第4話
「まぁ、かわいらしいお嬢さんですこと」
向かいに座っている上品そうな女性がとても嬉しそうに言った。
「ありがとうございます。」
この日の為に新調したであろう着物に身を包んだ私がゆっくり一礼した。
隣には、同じように着物を着ている母親が・・・
「ほんとっ、息子にはもったいないくらいだわ。」
なら、お見合いなんかさせないでよ。と、ニコニコとほほ笑む私の心とはうらはらに心の中で冷たく言い放つ。
なんでこんなことになっているかというと・・・
昨日、バイトが終わり部屋で寛いでいると母親が部屋にやってきた。
「由姫ちゃん、明日ね。お見合いなのよ、よろしくね。」
ニッコリ微笑み言った・・・
母が、私のことをちゃん付けする時はたいてい私が断るだろうなと感じている時だ。
「なんかね。パパの知り合いが由姫のこと気に入って、息子さんにどうかな?ですって。」
ニッコリ微笑みいった。母の腕の中には、新しい着物があった。
「私に拒否権はないんでしょう。」
はぁーっと息を吐き、冷めた声で言った。
「由姫っ!!」
母は、なんてことをっ。といわんばかりに叫んだ。
「冗談です。ちょっといってみただけですよ。でも、お見合いはするけど断るからねっ!!」
私は、はっきり言い放った。しかし母は聞いていないふりをし部屋からそそくさと出て行った。
ってゆーか、相手の男性は?もう、一時間以上待ってるのにっ!!
とイライラする私。
本当は、本人が来てからいうものだろうけど、もうこれ以上ココにいたくない。
「おばさま、申し訳ありませんが今回のお見合いはお受けすることが・・・」
私は、丁寧に断りを入れようとしていると
「申し訳ございません。遅くなりました。」
部屋に一人の男性が入ってきた。
やっときたのね。本人にちゃんと言わなきゃお断りしますって。
私は、男性のほうに向きかえ遅れてきた相手を見てやろうと顔を上げた。
その瞬間、声が出なかった。私の目の前にいる人は、幻なのか??
「斉藤?・・・・いっ、斉藤っ!!」
放心状態の私に一生懸命声をかける。
「信一、お知り合い?」
女性がのんびりと言う。
「・・・俺の生徒だよ。」
呆れたようにでも冷静に言う先生
「まぁ、そうなの?なんだか素敵な偶然ね。」
すごくうれしそうな女性
素敵な偶然といえるのかどうか、私にはさっぱりわからなかった。
「まさか、見合い相手が斉藤とはな。お互いに名前ぐらいは聞いておくべきだったな。」
隣にいた先生は、私の頭をぽんぽんっとなでて苦笑い・・・
その後、女性の隣へと席をうつった。そして、あらためてこういった。
「はじめまして。織田信一と申します。由姫さんの学校で教師をしています。」
母は、とてもうれしそうだった。
「由姫ちゃん、彼とってもいい人ね。」
そして、とても気に入っている様子だった。
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