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ぼくの猫は破壊神 〜魔法学園の落ちこぼれ、最強の使い魔を復活させて成り上がる〜  作者: 芹沢政信
四章 ぼくが君を助けるために、王都の上空でドラゴンと戦う話
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4-8 ドラゴンスレイヤー

「ぬう!! また逃げようとしておるぞ!!」

「なんだって!?」 


 ぼくがぐぐっと箒を旋回させて、露出した胸部に突っこもうとした直後――エーヴドゥルカが身をひるがえし、再び空に飛び去ろうとする。

 ガードナーのほうを横目で確認すると王都の魔法使いが増援にかけつけたのか、大編成とともに地上の被害を食い止めたところだった。

 あっちは大丈夫そうだ。

 ぼくは満身創痍の朽竜を追いかけて、天を貫く勢いで空へ空へと昇っていく。

 でも――。


「瀕死だってのに、さっきより速くなっているじゃないか!!」

「中に囚われた小娘の力にゃ! あやつめ、所有者の魔法まで吸収しておるぞ!!」


 ベル先輩の、加速する魔法だ。ただでさえ追いつけなかったエーヴドゥルカがぐんぐんと加速して、追従するぼくらを引き離そうとする。

 このままじゃ、間に合わない。どうする、どうすればいい!? 


「仕方あるまい、気は進まぬがオーサがなんとかするにゃ」

「え?」

「お前に力を貸し与えておるがゆえ本来の姿には戻れぬが、それでもオーサは強いからにゃ。あやつの懐に飛びこむことができれば、この爪牙をもって小娘を引っぺがしてやる」

「でも、どうやって!? 近づくことさえできないのに……」

 

 ぼくが自力でもっと飛べたら、強化された飛行魔法だって今よりずっと速いはずなのに。今さら後悔したって遅いけど、そう思わずにはいられない。


「飛べぬなら飛ばせばよい。今の、お前にある力を使え」


 オーサは心を読んだようにそう言って、なにをすればいいのかを教えてくれる。

 それはとても正気とは思えない作戦で、ぼくは思わずこう返してしまう。


「さすがは破壊神。やることがむちゃくちゃだね」

「にゃははは! ひさびさに楽しくなってきたのう!!」


 前を向くと、エーヴドゥルカの姿がさらに遠くなっていた。

 それでもまだ十分に狙える距離だし、逃げるだけの相手なら絶対に命中させてみせる。

 ぼくは封珠の杖を構え、いつものように詠唱する。

 だけど飛ばすのは、石じゃない。


「我が身に満ちる創世の力、少女を救う爪牙となりて竜を貫く――っ!!」


 肩にしがみついていたオーサが、くるっと宙におどり出る。

 ぼくは真っ黒な毛玉と化した猫サマを、ありったけの魔力をこめて撃ち込んだ。


「飛んでけええええええ!!! ――飛神弾ッッ!!」

「ううう……にゃああああああああああああああああああああっ!!」


 衝撃波をまとったオーサが、はるか先のエーヴドゥルカめがけてすっ飛んでいく。

 朽ちた竜よりよっぽど丈夫な破壊神が凄まじい勢いで激突し、ぐるぐる回転しながら胸部を穿っていく。

 やがて頭の中に声が響いてきて、


『こっちはうまくいったにゃ!! あとの心配はいらぬ、やれ!!』


 ベル先輩を咥えたままふわふわと風に流されていく猫サマを確認したあと――所有者を失い断末魔の叫びをあげているエーヴドゥルカに杖を向けて詠唱し、ぼくはトドメの一撃を解き放つ。

 

「眠っているところを起こしててごめんね、エーヴドゥルカ! 唸れっ! ――飛石弾ッ!!」 

「グオオオオオッオオオオオッ……!!」


 放たれた衝撃波は深紅の朽竜をうち砕き、その身を苦しめていた呪縛から解放する。

 空を舞っていた大量の破片は地上に落ちるころにはサラサラとした塵に変わり、ぼくもまたボロボロになってしまった箒を飛ばしてレースのゴール地点へ向かう。

 すると際限なく続いていた避難勧告がやかましい実況に戻り、甲高い声が王都の空に響きわたった。


『なんということでしょう! 学園の生徒が、ドラゴンを……ドラゴンをひとりで倒してしまいました!! 見てください、クラウンくんが戻ってきます!! 我々は今、新たな英雄が誕生する瞬間を目撃したのかもしれません!! さあ王都のみなさん!! 彼の勇気と栄誉に――喝采を!!』

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