第6話
その日から、私たちの意見を聞かれることなく結婚話がとんとん拍子で進んでいった。
というか、私自体は先生のことが好きだったので、親同士が張り切って話を進めたことに感謝したいくらいだ。
ひとつ問題があるとすれば・・・・
「先生って、菜々子さんを好きなんでしょう?」
そうこの人の気持ち
結婚式自体は先生の意見で私の卒業を待つことになった。
しかし結婚する前に慣れてしまおうと互いの両親の意見で一緒に住むことになった。
いわゆる同棲生活の始まり・・・
本日は新居へとお引越し
と、言っても先生が住んでいたマンションなのだが・・・
「なにを言っているんだ。菜々子は、大学の先輩であり大切な友人だ。それ以上でもそれ以下でもないよ。」
呆れ顔をしながらいう。
「でも、びっくりした。まさか先生がパパの会社の親会社の社長さんだなんて・・・それに、先生はお見合い断ると思っていたから。」
先生がキッチンからお茶を運んできた。
「こっちは、俺の寝室な。いやだったか?」
立ち上がり、後ろのドアを開けた。
「そーゆー意味じゃないです。」
先生に入れてもらった紅茶を口に運びながら言った。
そしてゆっくりと息を吐き続けた。
「それにどーせ、遅かれ早かれ親の決めた方と結婚するんですから。」
私としては、好きな人が結婚相手なのはうれしいことだし。でも、先生の気持ちがわからないから黙っておくことにした。私だけ先生のことが好きって悔しいじゃない?
「そうか。とりあえず、そっちの部屋を好きに使ってくれ、必要なものはそろっているはずだ。クローゼットの服も使っていいぞ。お袋が買ったものだから。」
先生の部屋の真向かいの部屋に案内された。
「寝室は別ですか??」
ふと、右端においてあったベッドを見てなにも考えず、口に出した一言。
「あぁ、結婚前だしけじめってことで。」
ふーん。
と自分で聞いたくせに飲み終わったティーカップを片付けるためにキッチンに運んだ。
カチャカチャと食器を洗っていると
背後に人の気配がした。
もちろんこの家には二人しかいないわけだから誰かは見当が付いた。
「残念だったな、斉藤」
その一言に自分でとんでもない発言をしていたことにしばらくして気がつき抗議をしようと慌てて振り返った。
そこには、いつの間に真後ろに来ていたのか思いっきり先生の胸で視界が塞がれた。
恐る恐る顔をあげてみると
ニヤニヤしている先生がいた。
私はというと、真っ赤に顔をして先生を思いっきり睨みつけ
「全然、残念じゃないですっ!!」
とだけいい、先生から逃れるように自分の部屋といわれた場所へと閉じこもった。
なんだか、いきなり急に二人っきりということを実感してしまった。
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