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プロローグ

全話再編集前で色々不具合あります。

我慢できない方はそっと閉じてくださいね。

七年前。

世界は、ひっそりと魔法に“対応”した。


とある研究施設での量子干渉実験。

その失敗が引き金となって、空間情報の奥深く――“情報層C”と呼ばれる新たな構造体が観測されるようになった。

このC層は、人の意識や言語、イメージといった概念と結びつき、現実を変える現象を引き起こす。


そして、それはこう呼ばれた。

魔法。


驚くべきことに、それは特別な才能でも神の啓示でもなかった。

C層はすでに、世界中の人間に――無自覚のうちに宿っていたのだ。


魔法は制度化され、教育の対象となり、技術として発展していった。

今では高校から正式に魔法科目が導入され、多くの生徒が「術式」や「演算」を学ぶ時代である。


そしてここ、神明学園もその一つ。

国立魔法技術開発機構の指導下にある、エリート校だ。


「……また出力不良。演算成功率32%、魔力放出量、基準値以下」


検査室に冷たい音声が響く。

モニターに表示されたのは、魔力量、出力精度、C層接続率。どれも基準に遠く及ばない。


それを見て、教員の一人が無言で首を振った。

周囲の生徒たちが、呆れ顔で目をそらす。


検査台に座っていた少年――**桐ヶ谷悠真きりがや・ゆうま**は、苦笑いでそれを受け流す。

もう何度目の検査だろう。何度目の“がっかり結果”だろう。


「やっぱり俺、才能ないのかな……」


ぼやくように呟いたその目は、しかしわずかに違っていた。

落胆でも絶望でもなく――観察しているような視線。


彼は知っていた。

自分の魔法が「普通に使えない」のは、単に才能がないからではないことを。


術式構造のわずかな“ゆがみ”。

C層に走る情報の“違和感”。

公式の教科書に書かれている理論に対する、根本的な疑念。


「なんか、おかしいんだよな。この世界の“魔法”ってやつ……」


その違和感だけが、悠真の心に根を張り続けていた。


だからこそ――


「ねえ、桐ヶ谷。君の魔法、変だよ」


そう言われたとき、彼の世界は、音もなく動き出した。

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