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財閥令嬢と伯爵令嬢の魂の入れ替わり  作者: ヴァンドール


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27話(わたくしの願い)

 随分と久しぶりにカンパニーと子会社に顔を出した。皆さんに挨拶をしながら、あちらの国のお土産を配ると、皆さんはわたくしの話を今か今かと興味津々で待っていた。

 わたくしは、あちらの国での文化の違いや、とても寒かった話、それに外が寒いので読書を趣味とする方が多く、そのためのスペースがあちらこちらにあり、本棚も所狭しと並んでいたことを話した。そして、そのたくさんある本棚を見て思いついた、棚の高さが変えられる本棚の話をすると、皆さんがとても驚いて

「そんなことができたなら、とても便利だ」

 と言ってくださった。それからわたくしはその方法について皆さんに説明をすると

「よくそんなこと思いつきますね」

 と感心された。

 そして、こちらでもぜひ売り出したらどうかということになり、皆さんはすぐに家具職人を集めて相談することにした。

 わたくしはそれは食器棚にも同じように応用できるので、それらを同時に売り出すことも提案した。

 ただ、わたくしは皆さんに、

「これから外国にも輸出するトリートメントや固形スープの素、それに付箋の製造もあるのに、家具まで手が回るのかしら?」

 と心配して尋ねると、皆さん口を揃えて

「任せてください。必ずやってみせます」

 と言ってくれた。そして

「今では人も増やしましたし、暇より余程やりがいがあります」

 と言ってくれた。それを聞いてわたくしは

「では皆さん、くれぐれも無理はなさらないでくださいね」

 と言ってから

「わたくしも皆さんのやる気にこたえて、また新しい商品を考えます」

 と伝えた。

 その後は、従兄のお兄様と書類仕事に目を通しながら、これからの打ち合わせをした。

 これから輸出する商品の価格の設定や関税のこともあるので、王宮の職員との打ち合わせもしなくてはならない。

 やることはまだまだ山積み状態だけど、わたくしたちは、これからのこの会社にかける意気込みだけは十分にあった。

 そしてわたくしは、この国での女性の地位向上に少しでも役立つよう、惜しみない努力はしていこうと思っていた。

 前にいたわたくしの世界にはまだまだ遠く及ばないけれど、それに少しでも早く近づけたいと考えていた。


 その後、わたくしは来月王宮で行われる舞踏会の準備があるので、帰りにドレスの新調のため、自らデザインしたデザイン画を持って、王都にあるわたくしが見つけたお気に入りの百貨店に寄った。

 そしてそのお店のデザイナー兼オーナーにデザイン画を見せた。 

 すると彼は

「S字型が流行っているこの時代に、随分と斬新なデザインだわ」

 と言った。ちなみに彼はゲイで、話し言葉は女性の言葉遣いだ。

「だって、コルセットで無理やり身体をS字型にするなんて、骨を歪めて身体に悪いだけだわ」

 と言うと

「確かにそれは言えるのだけど、きれいに見せるためだもの、仕方ないわ」

 と言われた。しかしわたくしは

「別にS字型コルセットでなくても、きれいに見せる方法はいくらでもあるわ。だからこのデザイン画の通りに作って欲しいの」

 と言ってから、生地のことも相談した。

 デザインがシンプルな分、生地には華やかで洗練された柄の物を使いたいので何かないかしら? と言って、色々な生地を見せてもらった。すると一目で気に入った、シルク生地の大きな花柄の物が目に留まった。わたくしは、

「これでつくっていただけないかしら?」

 と言うと

「確かにこれだったらこのデザイン画に合うと思う。それに、かなり目立つわね」

 と言われた。わたくしは

「ではこれでお願い」

 と言って、後の細かい部分の打ち合わせをした。

 わたくしは身体を締め付けるコルセットは使わず、胴体には伸縮性のあるポリウレタンで作った下着を提案した。

 丁度、産業革命の時に考えられた素材だ。そしてウエストから下はパニエで膨らませた形にしてもらった。あとはデザイン画の通りでお願いをして、アクセサリーは彼のセンスにお任せした。


 その後、わたくしは侯爵邸へと戻った。

 今度の舞踏会は会社の宣伝も兼ねているので、すべてを完璧に整えて臨むつもりでいる。

 使える伝手はどんどん使っていくつもりでいるが

『女性のくせに商売だなんて、はしたない』

 と言う輩も、前回同様いるだろう。でもわたくしはそんな言葉に怯んでなんかいられない。自分の信念をただ貫くだけだ。

 今度の舞踏会は陛下の生誕祭なのだから、隣国の国王ご夫妻や、わたくしと殿下が行った国の国王ご夫妻もいらっしゃるかもしれない。

 だって前回は王妃様の生誕祭だったけれど、今回は陛下の生誕祭なのだから。

 わたくしは

『さあ、気合いを入れて頑張るわよ、これからは女性もどんどん表に出て活躍する時代が来るのだから』

 と心の中で自分を奮起させた。


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