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ぼくの猫は破壊神 〜魔法学園の落ちこぼれ、最強の使い魔を復活させて成り上がる〜  作者: 芹沢政信
三章 校舎の地下に危険なダンジョンがあるという話
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3-5 流星のベル

 桃色がかった金髪の二つ結び。きりりとした眉。

 白い肌にお人形さんみたいな顔。

 ぼくと同じくらい小柄なのに、どことなく大人びた雰囲気がある。

 見覚えのある髪留めをつけていて、ヴィレパン雑貨店の新商品だと思い出す。

 でもそれ以上にまず、


「最速の女王……。流星のベル、さん?」

「ん」

 

 彼女は肯定するように携えていた箒を構えたあと、空いているほうの手でぼくに促す。

 さっきのカエルの真似を続けろってこと?

 飛行魔法レースのチャンピオンだし、もしかして教えてくれるつもりなのかな。


「ぐぬぬぬ……飛べえ! 飛べえ!」

「ぷははははははっ! うわあバカだ、バカがいるう!!」

「あのさあ笑わないでよ! これでも真剣にやっているんだから!!」  

「いや我慢できないでしょこれ。もう完全に受け狙いじゃん……ぷぷ」


 オーサの気持ちがよくわかった。すっごい腹立つ。

 でも腕章を見て等級がふたつ上、つまり上級学科の先輩だってことに気づいて、ぼくは一応敬語で接することにする。


「見世物じゃないのでどっか行ってください。練習の邪魔ですから」

「邪魔しないなら見ていていいの? ぴょんぴょん跳ねるところ」

「い・る・だ・け・で・迷・惑・で・す」

「可愛い顔してズケズケ言ってくるのね。あたしが先輩だってわかっているのかしら」


 低い声ですごまれたので、ぼくはヒュッと息を吐いて姿勢を正してしまう。

 カイトにビンタをかますくらいだし、めちゃくちゃ気が強そう。


「ほら、ちょっと貸して」

「すみません、お金だけは……」

「おばかさんね貴方。箒を貸せって言っているの」


 ああ、そういうこと。

 ぼくは持っていた箒を渡して、代わりに彼女の箒を受け取る。

 やっぱりこの先輩、飛行魔法を教えてくれるのかなあ?

 なんて思っていると、


「ふんぬっ!!」

「ええ……!? なんでぼくの箒を折っちゃうの!?」


 バキッ! と豪快に真っ二つにしやがったこのひと。

 それ、練習のために借りている備品なのに。


「ざっと見た感じ貴方、魔力の器がゴミカスでしょ。なのにこんなクソ箒を使っているし、ゴミカスにクソの組み合わせじゃ無理も無理」

「初対面なのにひどすぎる……」

「だからあたしの箒を渡したの」 

「え、どういうことですか?」

「やっぱりおばかさんね貴方。実は優しいと巷で評判のベル先輩が丁寧に説明してあげるから一度で理解しなさい。あたしだってヒマじゃないんだから」


 いちいち言動が読めない先輩だけど、教えてくれるつもりはあるみたいで。

 ぼくは促されるまま、彼女から借りた箒にまたがってみる。

 するといきなり、


「はきゃあっ! なんでぼくのうしろにまたがるんですか!」

「女の子みたいな悲鳴をあげなさんな、おばかさん。貴方の場合はたぶん技術面に問題はなくて、単に出力が足りないだけ。それなら周囲の大気をうまく制御するなりしてカバーすべきなんだけど、飛べない飛べないって焦るあまり強引に力を出そうとするから大気の制御まで崩れちゃうわけ。……おわかり?」

「耳元にふーふー息がかかるせいで話に集中できません! てか密着しすぎですっ!」


 背中ごしにぽよんと柔らかい感触まで伝わってくるし勘弁してほしい。

 でも当のベル先輩はけろりとしていて、ぼくが男だと意識していなさそうな感じ。

 ハニービーにもこういうところがあるけど、彼女より色気があるだけに余計つらい。


「魔法使いの箒は当然ただの掃除道具じゃなくて、飛行を補助するための強化魔法が込められているの。あたしの箒はレース用の特注で学園のクソ箒より断然性能がいいから、魔力の器がゴミカスで出力が足りない貴方でも飛ぶことができる、はず。だから大気の制御にだけ意識を集中させなさい。ご理解できたかしら、おばかさん?」


 ぼくはうなずく。

 するとベル先輩はクスリと笑って、

 

「はいじゃー実践! できなかったらお仕置き、できたらご褒美!」

「どっちも怖いんですけど……とりあえずやってみます」


 というわけで先輩と二人で箒にまたがったまま、ぼくは教わったとおり大気の制御に意識を集中させつつ術式を構築してみる。

 周囲に充満する魔力を体内に取りこみ、呼気として吐きだしながら強く念じていく。

 祈るように、歌うように。

 高く飛びあがるイメージじゃなくて、風に流されていくようなイメージで。

 すると……。


「できました、できましたよ先輩!」

「ちょっと浮いたくらいで、はしゃがないの。もうちょっと高く飛んでみて」

「無理ですね、重量オーバーかも」


 ぼくがそう言うとベル先輩は素直に箒から降りて、


「あたしは羽より軽いから関係ないと思うけどね。じゃあこのまま練習、地面に足がつくたびビンタ一発。これってお仕置きかな。それともご褒美になっちゃうかしら」

「知らないですよそんなの」


 初対面なのにお互い自然体で接していて不思議だけど、口が悪いわりに親切だし、教わったとおりにやったら飛べたから――そのままベル先輩と自主練に励むことにする。

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