和破れて惨禍ありと
こうして、祷の幻想郷での一日が終わることとなった。ここの夏の夜空は少し薄暗いが暖かい。
「街灯の無い星々はこんなに綺麗なんだな…」
本来自動車に掻き消される虫の鳴き声、ビル街に掻き消される星の淡く美しい光。
「焦らなくても良い」
そうここ(幻想郷)が言っているように祷は感じた。
そしてここの暖かい夜も更けてそして明ける。
翌朝
霊夢は幻想郷に慣れてほしいためにこう話しかける。
「祷 今日は人間の里に行ってみない?」
「人間の里…人里とは何か違うのですか?」
「そうね…ここは妖怪等の人外も多いから人間は強く無いのよね そして幻想郷は大きくは無いから人里が人間の住む拠点だと思ってくれればいいわ」
「成る程 ありがとうございます」
妖怪のような凄い人だらけかと思っていたけど、普通の人もいるんだな。
そう祷は思って心のどこかで安心した。
そうゆうわけで人間の里に霊夢と祷は行くことになった。
博麗神社はそこそこ山奥にあるがため徒歩で人里に向かうとなるとそれなりに遠い、しかしその疲労感よりも祷は未知の場所へと向かう楽しみの方が大きかった。
明るかったが何処か暗い孤児院より
暗い雰囲気だが何処か明るい此処の方が楽しい。
祷はそう思っていた。
こうして、祷は人里に着く。
まだ慣れていないのもあるが何処か懐かしい雰囲気のする街である…いや、懐かしいというより教科書にでも載っていそうな街と言った方が正しいであろうか…
何処か退廃的な雰囲気ではあるが何処か活気がある街であった。
自分が暮らしていた孤児院は明るい雰囲気ではあったが、何故か活気が無いような場所であったので、真逆の雰囲気を祷は感じていた
「それじゃあ私は神社に戻っているから一人で見てきなさい」
「え?一人でですか?」
「守ってあげたい気持ちも山々だけど魔理沙の奴に過保護〜 って言われてちょっと気にしてる」
「成る程…」
「まあこの辺にはいるから何かあったらここまで戻ってきて」
「…結局保護してません?」
「…許して」
こうして祷はこの映画村のような不思議な街を歩くこととなった。
そして不気味な視線はより強くなっていった。