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「やっぱり反映されていない。NOT THE GAMEは現実とリンクしていなかった」
実験検証の為に行った、森川玲々のポスター、NOT THE GAMEと書いたノート、ベッドの下のエロ本は、どれも変化無しの結果だった。
現実世界で部屋のレイアウトを変えても、NOT THE GAMEの部屋には反映されない。
つまり現実世界とNOT THE GAMEはリンクしていない。
確定とするにはまだ早いが、抱える疑念が多少なりとも軽くなったのは、十分な成果と言えるだろう。
「よし、それじゃあポスターを剥がして隠してしまうか」
部屋に女の子を入れるなんて小学生低学年以来だ。
あの頃は子供だったから、巨乳グラドルのポスターが貼られていても何も感じていなかった。
柊が―――。
しかし今回は成人済みの女の子…もとい大人の女性である。
精神年齢は5歳児だけれども、部屋に堂々と巨乳グラドルのポスターが貼ってあったら絶対に引かれる。
日焼け具合で年季が入ってるのもバレちゃうしさ―――。
「よし、さっさと剥がそう…って。ん?」
おかしい。
ポスターは壁に穴を開けないで貼れるテープで貼っているのだが、左下の一点だけ剥がれない。
「どういうことだ?よいしょっ!」
角を抓んで。
両手で掴んで思いっきり引っ張って。
それでもポスターが剥がれる気配はない。
「そもそも、このポスター何で破れないんだ?」
普通大人が引っ張って…子供でも思いっきり引っ張れば、テープが剥がれるかポスターが破れるのが自然だろう。
藁半紙やコピー用紙よりは頑丈と言っても、ポスターの耐久力なんてたかが知れてる。
それなのに、どれだけ力を込めて引っ張ってもポスターは剥がれないし、破れもしない。
そもそも、強く握っているのに、くしゃくしゃになったりもしていない。
これはあまりにも、不可思議な現象である。
「ポスターだけ、なのか?」
試しに机のペン立てに刺さったボールペンを持つ。
持ち上げようとしても、持ち上がらない。
ペン立て自体もそうだ。
何度持ち上げようとしても、底の四つ角の一角が机から離れてくれない。
「こっちもか?」
今度はベッドの掛け毛布を引っ張る。
こちらもやはり、一ヶ所がシーツに張り付いて剥がせない。
これは、もしや―――。
「現状変更が出来なくなっている…?」
ポスターもペン立ても掛け毛布も。
動かす事は可能でも、運ぶ事は不可能。
「よいしょ!」
掛け毛布を無理矢理剥がそうとしてみても、破れたり千切れたりの兆候はない。
ポスターも合わせて考えると、形は変えられても破損させたりは出来ないって所だろうか。
どんな意図があるのかは不明だが、兎に角NOT THE GAMEはそういう仕様らしい。
「となると、森川玲々のポスターは、こうしておくか」
あまり待たせるのも悪いので、東雲鈴音を自室に招いた。
森川玲々のポスターは、余すことなく見ろと言わんばかりに、堂々と掲げられている。




