24才の後悔
辺りは薄暗い。明け方だろうか。男と恭一はとある街のコンビニエンスストアの駐車場にいた。
「さあ着きましたよ〜。恭一さん。ここが何処だかわかりますか?わかりますよね〜?・・・恭一さん?ククク。」
男は相変わらず酒に酔った感じだったが、男が話しかける前から恭一は青ざめた顔ですでに冷や汗をかいていた。
もうなにが起こるのかすでに全てを理解し、激しい恐怖を感じているようだった。
「いい表情ですよ〜。ククククク。クックックッ。」
男は今までにない喜びようだった。
「わかっているとは思いますが、一応説明しておきましょう。恭一さん、貴方は14年前の今日、人を車で跳ねてしまいます。怖いですねぇ。友人と夜通し遊んだ貴方はこのコンビニエンスストアからの帰り道に道に迷いました。そして帰り道を探していた時に偶然飛び出して来た人を跳ねてしまうんです。相手の方は命に別状はありませんでしたが後遺症が残りました。貴方はあの時の事を酷く重く後悔しています。さぁ恭一さん。何をすべきか?・・・理解されてますよね?」
ガタガタと全身を震わせて冷や汗をかく恭一。
「恭一さん、貴方は決して悪い人ではありません。心の優しい人間ですよ。だからこそ恐怖なんですよね?わかっていて・・知っていて・・あえて・・・ワザと人を傷つける。それが出来るのはもうククク。人でなしですよ。恭一さん、貴方にこの後悔がもう一度出来ますか?やり直すならそれもいいでしょう。貴方にお任せします。」
「や・・・・・やる・・・・よ・・・。」
「えっ⁉何ですか?聞こえませんよ〜?」
「・・・やるっつってんだろぉ?・・・やるにきまってんだろうがぁ‼」
恭一は大声で覚悟を決めた。いや、正確にいえば大声を出して覚悟を決めたと自分に暗示をかけようとしたのだ。
だか体の震えは酷くなる一方だった。
「わかりましたよ〜。そんな大声出さなくても聞こえますよ。ククク。ではそろそろ行きましょう。時間です。ククククク。」
恭一は震える体を抑えながら車に向かった。