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「NGワードが混ざっていたけれど、言いたい事は伝わったよ。だけれど、そんな事が可能なのだろうか?」


「不可能だろうね。少なくとも、現代の科学技術でどうこう出来る話じゃない。SFにしたってぶっ飛んだ内容だから。俺達よりも何世代も先の話か、そうじゃなければ、こんなの神の所業だよ。まあ、これはあくまで俺の推測であって、信じるか信じないかは東雲さん次第だよ」


「そう…だね…」


 東雲鈴音の眉間に皺が寄る。

 こんな非科学的な話をしても、普通は信じられないだろう。

 俺が東雲鈴音狂人説を排除しないのと同様に、東雲鈴音も俺が嘘を吐いている可能性を排除しないだろう。

 これは俺自身がそれを頭に入れて立ち回れば良いってだけの話。

 他の誰かに信じて貰えなくたって、何の問題もない。


「私は成木原君の推測が正しいと思うよ。成木原君が私を騙そうとするとは思えないからね。寧ろ全面的に乗っかっても良いかな?」


「決断が早過ぎる。どうして同じ高校って以外に接点の無かった俺をそこまで信用出来るんだ」


 普通、大して知りもしない奴は疑って掛かるよな?

 俺が逆の立場だったら、絶対に疑う。


「どうしてって、私達はもう友達じゃないか。私は友達の言葉すら信じられないような不義理な人間になるつもりはないよ」


「は…?」


 友達だから信じる?

 その気持ちは嬉しくはあるけれど、あまりにも危うい。

 何て純粋で危うい人間なんだ、東雲鈴音。


「あーもう、わかったよ!俺と東雲さんは今から友達だ!同じ考えを共有した者同士、協力してくれると助かる」


「やった!漸く私にもにゃんにゃん以外の友達が出来たぞ!目指せ友達100人だ!」


 友達100人は、類い稀なるビジュを存分に発揮して、ヤリ目男を引っ掛ければ一瞬だと思うぞ。

 東雲鈴音ならやりかねないから、決して口には出さないけれども。


「それじゃあ、友達として初めての共同作業って事で、試練の扉行ってみますか」


 早い内に検証しておきたい事はある。

 けれども、試練の扉の優先入場時間切れが迫っている。

 ならば検証に時間を費やして誰かに横取りされるよりは、先に試練の扉をクリアして、その後で検証をした方が効率的だろう。


「そうしよう!嬉しいなぁ!私が前衛をやるから、成木原君は後衛を頼む」


了解(りょーかい)


 試練の扉VERY EASYは、地味な西洋風の木の扉だ。

 東雲鈴音が開いて中に入ると、そこは灯りになる謎の鉱石が幾つも剥き出しになっている洞窟だった。

 幅は学校の廊下と同じくらいか。

 武器を構えながら慎重に先へ進むと、真っ直ぐ左右と三つ又に分かれた道に行きついた。


「ゲームにありがちな分岐路かな?」


「かもしれないね。どこに進もうか」


 別のゲームだったら、【バトル】とか【ショップ】とか何かしらの目印があるのもだが、見た感じそういった物はなさそうだ。


「じゃんけんにするか」


「ほう…友達っぽいじゃないか。ルールは?」


「俺が勝ったら右、東雲さんが勝ったら左。あいこは真ん中で」


「自慢じゃないけれど、私はじゃんけんで一度も敗北を味わった事が無いんだ。これは左で決まりだね」


「自慢じゃないけど、俺はじゃんけん弱いぞ。最初はグー、じゃんけんぽん」


 真ん中。


 分岐を進むと、学校の教室ぐらい広い空間に行きついた。

 ここまでの洞窟と違い、こちらから向こう側まで真っ直ぐに赤い絨毯が敷かれていて、中央には数時間前に俺を飲み込んだ憎き相手スライムがいた。

 奴は近接職にとって非常に厄介な存在である。

 スライムとガチバトル繰り広げた経験者として、ここは東雲鈴音にアドバイスといこう。


「スライムと戦った経験はあるか?」


「NOT THE GAMEを始めた直後に倒したよ。核が見えたから斬ったら一撃だった。ブラザーラビットLRと比べれば、非常に弱い魔物だったね」


「その通りだ。()ろう」


 危うく上級者を相手にゴミ以下の知識をひけらかして辱めを受けるところだったぜ。

 人気MMOの新規サーバーだと、その手の輩が結構いる。

 ちょっと齧った程度の無課金初心者なのに、お節介にも聞きかじりの知識をひけらかして。

 苦笑気味に話を合わせてくれてた相手が初期サーバーから流れて来た移籍組だったってパターン。

 あの一番恥ずかしいやつをやらかしちまうところだった。


 東雲鈴音の言う通り、よく見ればスライムの体内に核が見えた。

 武器種が銃の俺の場合、5mの距離から狙って一撃で仕留める事が出来た。

 核が壊れるとスライムは溶ける様に絨毯に吸い込まれ、そこに木の宝箱が出現した。


 青のオーブ:武器強化用の汎用素材。武器種は問わない。


「青はもう持っているから、東雲さんが使ってくれ」


「ありがとう。刀に重ねれば良いのかな?」


 オーブと刀の鍔が光っている。鍔にオーブを重ねると、鍔の上下から僅かに飛び出す形でオーブが収まった。


「威力+3と耐力+5だそうだ。これは素晴らしい強化だね」


「どうやら同じ色のオーブでも個体差があるみたいだな。俺のオーブは威力+3と射程+2だった」


 同じ色のオーブでも個体差がある。となると、オーブの厳選も必要になるんだろうか。

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