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ぼくの猫は破壊神 〜魔法学園の落ちこぼれ、最強の使い魔を復活させて成り上がる〜  作者: 芹沢政信
二章 禁呪を使ってしまったぼくが、先生に決闘を挑む話
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2-11 最強の魔法使いになるための第一歩

「ぼくちんは途中からのけ者にされちゃったけど、まさかクラウンくんがあんな大それたことをしでかすなんてねん」


 決闘が終わったあと。ロッキー校長に事情を説明し、事後処理を任せることにした。

 そして数日後の今、ぼくらは校長室にて反省会めいた面談を開いている。


「自分でも信じられないくらいですよ。正直うまくいくとは思っていませんでしたから」

「いずれにせよ君は決闘に勝利したわけだ。しかもキデックを打ちのめすだけでじゃなく、()()()()()()()()()()()()()というオマケつきで」


 ぼくはうなずく。

 念動系と付与系の派生。繕ったり編んだりする魔法。

 草木で緑のカーテンを編むように、先生の傷ついた肩の神経を繕う。

 オーサがやれと言ったのは、そんな正気とは思えない魔法だ。


「言葉にすると単純に聞こえるが、あれは尋常でなく複雑な古き術式にゃ。精密な物体操作ができるといっても、断ち切れた神経のひとつひとつを繕うのは並外れた技量が必要となる。オーサがクソ教師の魔力抵抗レジストを極限まで下げ、あれこれと指図してやったとはいえ、こやつが持てる力のすべてを費やして挑んだからこそ成功した、神々ですら驚嘆する奇跡の所業であろう」

「つかほとんど拷問みたいな有様だったらしいじゃん。キデックのやつショックで決闘の記憶が曖昧みたいだし、負けたことくらいしか覚えていないよ」

「先生がやたらとしぶといからよかったけど、普通のひとだったら途中で死んでたかもしれませんね。だってぼく、何度も失敗しちゃったし……」


 そのたびに先生の身体からバキゴキ変な音がして、ヒヤヒヤしたもの。

 とはいえぼくは自分の魔法を、治癒に転用することができたわけだ。


「回復系を得意とする魔法使いはすくないし、キデックの肩はハクラム師ですら匙を投げたほど。魔法で傷口を塞ぐだけじゃ、神経までは元通りにできなかったのかしらん」

「……そうなんですか?」

「おろろ、知らなかったのかい」


 それなりにうまくやった自覚はあったものの、憧れていた恩師にもできなかったことをしたのだと言われて、ぼくはただただ驚いてしまう。


「そもそもあいつが君に八つ当たりしていたのは、スラムで肩を傷つけられたからだし。まあ性格クソだしプライド高いしまたグチグチ言ってくるかもしんないけど、逆恨みする理由がなくなったのだから当分はおとなしくすると思うよん。だからほら、涙をふいて」

「あ、違うんです。これは……」

「なんだお前、結局ぴーぴー泣くのではないか」

 

 オーサが呆れるものだから、ぼくも思わず苦笑い。

 またやれと言われたら成功できるかわからないし、ハクラム師みたいに派手な魔法をポンポンと使えるようになったわけでもないけど――それでも自分の力で一度だけ、あのひとの背中を飛び越えることができた。

 そう思うと嬉しくて嬉しくて、しばらく涙がとまらなかった。



 ◇



「で、どうにゃ。誰にも負けない魔法使いになれそうか」


 校長室から出てすぐ、頭に乗ったオーサが冗談めかして言ってくる。

 尻尾でぼくの肩をぺしぺし。見るからにご機嫌そう。


「あんまり自信はないけど、君に誓ったからね。キデック先生だって古傷を治してあげたんだから、ぼくのことを認めてくれているはずだよ」

「オーサはクソのままのほうに賭けるがにゃ。あれほど性根の曲がったやつは神々にも古代種にもおらなんだ。他人に感謝する心があるかどうかさえ怪しいぞ」


 なんて話していたところで、遠くからずんずん枯れ枝のような男が近づいてくる。

 あろうことかそのひと、ぼくを見るなり紙束を丸めて投げてきた。


「どうだ、これで文句はないだろう!」

 

 紙束を広げてみると、ぼくの罪状(ほとんどねつ造)を協会に告発するための訴状だった。

 うわあ……と呆れ果てて見つめると、キデック先生はツバを飛ばして、


「なにをどうやったのか覚えていないが肩を治してくれたのは事実らしいから礼を言おう。しかし汚い手口で私を打ち負かした件は――おい、その猫をこっちに向けるな」

「え、オーサが怖いんですか?」

「違う!! なぜだかそいつを見ると……ひぃ!! くそ、覚えていろ! ほとぼりがさめたころにお前を蹴落としてやる! 絶対だ、絶対だからな!!」


 肩があがるようになったことを見せつけるようにシュシュッと拳で空を切ったあと、キデック先生はそのまま脱兎のごとく走り去った。

 なんだか子どもみたいだし、見ているこっちが恥ずかしくなってくるよ。


「あの男、やはりまったく変わっておらぬな」

「でも地べたをはいまわるドブネズミを、わざわざ蹴落とす必要なんてないはずだからさ。もしかしたらぼくのこと、ちょっとくらいは認めてくれたんじゃないかな」

「にゃはは。そういう考え方もあるのかのう」


 ともあれこれで、ぼくは最強の魔法使いになるための第一歩を踏みだしたわけだ。

 本当になれるかどうかはわからないけど――でも、やれるだけのことはやってみよう。

【次回予告】

ぼくはある日、魔法学園にまつわる噂話を耳にする。

なんと校舎の地下がダンジョンになっていて、危険な魔物が生息しているというのだ。

一方の王都では年に一度の飛行魔法レースの話題でにぎわっていた。

 学校の授業でも箒を使って空を飛ぶ練習をしたんだけど……落ちこぼれのぼくは宙に浮くことさえできやしない。

そんなときにぼくは飛行魔法レースのチャンピオン、流星のベルと出会う。

やたらと気の強い彼女と特訓して、ようやく飛べるようになったけれど……!?


とまあそんな感じで色々あって、ぼくは校舎地下のダンジョンで遭難したり、王都の上空で眠りから目覚めたドラゴンと戦うことになるんだってさ。なんだか大変そうだけど、大丈夫かなあ?


「手を貸してやりたいところだが、腹が減って力が出ぬ。ブクマなり評価のポイントなりレビューなり感想なりを供物としてぶち込んでくれれば、やる気になるかもしれぬにゃあ」


え、君ってそんなものまで食べちゃうの?

破壊神ってすごい。 


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