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始まりの火

初めての投稿です。勝手分からず苦戦しています…





「おかあさま…?おとうさま……ッ!!」



現実か、それとも夢なのか。


年端もいかぬ少女が立ち尽くすその眼前には、轟々と燃える炎が広がっている。



ーーああ、たしか、この年は寒旱で、毎日火の用心の夜回りを見かけていたような…



結局、放火だったのか、事故だったのか。


真相は分からぬまま、天涯孤独となった私は気付けば領主様に預けられていた。



そして、ただの領民だった私は、お子に恵まれなかった領主様の養女となった訳だが…なぜ何の取り柄もない私を引き取ってもらえたのだろうかと今更ながら思う。


この国には度重なる災害によって孤児は多くいるというのに。



『ルジ、あなたは選ばれし者。決して存在を知られてはなりません』



いつも母はそう言って、私を抱きしめていた。


何に選ばれ、誰に選ばれたのか、最期まで教えてくれることはなかった。



ーー知られてはならない存在の私を、一体どんな気持ちで抱きしめていたのだろうか。



私は何のために生まれてきたのだろうか。生まれてから選ばれたのか、選ばれて生まれてきたのか…


考えれば考えるほど深みに嵌るこの疑問は、十代の多感な時期特有の現象だと思っていたが、後一年で成人するというのに再燃するとは…



深いため息を吐くと、現実世界の自分も吐いていた。



「……朝か…」



ぽつりと呟く。


酷く穏やかな朝陽が射し込む窓を見遣り、震える手を握ると、涙が頬を静かに伝った。






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