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第13話

私はこの日、信一さんから自分の好きな人から逃げ出した。

自分の勝手さは わかっている。

もともと、自分だけが好きであればいい。

そう思っていたのに・・・

信一さんの優しさにふれて、自分は欲張りになってしまった。

翌日から私は、いままで以上に徹底的に信一さんを避けた。

さすがに授業はサボれないので顔を伏せたまま受けていた。

離れてわかってしまった。

そばにいるよりも離れてしまったほうがつらいことを・・・

でも、そう望んだのは自分・・・自業自得だ。

いまさらこの状況を元に戻すのは難しいことも承知のはず

いったいいつからなんだろうか??

信一さんのことをこんなに狂おしいくらい愛してしまったのは・・・

「あっ、由姫ちゃん!!」

いつものように信一さんにかかわらないように一日を過ごした帰り

駅で 一人の女性に声をかけられた。

「お母さま・・・」

気づいた私に、微笑む信一さんの母親

「よかったわ。つかまって」

さすがに学校の前まで押しかけるのはまずいと思い駅で待ち伏せをしたらしい。

私はお母さまと近くの喫茶店に入った。

信一さんは お母さまに話したのだろうか??

沈んでいる私とは反対にご機嫌な様子のお母さま

「由姫ちゃん、大丈夫?具合でも悪いの?」

心配そうに顔を覗き込んでくるお母さま

しかし、私はお母さまに合わせる顔がなく俯いていた。

「今日はね、聞きたいことがあってきたの。」

反応を示さない私の申し訳なさそうに言うお母さま

やっぱり信一さんは話をしたんだ・・・

婚約破棄よね・・・もちろん・・

自分でしたことに対し後悔が襲ってきた。

「信一と仲良くやってる??あの子、何を聞いても大丈夫としか言わないのよ。だから、今日はあの子に内緒でここまで来ちゃったの。」

お母さまの突拍子のない言葉に私は顔を上げ相手を見た。

「なにも 聞いていないのですか?」

のどのところまで その言葉が出てきた。

しかし 言葉はでなかった。

「今日、私と会うことを言ってらしてなんですか?」

ニッコリと頷くお母さま

どうしよう。

信一さんから伝わるのもすごく嫌だったが

自分でいうとなるとなおさら・・・

「由姫ちゃん?」

考え込んでいる私にきょとんっとするお母さま

でもここで言わないといけない!!

「信一さんは・・よくしてくれています。」

私の答えに「ならいいわ。」と、納得した様子のお母さま。

「ただ・・ひとつお願いがあります。」

私は言葉を選びながら続けた。

「婚約の・・・結婚の話をしばらく延期していただけないでしょうか?」

お母さまの顔から笑顔が消えた。

「それは、婚約を無効にしたいってことかしら?」

その問いに「いいえ」と答える私。

「でも信一さんが望むのであれば・・私は、それに従います。」

そうそれが信一さんの出した結論であれば・・・

私が自分のわがままで手放してしまったことなのだから

気を抜いてしまうと目から涙がこぼれそうになる。

「信一のこと 嫌い??」

黙っている私に問う。

私は、首を横に振った。

「その逆です。頭ではわかってはいるんです。私たちは好きあって婚約しているわけではないと・・・でも私にはとてもつらくて・・・私、信一さんのこと好きなんです。最初はそれだけ幸せだったんです・・・ちょうど試験期間なんです。お母さまにはご迷惑かけてしまいますがしばらく私に時間をください。」

私の言葉に一旦、口を開いたもののすぐに閉じ頷いてくれた。


「今は実家に戻っています。信一さんには試験が終わるまでといっています。正直私はどうすればいいのかわかりません。でも逃げてばかりではいられませんので・・試験が終わったらちゃんと話すつもりです。」

今の自分の意見をお母さまにきちんと伝えると

納得してくれた様子。

「今日はありがとうございました。本来ならこのような形ではなくきちんと話をしなければいけないのに・・・」

喫茶店を出て、私は駅でお母さまと別れることになった。

「由姫ちゃんどちらに転ぼうとも私は由姫ちゃんのことを娘のように思っていくつもりよ。お礼なんていらないわ。それに私は愛のない結婚はお互いにしてほしくない。そう思ってるの。お見合いは単なるキッカケよ。そのあとどうするかは当人同士の問題。私たちが口出すことではないわ。この婚約は信一が了承していることよ。もちろんあなたも。そのことは覚えていて。あとは二人できちんと話し合って頂戴ね」

ニッコリとしお母さまはそういい私を見送ってくれた。


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