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第8話

「由姫さん、こっちよ。」

学校帰り、家で私服に着替え、喫茶店へ。あたりをきょろきょろしていると窓際で手を振っている女性を発見

「遅くなりました。」

小走りに近づきいそいそと席に着く私

「いいのよ。こっちこそいきなり呼び出してごめんなさいね。」

ニッコリと微笑むお母さま

そして、すばやく店員を捕まえ、紅茶でいいかしらと聞き紅茶を2つ頼んだ。

「それで、今日のご用件は何でしょうか?」

なにを言われるかどきどきしながら恐る恐る用件を聞く私

「あらっ、用がないと娘には会ってはいけないのかしら?」

きっぱりと言い切るお母さま

やばい、怒らせた?

「いいえ、そんなことは・・・」

あせっている私を見て

「やだ、冗談よ。ごめんなさいね。」

とクスクス笑いながら言った。

「でもね、これだけは言っておきたいわ。

信一は私たちにとってかけがえのない息子なの。

お見合いという形であれあの子があなたを選んだの。

だから、由姫さんのこと本当の娘と思って接していきたいの。

これからも、信一のことお願いね。」

ニッコリと微笑んだお母さまの表情は少し先生面影があった。

「もちろん私のほうも本当のお母様として接するつもりです。こちらこそ、よろしくお願いいたします。」

その後、お母さまは先生には内緒といって一つ教えてくれた。

「いままで真一がお見合いしてからなにも口出ししないのはあなただけよ。」

と・・・先生・・・

私少しはあなたに対して期待しても良いですか??


私とお母様は少しずつ自分とお互いのことを話題にどんどん仲良くなっていった。

「あら、もうこんな時間だわ。あんまり遅く帰すと信一に怒られちゃう。」

くすくすという。

「遅すぎて、迎えに来たよ。」

気がつきと、私たちの前に先生が立っていた。

「あら、迎えにきたの?」

いじわる口調で言うお母様。

「婚約者を心配してなにが悪い。」

堂々と言う先生に対してなんだか照れる私だった。

「おふくろも送るよ。車に乗って。」

テーブルに置いてあった伝票を手に取り出口に向かった。

「じゃぁ、由姫さん今日はいろいろ話、ありがとう☆信一もありがとうね。」

先生の実家までやってきた。

「俺は斉藤のついでかよ・・・」

お母さまの言葉に乾いた笑い・・・

私はそんな先生に気付かず目の前の家に釘付けになっていた。

ここにくるのは二度目だ。

二回目でも圧倒するキレイな一軒家・・・

こえを見てしまうと先生はやっぱり大きな会社の息子さんだと思ってします。

先生は、そういわれることを嫌うから心の中だけに留めた。

お母さまが中に入ったのを確認すると

「ヒメ、助手席に座れば?」

後ろに座ろうとドアを開けた途端言われた。

車の中でもお母様と話していたため、さっきまで私は一緒に後ろに乗っていた。

「先生、今っ!!」

いわれるまま、助手席に座りしばらくしてから『ヒメ』といわれたことに気がついた。

「なんだよっ!」

あきらかに照れている先生。そんな様子を見てくすくす笑う私

「なに、笑っているんだよもうすぐ結婚するんだから、いつまでも斉藤じゃおかしいだろっ!!」

真っ赤になりながら叫ぶ

「そうですけど、先生を見てたら・・・クスクス」

笑いが止まらない私

「でも、何でヒメなんですか?」

なんとか落ち着いた私は疑問を投げかけた。

「たしかに、中学まではみんなヒメって呼んでいたけど私、恥ずかしいから止めてもらったんですよ?」

今日の教室内の会話をふと思い出した。

「もしかして、斉藤のヒメですか?」

はっと、気付き言った。

「確かに斉藤のヒメでもあるが、斉藤 由姫であるお前との結婚だ!なにより、俺にとってたった一人のヒメってことだよ。俺は、斉藤の姫と結婚する気はないよ。」

先生はきっと、何も考えずにいってくれたに違いない。それでも、私はとてもうれしかった。

「やっぱ、嫌か?」

昼間、私がすごく嫌がっていたのを知っているせいか気を使っているのだろう。

先生の問いに私は素直に首を左右に振った。

なぜだろう・・・

先生になら『ヒメ』と言われても全然嫌な気持ちにはならなかった。

きっと、先生のことを本気で好きだからかな??

「ヒメも、学校外では名前で呼んでくれよ。」

私の答えに頭を撫でながら優しく微笑みながら言った。

私たちは、部屋に上がり、軽い食事を作る用意をした。

「じゃぁ、信一さんでいいですか?」

しばらく考えてそういった。

「あぁ、プライベートでも先生って言われるとなんだかいけないことをしているようで・・・」

『ぷっ』と私が噴出すと信一さんも一緒になって笑った。

先生がお見合い相手で本当に良かった。そう思えることがすごくうれしい反面、寂しささえ感じていた。でも、このときの私はそのことにぜんぜん気付いていなかった。


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