくる食人鬼たちに取り囲まれて殺される。

 そうなる前にどこかから武器を調達しなければいけないのだが、


「くそ……空を飛べないことがこんなに厄介だとは思わなかったぞ……!」


 目的地である逢坂恋愛の研究室がある特別研究棟までは第七校舎と時計塔を超えて第九校舎のそばを通過してカフェテラスの向こうに行くというのが最短距離なのだが、その間に広がっている庭園が広く、そして遮蔽物がまったくと言っていいほどにないのだ。


 今だって服に草と土とを使って塗装錬成(めいさい)していなければとっくに見つかっているという自信がある。モンスターたちが動くたびに見つかったのではないかと心臓が強く鼓動を打ち、呼吸が荒くなる。


 普段は箒なんてあっても……くらいに強がっている襟人だったが、今は心底箒が使いたいと思った。

 おそらく大昔の武将たちも空を飛べる鳥たちを羨んだことだろう。同じように空を飛ぶ者さえいなければ制空権を取った側は圧倒的に強い。一定の高度を保てば絶対に攻撃が届かないからだ。


「何を悩んでますの?」


 と頭の中で地図を呼び出して高台から見た風景で補正している襟人に傍らの少女が疑問を投げてくる。怪物たちがいる真っただなかをこそこそと保護色になるように気を遣いながら隠れ進んでいるせいで寄り添いあっているため、顔が近い。つややかな金髪から甘い花のような香りが鼻腔をくすぐる。


 この黒川(くろかわ)金紅石(るちる)という少女は、学園の庭園の隅のほうで魔法の練習をしようと歩いていたところであの大地震にあったらしく、直後のドラゴンで混乱しているところであの豚面巨人に追い掛け回されていたらしい。

 そして足がもつれていよいよ捕まるというところで突然上から降ってきたものが豚面巨人の上にのしかかって倒してしまった、という流れ。


 あの豚面巨人が人間を食べるのを見ているので、おそらくは金紅石も食い殺されるところだったのだろう。まさに間一髪のところで襟人が崖を転がり落ちてきた形になるらしい。

 もしこの世界が小説の世界だったら助けられたことに恩を感じてでれっでれになるヒロインちゃんの立場だったのだろうが、現実とは厳しいもので、この少女はこちらが安全な人間とわかるや否やもっと早く助けなさいよーと襟人がくの字に折れ曲がるほどのパンチを襟人の腹にぶつけ、そのまま息が切れるまで連打してきたのだ。


 みぞおちにもパンチをもらってしまったため、かなりスタミナが持って行かれてしまった。いくら美少女であっても、腰が引き締まっているのに出るところが出ていても、こんな乱暴者では「ははは、怖かったんだね(キラリ)」とかそんなイケメンなセリフも言えない。


 くっそう……ホント体はエロいよなあ。九十以上は確定だよなぁ、お礼に揉ませてくんねえかなー。


 かなり不謹慎かつ下種いことを考えてしまうのは男の本能的なところなので実行しなければセーフということにしておきたい。でなければ犯罪者で地上があふれてしまう。EXメガフロート全盛のこの時代にあふれるような『地上』もないが。


「ゴブリンやオーク、スライムの程度の幻想生物、かの逢坂恋愛の血縁なら文字通り一蹴して蹴散らせるのではなくて?」


 それは襟人以外の話だ。


「璃珠奈姉さんとか兄貴ならな……」


 襟人の兄、出木杉(できすぎ)緋色(ひいろ)であれば意味不明の理屈でなにかよくわからない勇気とか正義の心とかそんなものを込めた攻撃でたいていの奴は一方的に攻撃して倒せるように思う。

 あとは襟人の両親含め逢坂恋愛の子供なら問題なさそうだ。婿養子の親父は熊を素手で絞め殺せそうな筋肉ダルマだし、襟人の母親はおしとやかな笑顔のまま瞬間移動みたいな技を使う。


「僕は落ちこぼれなんだよ」


「ふん、嘘ですわね」


 鼻さえ鳴らされて瞬間的な否定が入った。


「なんでお前がそんなことわかるんだよ」


 少し腹が立ってつっけんどんに言う。


「逢坂恋愛の血縁はそろって優秀すぎるほどに優秀と聞いていますもの。代を負うほど力が落ちているそうですけど、貴方と同じ孫の姫菜さんは間違いなく稀代の魔法使いでしたわ」


 それに、と言葉を継いだ。


「こんなに見事な偽装を錬金術でやってしまうあたりやっぱりとんでもない魔法の持ち主なのですわ」


「それは根本的に勘違いしてるぜ」


「どういうことですの?」


 金紅石に襟人はそのままの意味だよ、と言って、


「本物の魔法使いならこんな迷彩になんて頼らずに透明化するマントとか視覚や魔法感覚を隠蔽する布を作るんだよ。今の時代の魔法使いのレベルが低すぎるんだって祖母さんが言ってたな」


 もっとも、魔法使いだからって逢坂恋愛が戦っていた戦時の怪物どもと一緒にされたらたまったものではない。たしかに当世の魔法使いでもトラックの衝突くらいなら障壁魔法で防げるだろうが、あくまでも全力を振り絞ったらの話なのだ。


 こんなにたくさんいる怪物たちを一発で根こそげるような魔法使いはそれこそ逢坂恋愛と同じ時代の伝説の大魔法使い『ゴッドスレイヤー・カザミ』くらいのものだと思う。

 いわく、接近戦でも負け無し。いわく、国一つを丸ごと吹き飛ばした。一説では神様を殺したって話まで残っていて、あの(・・)人類史上最悪の魔女、逢坂恋愛が最終的に一番手強かったとまで言っている大英雄である。


 この伝説が打ち立てられたのが、騎士と呼ばれるとんでもない格闘戦のプロが魔法使いと組んで戦争をしていた頃の話だというのだから本当にとんでもない。


「見事な錬金術迷彩、なんかじゃない。本物の魔法使いなら透明化してれば堂々と歩けるけど、迷彩しかできないんだ。魔法の知識自体はあるのにな」


 言ってみれば苦肉の策なのだ。


「透明化なんて高度な魔法、一部の天才以外は誰も使えませんわよ……」


「なんだって?」


「なんでもありませんわっ!」


 小声で何事か言っていたのがよく聞こえなかったので聞いてみたら大声で返された。あわてて口元に指を持って行って静かにするようにジェスチャーで指示をする。


「というか、よく考えてみればお前も魔法使えよ! なんで僕ばっかりが魔法使って必死なんだよ!」


「だめですわ」


「なんでどうしてホワイ!?」


 何故の三段活用で詰め寄ると、金紅石は悔しそうに視線を横にやった。


「わたくしは魔法が使えませんもの……。魔法使いなんて名ばかりの、本当はただの魔力持ちですの」


 つまり、落ちこぼれなのですわ……。

 暗い表情で、消え入りそうな声で、そんなことを言われてしまった。

 落ちこぼれ。それは、ずいぶんと身になじんだ言葉だ。


「わたくし、あなたと違って魔法の才能はてんでありませんもの。基本魔法はもちろん、そこからの派生なんてとても発動できない。空も飛べませんし、特に何らかの系統に入る魔法ほどだめで……ついには家族から扱える魔法の数がゼロだからと言ってゼロ、ゼロ、と揶揄されましたわ」


 家族はとても優秀ですもの、と誇らしそうに、少しさみしそうに言う。

 せっかく同じ学園なのだから、と勇気を振り絞って逢坂恋愛に相談にも行ったそうだが、


「逢坂先生が言うにはわたくしの魔法は現代には必要ない魔法(モノ)だからそのまま眠らせておけ、だそうで……」


 かろうじて魔力を通した物体の構造図が頭に読み取れる程度にしかならなかったらしい。


「ですから練習しようと思って毎日あのあたりに通っていたのですもの……。でなければあんな学園の隅になんていきませんわ」


「……ごもっとも」


 自分と重なりすぎて頭痛がしてきたのを感じてそのまま眉を抑える羽目になった。まさか運よく合流できたその魔法使いが襟人クラスに使えない人材だったとは、と考え、


「……あれ?」


 疑問が口をついて出た。

 襟人の視線は金紅石のシミひとつないきれいな腕に向けられている。真っ白で雪のようで目を引き付けられるが、今はそうではなく。


 どうして魔法刻印がないんだ?


 自分の右腕を左手でさする。そこには逢坂恋愛がナイフ片手に麻酔なしで拘束だけして刻み付けたタトゥーのようなものがしっかりと存在を主張している。

 逢坂恋愛はこんな便利な魔法陣を持っているのにそれを使わなかったのだろうか?


 それとも女の子の肌に刻み付けるのはさすがに心が痛んだ……とは考えづらいか。あの魔女は相手が泣き叫ぶ五歳児でも「うんうん、そっか痛いかー、でも死なないから我慢しようねー」とか言ってそのままザクザクと腕を刻めるハイパーデビルだし。

 空中都市(EXメガフロート)なんかのトンデモ技術を惜しげもなく公開しまくっているあの逢坂恋愛が技術の出し惜しみというのも考えづらいし、おそらくは何かしら考えがあったのだろうが、しかしどうにも理由がわからないというのが本音であった。


 ここでそれを言っても仕方ないので、恋愛にあったら尋ねてみよう、と決めた。

 累積が問題になるから刻んでも使い物になるのは何年も後の話だと思うが。


「そうなのか……眼に星が輝いてるからてっきり魔眼持ちのエリートなんだとばかり思ってたよ」


「家族も最初はそう思ったそうですわ。でもわたくしの眼はどんな効果を持っているのかさっぱりわかっていませんの。たぶん、本当は見かけ倒しなのでしょうね。おかげで随分な扱いを受けましたわ……当たる光や魔力で色が変わったり暗闇で爛々と光るなんてバケモノみたいでしょう?」


「へえ……キラキラしててきれいなのにな」


 やはり違うということは悪いこととして扱われるかと、感想していると、気が付けば金紅石が何やら眼を見開いてきょとんとしたような、びっくりしたような、信じられないものを見たような、それらがない混ぜになったような、とにかく変な顔をしていた。


「どうした? アホみたいな顔して」


「……あ、あなたっ、失礼ですわよっ!? 大体、婚前のレディに……どういうつもりですの!?」


「といわれても。実際にそう思ったから口に出したわけで」


「なっ――――!?」


 アホと言われたのがそこまで屈辱だったのか、ついに耳まで真っ赤にしてうめきはじめた。このまま爆発されても困るので話題を変えよう。


「悪かった。そこまで怒るとは思ってなかったんだよ。謝るからそうやって興奮するな」


「べ、べつにわたくしは興奮してなどっ」


「わかった、わかってるから。大声出すと見つかる」


 静かにするようにジェスチャーを送って何とかなだめる。

 なにやらそれでも納得いかないことであるのか、うーうーとうめいていたが、気にしないほうがいいと思ってさっさと話しを移してしまうことにした。


「じゃあ睨んで暗示、とかも使えないのか……。投射系の魔法があればかなり便利なのにな」


「あなたもわたくしも戦えるような魔法が使えないのでは仕方ありませんわね……。当面はこの剣一本が命綱ということですわ」


 別に全く戦いに使えない魔法ばかり、というわけでもないのだが。錬金術だってエレクトロン焼夷弾を作れるのだし。

 襟人が事故死させた豚面巨人の持っていた剣を、もう一度襟人が錬金術で使いやすく手元に重心を置きなおして圧縮をかけて頑丈に作り直した細剣を真剣に見ている金紅石を見ていると中途半端なことも言えない。


「でもそれ使えるわけ? 接近戦の心得がないやつが喧嘩慣れした野獣に剣で挑んでも秒殺されると思うんだけど?」


「心配には及びませんわ。先祖代々、レイピアを使うのは家の特技ですもの。とくにわたくしは構造図が呼び出せる分、初めて持つ剣でもそれなりに合わせられますの」


「おおう、なんか専門的だ」


 普通の魔法使いならまず剣と合わせるという言葉は出てこない。多少なりでも剣を使える人間の言葉だ。手元に重心を置けとかもっとバランスを考えろとか、鍛造するように錬成で折り曲げて作れとか姑のように言われた時にはこのアマここでひん剥いてやろうかと思ったが。


「というかさ、なんでお前は僕についてくるの。武器になるもののためにあのドラゴンが来るかもしれないところに戻るって言ってるのに、自殺願望でもあるのかよ。マゾ?」


「ちがいますわ。ただ、それでも一人でいるよりはよさそうですもの。それに、わたくしもかの逢坂恋愛の武装に興味がありますわ」


「え? 火事場泥棒だったのオマエ?」


「ふふふ、少しは歯に衣着せたほうが身のためですわよ?」


「イエスマム!」


 笑顔なのになぜか笑っていないとわかる恐ろしい表情で細剣の刃を首筋におしあてられて両手をあげて降参した。


「いいではありませんの。わたくしも一人では不安と、そういうことですわ。貴方だってわたくしと一緒に行動できて幸せでしょう?」


「いいや、全然?」


「…………。もう一度だけ聞いて差し上げますわ。幸せ、で・す・わ・よ・ね?」


 もう一度両手を挙げた。力はかけられていなかったが、それでもこのレイピアは真剣で、しかも切れ味は襟人工房のお墨付きである。新聞紙くらいなら素人が軽く空中の的に薙いだだけで切り裂ける。


「気に入らないからって剣で脅すのはどうなんだろうな、武人以前に人として」


「shut up! わたくしは役に立ちますわよ? これでも剣だけは自信がありますの」


 そう言った時のこちらに向けられた親愛のこもった笑顔は本当に魅力的で、


「そうかよ……」


 襟人は何とかそれだけいうことで精いっぱいだった。



あとがき


襟人爆発してくれ……!

ナチュラルに殺し文句を言うようなリア充など特撮の悪役のように爆死してしまえ……!

相手が怒っているという勘違いアンド「なんだって?」の決め台詞であなたもフラグブレイカー。

重々、本作は気まぐれ更新です。


用語解説


・不老や不死

 研究のため、単純に正への執着、理由は数あるが、魔法使いの中にはたびたび不老不死を求めてたどり着いた者が現れる。

 ギリシャ神話の神々の酒(ネクタル)不死の霊草(トキジクノカク)賢者の石(エリクシール)変若水(アムリタ)月のしずく(ソーマ)アキレウスの産湯(テティスの霊河)、吸血鬼やユニコーン、ドラゴンや不死鳥(フェニックス)と言った幻想生物の体液など。

 あるいは世界中すべてに傷つけないと約束させた北欧の英雄バルドル、中仙境に住まう仙人たち、太陽神の加護の鎧を肉体に持つ英雄カルナ、医聖アスクレピオスの師であるケイローン、十二の難行を潜り抜けたヘラクレスへの報酬。

 不老不死を唄う魔法のアイテムや秘術など古今東西を問わず数えきれないほどある。

 日本では八百比丘尼の食べた人魚の肉なんてものも有名。

 魔法使いでなくても一部の金持ちが不老不死になろうとする。

襟人の祖母、逢坂恋愛も一千年の間生きているため、なんらかの不死身性を持っていると思われる。


・ゴブリン

 体長百三十センチ前後の、小人のようなモンスター。

 全体的な構造は人間に似ているが、顔のつくりは醜悪で、耳がとがっている。肌の色は緑色から黄色まで。金属製の武器を持っているので冶金技術を持っているのかもしれない。集団で動く性質があるようで、あまり単体でいない。人間を食べる。襟人は正面から一対一で戦えば三回に一度は負けるとみている。


・豚面巨人

 体長約二メートルから三メートルもある豚のような顔をした、人間に似た体を持つモンスター。青みがかった緑色をしていて、でっぷりとした体形である。人間を食べる。一対一で人間が勝とうと思うなら銃火器を使うのが適当と思われる。


・箒

 魔法使いの使う箒。他にも空飛ぶ絨毯などがあるが、昔から広く普及したのは箒だった。隠匿性と、外で持っていてもさほど不自然ではないのがよかったらしい。

 襟人は空もろくに飛べない。


黒川(くろかわ)金紅石(るちる)

 間一髪で落ちてきた襟人に助けられた少女。金髪巨乳。髪の毛の束をセットで互いに絡み合うようにさせていて、金髪自体を髪飾りのようにしている。宝石のような輝きを放つ目を持っている。魔法の才能ナシ。なかなかいい拳を持っている。

 何の数字かは明言されていないが、襟人の見たところでは94・58・91だとか。「ですわ」などとお嬢様言葉でしゃべっている。

 チョロインちゃんだと予想されている。


・錬金術迷彩

 錬金術で色彩を整えたものを衣類の表面にメッキのように塗装する迷彩技術。ただし、優れた魔法使いなら透明化する、あるいは相手の知覚に働きかけて捉えられないようにするなど魔法的に高度なことをできるので、レベルの低い魔法として扱われている。


・ゴッドスレイヤー・カザミ

 一千年ほど前に実在した魔法使い。神様でも殺害できる魔法を持っていたらしい。接近戦でも負けなしの、隙という隙の見つからない魔法使いだったと伝説化している。

 『星落とし(シューティングスター)』、『隕石落下アステロイドシューター』を一人で迎撃して貫通、爆散させたとか。


・魔力持ち

 魔法が使えないが、魔力だけは持っている人。魔力自体は扱えるので、体外への排出などを使った特殊な行動ならば起こせる。


・魔眼

 視線を使って、見るだけで魔法術式として魔法をかけられる魔法体質。魔法使いのステイタスの一つになっていて、とくに強力なそれほど持っているともてはやされる。


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