○ 『空(くう)を悟りて時穿つ』 ○
◇◇◇
「・・・あんたは・・・」
クロトの右腕を掴んでいるのは、カイキと共に謎空間に入って行ったレイだった。
「こうして話すのは久しぶりかな? あの時はほんと助けてくれてありがとね。」
にこやかにお礼を告げるレイ。
その様子を眺めていたルイス達はみるみる顔色が悪くなる。
「・・・いや、レイ今そういう場合じゃ・・・」
その時だった・・・
「・・・くそっ! せめて奴だけでも・・・!!」
まだ動けた政府軍の残党がルイスに向かって剣を構え襲ってきた。クロト達に気を取られてたルイス達は反応が一瞬遅れてしまった。
「っ!!」
「ルイス!!」
ファレル達は間に合わない、ルイスも切り込めるがその一太刀を浴びせる前に敵の剣がルイスの身体に到達する方が数刻早い・・・そんな位置。
「クッソ!!!」
くらってもかまわない・・・その覚悟でルイスは武器に力を込める・・・
しかし・・・・・・
┈┈┈ ・・・バキバキバキバキパキン・・・!! ┈┈┈
「ぐぁ!!?」
「!?」
突如辺りに冷気が覆う、そして同時に巨大な氷の塊が政府軍を押し流すように壁のように出現した。
直撃した政府軍は持っていた剣ごと吹っ飛びかなり離れた所まで飛ばされ ドシャッ! と鈍い音を立たせて落下した。ピクピクと僅かに体が動いているのが見えたが、そのまま気を失ったようだ・・・
「今のは・・・」
皆が呆然と立ち尽くす中、ルイスは氷が出現した出発点の方に目を向けた。そこに居たのは・・・
「カイキ・・・」
こちらも巨大な魔力を携えた、レイと共に謎空間に消えていたカイキだった。
「・・・・・・」
カイキは何故か泣きそうな顔をしていた。そして ススス…とルイスとファレルの元に歩み寄り、
「・・・・・・」(ぎゅっ)
「お?」
「え?」
二人にしがみつくように抱きついた。
「お、おいカイキ・・・?」
「どうしました?」
カイキの異様な様子に慌てる二人、その様子を、レイは眺めていた。
「あちゃー・・・」
はぁやれやれと言った感じにため息をつくレイ・・・
クロトの腕を、掴んだまま・・・・・・
「・・・いつまで掴んでいる。」
ボソッと呟くクロトは、そのまま魔力を込め始めた。
「お。」
「・・・いい加減、離せ!!!」
バチバチと黒い魔力が溢れ出る。その勢いで引き離そうとしたのだろう・・・しかし、レイは未だ掴んだまま。
「・・・悪いね、今君に逃げられると皆悲しむんだ。」
そう言うとレイは掴んでいない右手で指をパチンと鳴らした。
するとどういう訳か、放出されていたクロトの魔力は一瞬にして消え、
「・・・ガハッ!」
何故か、クロトは苦しみ出したのだった。
「・・・あんた、なにを・・・した!!!」
「ごめんね? しばらく休んでてくれるかな?」
レイはクロトを掴む左手はそのまま離さず、右手人差し指と中指でクロトの額にトンっと触れる。
すると、クロトは崩れるように倒れ、意識を失っていった。
「・・・あんた・・・りゅ・・・じ・・・・・・」
「・・・兄弟喧嘩は、今度ゆっくりやってね。」
「おやすみ。」
こうして、ようやくクロトを捕まえることが出来たのだった。
ふと視線に気がついたレイは、ルイスがこちらを見ていたことに気づいた。
「・・・ちゃんと説明してもらうぞ?」
「・・・分かってるよ、ここの後始末が終わったらね?」
◇◇◇




