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第六話 三人の姫を妊娠させないと出られない部屋


 僕は「セックスしないと出られない部屋」の上位バージョン「三人の姫を妊娠させないと出られない部屋」に軟禁されることになった。

とにかくタイムマシーンを完成させることが全てに優先するので、僕は秘密の地下室から幕臣達に命令しながらここで子作りとタイムマシーン作りを同時並行で行うことになった。


 絵里奈は露骨に全裸で僕の前に出てきて「子種をください」と真っ赤になりながら必死で前を隠さないように指が食い込みそうなほど強く後で手を組んで死にそうなほど恥ずかしい声で言ってきた。

スレンダーだと思ってたけど、少しはあると思っていたオッパイがほとんどブラジャーだった事実が少し残念だった。

葵は「絵里奈ちゃん、脱げばいいってもんじゃないわよ」といってミニスカートからパンチラを見せて誘ってきた。

僕がパンチラを凝視すると絵里奈は負けを認めたのか逃げていった。

その瞬間、全裸で仁王立ちの桃が僕の後頭部をひっぱたいた「グダグダしてないでさっさと全員種付けしなさいよ」と僕を責めた。

以前に抱きつかれて感触は確かめたことあったけど、意外とオッパイがあった。

そして、自分で剃毛したのか剃り跡が微妙な股間を仁王立ちで僕に見せつけてきた、股間には何かヌルヌルした物が塗られている。

葵も「そうそう、早くやっちゃいなよ」とパンツを下ろしてきた。

逃げたと思った絵里奈は責任感が強いのか上に白いワンピース一枚だけはおって、薬瓶を持って戻ってくると「精力剤です、私は最後でも構わないので、これを飲んで三人連続でお願いします」と言ってきた。

葵も「そうそう、三連発でやっちゃえば誰が先とか誤差の範囲になるよ」と茶化してきた。


僕が「三人ともそれでいいの?」と聞くと桃は神妙な顔で「良いわけないでしょ、私たちの子供は生まれた瞬間から政争の道具になるのよ」

絵里奈は「いえ、産まれる前からでしょうね、誰が長子なのか争うことになりますから、一番に産まれるために帝王切開で早産させられるかもしれません」

葵も「私が産まなきゃお家断絶しちゃうんだよ、川崎一座の皆は未来が見えない絶望の中で私を助けてくれたの、私にとって北城大公家はあの6人が全てなの、私は一座の仲間を幸せにしたいの」


何でも言うことを聞く処女の美少女三人とヤリ放題のハーレムなのに僕は重すぎる運命に押しつぶされそうになってきた。

目の前にごちそうが並んでいるのに胃が痛くて食べられない。

「ゴメン、今はタイムマシーンのことがあるから後で頼む」

僕はまた問題を先送りして誤魔化した。


 僕は考えがまとまらないままタイムマシーンを作るためのアイテム集めを始めることにした。

このままだと世界は前よりも悪い破綻を迎えそうだし、どんな歴史改変をするにもタイムマシーンを完成させなければ始まらない。

完成までに僕の考えがまとまれば良いのだけど…


 幸いにして僕の手元にはタイムマシーンを作るために必要な賢者の石があった。

ノートパソコンには久保田と北城が作ったタイムマシーンの設計図にソフトウエアのソースコードからコンパイラまで全部、コピーが残っていた。

それに、僕はタイムマシーン作りを最初から最後まで手伝っていたのでなんとなく構造は知っている。

これがあればタイムマシーンを作ることが出来る。


幕臣達にタイムマシーンの話が密かに伝わり乾坤一擲の大逆転に賭けている。

皆が三大公の預言こそ幕府滅亡を救う秘伝だったと信じるに十分すぎる奇跡だった。

この世界は幕末並みに物が手に入らないけど、幕臣達が総力を挙げて協力してくれるから予算も人手も十分にある。


しかし、作業は最初から難航していた。

ノートパソコンのバックアップを取ろうにもコンピュータの規格が全く違う、この世界にはビル・ゲイツもいなければマイクロソフト社も無いからだ。

さらに、コンピュータ自体が日本でご禁制の品なので簡単には手に入らないし扱える人もいない。

仕方がないので地道に画面を見ながら設計図を紙に書き写した、プリンターが無いので印刷もできない。

頼むから完成するまで壊れないでくれと祈るしかなかった。


 僕に設計図をアレンジできるような技術は無いので設計図通りに作るしかない。

久保田が乗っていたウニモグは1966年生産の古いモデルだ、幕臣の人達にダイムラー・ベンツ社の1966年モデルのウニモグを入手できないか頼んでみた。

しかし、意外な返答に僕は困惑した、この世界にはダイムラー・ベンツもメルセデス・ベンツも存在しない。

この世界で初めて自動車が登場したのは1575年でものすごく古い、あの二人が作ったことは間違いないだろう。

自動車の歴史自体が全く違うせいで自動車メーカーも前の世界と全く違う。


 この世界の科学技術の大半は誰かが苦労して発明した物ではなく、チートによって最初から完成品で存在する物になっていた。

この世界からは発明という概念が失われ、科学技術は学校で優秀な成績を収め忠義を示すと、大公様から授けられる秘伝だって認識が定着している。

当然のごとく、幕臣達はタイムマシーンも大公様が授けてくださった秘伝だと思っている。

久保田と北城がやったチートのせいで歴史上の偉大な科学者や発明家が誕生する芽が全て摘まれてしまい芽が出なかったんだ。

僕は一番最初の素材集めから挫折していた。


 そして、幕府滅亡の直接的な原因もわかった、久保田と北城が過去へ持ち込んだ本や資料を保管していた奥之書院にアメリカのスパイが忍び込んで一冊の本が盗まれた。

久保田が持っていた原爆の作り方を書いた本だった、英語文献だったせいで幕臣が内容を把握していなかったらしい。

アメリカはそれを元にコンゴの奥地にあるウラン鉱山を採掘してプルトニウムを手に入れて原爆を作った。

鉱山の場所から作り方まで本に書いてあるから簡単な仕事だったろう。そして、日本に輸出される物流コンテナの中に50個の原爆を忍び込ませ、日本各地で同時に爆発させた。

後はメチャクチャになって混乱している日本に全面戦争をしかけて占領するだけだった。

久保田大公家が支配していた中国やロシア側は弱体化した日本から解放する共産主義革命が起きて日本から分離独立した。

こうして、開戦から2年持たずに世界最強だった幕府軍は崩壊した…

推定される日本の戦死者は3600万人、そして、戦後混乱期の餓死者は1200万人、日本人の三分の一が死んでいる…

前の世界の第二次世界大戦の死者を軽く一桁超えていた。


無双チートによって作られた世界は盗まれたチートアイテムによって滅ぼされた。


 僕は歴史上の偉人になったスパイ一家の伝記本を読んでいた、日本でも歴史研究本からフィクション交じりの漫画まで何冊も出ている。

原爆の作り方を書いた本を盗み出したスパイ一家はアメリカじゃ偉人になって映画やテレビドラマも作られているらしく、当時16歳だった娘はアメリカに自由をもたらした救国の英雄として後に大統領になったそうだ。

先日、川崎一座が演じていた演劇がまさにその話だった、アレが日本で上演するこが許可されている数少ない歌舞伎の演目だから学校で上演したってことらしい。


 そして、皮肉にも日本で10年余りのスパイ生活を送ったニセモノの一家はアメリカ政府が進めていた日本人ジェノサイド計画に異議を唱え、ジェノサイドの対象を三大公家だけに縮小してくれた。

スパイの道具にされた孤児の少女が大統領になって対日融和政策を進めてくれたおかげで少しづつ日本の復興が進んでいるのが現代らしい。

現代の日本人は三大公家を今の惨状を作り出した元凶だと思うようになり始め、幕府や大公家の復活を望んでいない…

今も幕府再興を願っているのは日本が無双チートしていた過去の栄光にすがっている人ばかり…

日本人はすでに無双チートによる栄光の時代を忘れそうになっている。


 幕臣達が望む事は日本が半世紀前の世界大戦で勝利する歴史改変だろう。

少なくとも、それ以前は世界最強無双状態の大国だったんだから、それ以前の歴史を変えられては困るはずだ。

それに僕が久保田と北城の歴史改変を阻止すれば三大公家は最初から存在しなかったことになる。

桃も絵里奈も葵も最初から存在しなかったことになる。

その時、ふと姫たちの言葉が頭をよぎった


「私たちには覚えておく事しかできません」


 全ての記録を焚書され、新しく記録することすら許されなくても覚えておくことはできる。

タイムマシーンは事実そのものを変えてしまうので記憶しておくことすら不可能にする。

いや、僕はこの世界から消えて過去の大公になった二人の事を覚えている。

僕が覚えているこの学校は夏休み前までの改変前の世界で、夏休み明けから歴史改変された世界になっている。夏休み前までは間違いなく売店でコロッケパンを買って食べていた。


 そもそも、僕は日本最高学府であるこの学校にどうやって合格して入学したんだ?

僕が覚えている入試の難易度は平均よりも低めぐらいだったはずだし、二年生に進級してるんだから留年しない程度の成績を取っていたはずだし、どう考えても夏休み前と後で僕自身が同一人物だったと思えない。


改変前の世界の歴史を覚えている、それは消えてしまった事実を覚えていると同時に改変後の過去を知らない。

この世界がタイムマシーンの存在を許しているならタイムパラドックスで物理法則に矛盾が起きない何か未知の物理法則が働いているのか?

久保田と北城が話していた時間理論の話を思い出した。


僕は一つの仮説を考え、検証作業を始めた。


この世界では戦前の日本の人口は現実よりもかなり多い設定です。

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