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第7話

「えーっと。今日の日直は・・・石原と斉藤か。ちょっといいかぁ?」

日本史の授業の後のことだった。

私は隣の友達と話をしていて先生の叫び声に気付いたのは、美夜子だけだった・・・

「なんですかぁ?」

美代子は、ちょっと猫声で聞いた。

「斉藤はどうした。」

その問いに美夜子は

「大丈夫です、私が用件聞きます。もし、手伝いが必要なら呼びますから」

お気に入りの先生と少しでも親睦を深めようと頑張る美夜子

そんな美夜子にまったく興味を示さない先生

「日直は二人が原則だろう?」

先生の言葉にムカッときた美夜子は矛先を私に変えた。

「ヒメっ!!先生が呼んでるわよっ!!」

わざと私が嫌がる昔のニックネームで叫んだ。

ヒメと呼ばれすぐさま反応した私は美夜子睨みながら教壇へやってきた。

「美夜子その呼び方いいかげんやめてよ」

教壇に来るなり美夜子を怒鳴る私。

「ほう、なんでヒメなんだぁ?」

美夜子が呼んだ私のニックネームが気になったのか、なんだか楽しそうにいった先生

「由姫のキです。」

しめたといったように美夜子は嬉しそうにヒメの由来を言った。

楽しそうにしている先生と美夜子を見てちょっと不機嫌になる私。

「まるで、濃姫だな」

小さく呟く。しかし美夜子は聞き逃さなかった。

「濃姫って誰ですかぁ?」

美夜子の問いに

「戦国時代の斉藤道三の娘のことよ。」

私が答えた。

「それじゃぁ、わかりづらいだろう。織田信長の正妻だよ。

これは有名だろう?」

先生の問いに知ってる。とテンションの高い美夜子

「美濃の領土にいる斉藤道三だな。美濃のヒメで濃姫だ。きっとこの名前が一番しっくり来るだろう。ついでにいうと本名は帰蝶だ。」

きっと本当に日本史が好きなんだろう。瞳をキラキラしながらまるで子どものようにはしゃぎ話をしている。

「ちなみに俺は、一文字変えたら信長になる!!」

その言葉にぷっと吹き出す私と美夜子。

「なんだよ。」

少し顔を赤らめ拗ねモードに入る先生

「おれは、日本史で一番、織田信長を尊敬しているんだぞ」 

ちょっと、子供っぽい一面を見てしまったかも・・・

かわいい。

「じゃぁ、先生と由姫っていいコンビかも。信長と濃姫で」

美夜子が突拍子もないことを言い出す。

「はぁ?美夜子ったらなにを言い出すの!!」

かなりあせる私。

「えぇ~、いいじゃない。すごいロマンチックよ。時代を乗り越えた愛!?みたいな・・・」

なんでそんなにノリノリなんだろう。

「美夜子、もう勘弁してよね。冗談はそろそろいい加減にして。先生も笑ってないでとめてください。」 

私一人があせり先生は楽しそうに笑っていた。

そんな様子になんだかムカついてしまった。

「斉藤、勘弁してくれは、さすがに先生、傷つくなぁ」

そして、この言葉に本気でキレそうになった私・・・

「ところで、なにか用ですか!!」

先生と私たちの間にある教壇をバンッと叩き早く話を終わらそうとした。

「あぁ、今日のLHRな、俺が担当だから、授業が始まる前に配布してほしいプリントがあるから社会科室に取りに来てくれ。」

とだけいい、先生はご機嫌に教室をでていった。

「やっぱ、先生ってかっこいいよね。」

先生が教室を出るのと同時にクラスの女子が私たちに群がってきた。

「そうそう、たまに見せる笑顔がまたいいのよねぇ」

と美夜子中心で騒ぎ出す。

そんな美夜子の言葉に「確かに」と声に出さないものの納得していた私

ひとり会話に語らずにトリップしていた。

「いいなぁ。由姫は、本当に運命感じちゃったりして。」

一人が言い出した。

普段の私なら、「んなことないない」と返すところだが、

「運命ねぇ~」

とため息・・・

「えっ!!由姫ぃ!大丈夫??」

予想外の私の反応に周りは、驚きを隠せない。

あわてている周りとは裏腹に私は

バイト先で恋をして、学校の先生でさらに副担任。そして、お見合いとはいえ今では、婚約者・・・これって、偶然というより、運命よね・・・。と、考え込む私。

「失礼いたします。プリントをとりにきました。」

部活の後輩に捕まった美夜子を置いて、やってきた私。

「おぉ、斉藤か。石原はきてないのか。仕方ない教室まで、一緒に行くか」

と、いすから腰を上げいった。

「今日は、たしかバイトなかったよな。」

先生と一緒に住み始めて1ヶ月が経とうとしていた。先生は、私のバイトが終わるといつも迎えに来てくれた。

「えぇ。」

人気のない廊下で先生は言った。

「お袋が、会いたがっているんだ今日の放課後、家の近くの喫茶店にくるらしい。」

用心して小さな声で言う。

「わかりました。」

教室の近くになったので、会話終了・・・

ちょっと、このスリルを楽しんでいる私だった


毎週水曜日更新予定

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