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ぼくの猫は破壊神 〜魔法学園の落ちこぼれ、最強の使い魔を復活させて成り上がる〜  作者: 芹沢政信
三章 校舎の地下に危険なダンジョンがあるという話
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3-4 飛行魔法の練習

 学園側も今の時期は建国祭にちなんで授業を組むらしく、翌日は校舎の中庭で空を飛ぶ実習をやることになった。

 クラス全員に練習用の箒が配られたあと、キデック先生は自ら宙に浮いてみせながら、


「かつては習得難度の高い魔法とされていたが、現在では箒による補助技術の進歩もあって、君たち初級学科の生徒でもなんなく飛ぶことができるようになった。知ってのとおり王都の上空は我らの領域。飛べぬものは魔法使いたる資格なし、とさえ言えよう」

「ぐっ……」

「おや、どこかでカエルが鳴いているなあ。この中に飛べぬものはいないはずなので、今日は障害物の回避や、速度を落とさず旋回する訓練を行う。では――飛翔!」


 先生のかけ声を合図に、クラスのみんなが次々と箒にまたがって飛び立っていく。

 ところがぼくは頭に猫をのせながら、相も変わらず地面に縛られたまま。


「さては重量オーバーか。オーサは降りたほうがいいかのう」

「ぐぬぬぬ」

「フハハハ!! どうしたクラウンくん! トイレが近いのかな!?」


 上空からキデック先生が煽ってくる。

 うるさいなあ、オーサをぶつけるぞ。

 心の中で悪態をつきつつ必死に魔力をこめるのだけど、箒はピクリともしない。


「クラウンくーん、私が教えてあげよっか?」

「待ちなよハニービー。お姫さまをかっさらっていくのは白馬の王子さまならぬ、箒の王子さまの役目さ。てなわけでガードナー、君の出番じゃないか」

「……殺すぞ、お前ら」


 待って。

 ぼくも本気でカイトをぶん殴りたい。

 ていうかそれほど落ちこんでないみたいだし、昨日の一件をみんなに言いふらすよ?


「にゃははは! お前は器用なのか不器用なのかわからぬにゃあ」

「あーもう! 集中できないからオーサも黙っていて!」


 結局、ぼくは一度も空を飛ぶことができなかった。

 キデック先生が「地べたに這いつくばるのがお似合いだな」と鼻で笑うから、オーサを投げてよこしたら「ぎゃあ」と悲鳴をあげたので少し気が晴れたものの……できれば正当なやりかたで見返してやりたいところ。

 ちょっと前なら、泣きべそをかいているだけだったかもしれない。

 でも今は変わるって誓ったのだから、そのために努力しなくっちゃ。





「ふむ、放課後に飛行魔法の自主練とな」

「攻撃系の魔法は結局ろくに覚えられなかったし、今度こそ苦手を克服したいんだよ」

「その意気やよし。お前に頼られるのは悪い気がせんし、今回も手を貸してやりたいところではあるが……」


 校庭の中庭にて。

 練習用の箒を片手に教えを乞うたところ、オーサはなぜか乗り気でないご様子。


「オーサは生まれたときより宙に浮いていたゆえ、飛ぶためにどうすればいいかと問われてもうまく説明できぬ。お前らみたいに修練で覚えたわけではにゃいからのう」

「そういえば君、たまに寝ぼけて浮きあがって寮の天井に頭をぶつけるよね。最初に見たとき何事かと思ったよ」

「あのとき腹を抱えてゲラゲラ笑いよったなお前。思いだしたら腹が立ってきたにゃ」

「だって我慢できないでしょ。なかなか見られないよ、あんな間抜けな――」


 途中まで言いかけて、ぼくはしまった! と思った。

 オーサはギロリと睨みつけてきて、


「教えてくれというわりに態度がなってないのう。お前のようなやつは知らぬ」

「あ、待って!」


 行っちゃった……。

 今のはぼくが悪かったし、あとできちんと謝っておかなくちゃ。

 というわけで中庭にぽつんと取り残されてしまったので、黙々と修練に励む。


 キデック先生は教えてくれるどころかイヤミを言うし、ハニービーとカイトはからかってくるし、ガードナーにいたっては呆れたように一瞥するだけ。

 最後の希望だったオーサでさえヘソを曲げてしまったから、あとは自力でなんとかするしかないのだけど、いつまで経っても箒はピクリとも動かない。

 一時間、二時間と過ぎていく中。それでもぼくはめげずに、


「ぐぬぬぬ……」


 全然ダメ。つま先立ちしてぴょんぴょん跳ねてみるけど浮く気配なし。

 なんだかバカみたいだし、それこそカエルとか言われそう。ゲロゲロ。


「ぷ……っ! ぷはははっ!」

「え?」


 女の子がこちらを見て、笑っている。

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