第一話
初投稿です。よろしくお願いします。
「あなた高位貴族、ましてや我が国の王太子に対してベタベタと付き纏うなんていったいここで何をお勉強されているの?」
凛とした声が昼休みで賑わうカフェテリアに響いた。珍しい漆黒の髪に王族の証である黄金の瞳を持つアーニアスの目線は、王太子を含めた高位貴族の令息に囲まれた薄ピンクの髪色の少女に向けられている。
「わ、私はまだ貴族になりたてで…し、しかも!この学園では爵位は関係ないと規則で決まっています!」
ピンクの髪の少女はギュッと隣の王太子の腕にしがみつき、大きなグリーンの瞳をウルウルとさせながらも反論した。
「確かお名前は“カナリア様”でしたかしら?学園に入られて半年は経つと聞きましたが」
「リナリアです!アーニアス様こそ人の名前くらい覚えたらどうですか?!」
自分にとって都合の悪い話を無視して、ぷくっと頬を膨らませながらアーニアスを睨みつけるリナリアのあまりにはしたない態度にため息を吐いてしまう。
「あら、ごめんなさい。まだ挨拶をしてもらってなかったのでお名前を知らなかっただけなの」
暗に挨拶すらまともに出来てないことを指摘すると、リナリアは助けを求めるように隣にいる王太子の顔を見上げた。
「………………」
「何か言ったらどうなの?」
同じ黄金の瞳を持つこの人はいつだって黙りだ。言い訳のひとつでもすればいいのに。
(その口はなんのためについてるのよ!本当に情けないわ!)
「アーニアス様!レオン様にその様な言い方、失礼です!」
先程自ら規則だなんだと言ったことをもう忘れている彼女は本当に鳥頭なのかと疑ってしまう。
「学園では爵位は関係ないのよね?レオンハルトおにいさま?」
にっこりと笑い、親しげに自分を呼ぶアーニアスをレオンハルトは無表情に見つめていた。
ありがとうございました!