第2話
ガラッ
新学期になり新しいクラスではざわざわしていた。
全校集会には自己都合のため間に合わなかった先生。
そして、やっと教室で対面することになった。
「はじめまして。このクラスの副任の織田 信一です。担当教科は日本史、よろしくお願いします。」
なにごともなかったかのように教室に入ってきて自己紹介を始めた先生
ざわざわの中に私は入らずぼーっと教室に入ってくる先生を眺めていた。
そして、先生が教壇に立ったとき大声で叫びたくなった。
いつもの笑顔はなくきりっとした教師らしい表情の男性
いったい何が目の前で起きたのだろう・・・このまま片思い生活が穏やかに続くと思っていたのに・・・・
なんと彼は、私のバイト先の常連、そして想い人・・・ノブさん
「キャー、由姫っ!!予想以上の大ヒットじゃない!!」
面を食らったように固まっていた美夜子が興奮して私も背中をバシバシ叩く。
もちろん興奮しているのは美夜子だけではなくクラス中
この後、もしかしたら学校中の女生徒が騒ぐだろう。
「せんせーいくつですか?彼女いますかぁ?」
一人の女生徒が聞いた。
「年は24歳だ。彼女はどうだろうなぁ~。想像におまかせするよ。」
先生はそういうが、みんなは納得できないらしくブーイング。
しかし先生は、さっさと別の話に切り替えた。
その間私はというとこれは現実なんだろうかとただ茫然と座っていた。普段、私が興味がないということも騒がないことを知っているクラスメイトたちにはきっといつもの私に見えていただろう。
放課後、いつも通りバイト先へ向かう私。
長いようで短い1日が終わった。はぁ・・・と息を吐きふっともしかして、私すごく気まずくなるのでは・・・
いや、むしろもうバイト先に来なくなるっ!!などとバイト先に着くまで考え込んでいた。
「由姫ちゃん、どうしたんだい。ご機嫌だね。」
なんにしても、今度からは、バイト先だけでなく学校でも会えることがすごくうれしかったりする私。
「そんなことないですよ。」
と、ルンルンで言う私。だが、説得力なし・・・
「はは~ん。さては、彼氏でもできたかぁ??」
マスターの言葉に、先生の恋人である菜々子さんのことを思い出してしまった。
「そうだといいんですけど・・・」
テンションを下げてしまった私・・・
「お前、そんな露骨に感情現すのはいいが、マスター困っているぞ。」
後ろからいきなり、呆れ声で話しかけてきた男性。
「・・・織田先生っ!!」
と、いつものように先生の隣にいる菜々子さんはクスクスを笑っていた。
「おや、織田君の勤務先は、由姫ちゃんの学校だったのか。」
と、意外なほど冷静なマスターだった。と、いうかとてもわざとらしくいっているよにも感じる。
「マスター知っていたんですか?」
マスターノ反応に驚くのは私の方だった。
「知っているというか、常連さんだからな。多少の話はするよ。職業の話とかな。」
なにもかも見透かされているような気がした・・・
「由姫ちゃんって呼んでいいかしら?私、青木 菜々子です。ノブと一緒で教師やっています。学校は違うけどね。」
ニッコリと微笑み私にむけて手を差し出す。
「斉藤 由姫です。」
といまさらながら、自己紹介をする私たち。
次回より予約投稿の予定。
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