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創世のソード・ブレイカー  作者: 柚木りん
第七章 ルイス《光》とリヒト《闇》
67/70

〇 追憶-果ての対面- 〇


◆◆◆



クロウと過ごし始めてしばらく経つが・・・





「ありがとう、おかげで体調がすこぶるいいよ。」

「傷が治ったからまた狩りが出来る! ホント助かった!」


「いえいえー、元気になって良かったですー。」





・・・何故か人間が増えている。




「・・・おいコラ。」

「え?」



キョトンと振り向くクロウ。

俺はその頭に、蹴りを入れた。



「・・・”え?” じゃねぇよ! なんでどんどん人間が増えてんだ! そこまで許可した覚えは無ぇよ!」


「ぇえ~~~!? なんでぇ!? 困ってたから助けただけだよ!? そのお礼って果物とか持って遊びに来てくれただけじゃん!!」


「じゃんじゃねぇよ!! こっちは騒がしすぎて昼寝も出来ねぇんだ! 群れるなら他所でやれ!!」




そう言い残し俺は森の奥へと入っていく。後ろから「ケチーーーー!!!」と、バカでかい声が聞こえてきたが構わず進んで行った。





◆◆◆



クロウにお礼を言いに来た人間達は残されたクロウをナデナデしていた。



「・・・あー、なんかごめんねぇ・・・あたし達のせいで・・・」

「俺たち・・・そんなデカい声だったか?」


「んーん、大丈夫だよ。あのひと人間に慣れてないだけだから・・・」



それを聞いて、固まってしまった人間達。


(・・・ん、人間・・・?)



すぐさま立ち上がるクロウ。



「ありがと! 話してくるからもう戻るね! また何かあったら言ってねー!」



そう言ってスタタタと走って行くクロウ。その後ろ姿を見送りながら、残っていた人間達は話していた。



「ホント仲良いわねぇ・・・あの二人。」

「・・・いいのか? あれは。」

「でもなーんか()()()、雰囲気違うのよねぇ・・・」

「・・・ま、俺らの出る幕じゃないんじゃねぇの? あの子も気に入ってるみたいだし。」

「そうねぇ・・・今は気にしておくだけにしときましょうか。」




◆◆◆



そんな心配をされているとはつゆ知らず、クロウは無邪気にレイの元に戻ってきた。



「ただいまー・・・って、あーーー!!! 龍に戻ってるー!」

「・・・うるせ。」



丸まって寝ていたレイを見つけたクロウは、勢いよくレイの身体に突っ込んでモゾモゾとレイの腕の中に入っていった。



「ちょっ・・・なにやってんだ鬱陶しい。」

「一緒に寝よ!」

「よけーに眠れねーよ。」



そう言ったが既にクロウはスヤァと眠りについていた。それはもういい笑顔で。



「・・・コノヤロウ。」



まぁもう追い返すのも面倒臭いので諦めているが。






クロウは特殊だ・・・普通人間ではありえない魔法の才があった。

・・・まぁ、俺が知らないだけでそういう奴は他にもいるのかもしれないが。

誰に教わるでもなく、出会った時から攻撃・防御・治癒魔法を使えていた。その種類は今も増えていっている・・・いずれは新しい魔法を創り出すかもしれない。



「・・・んぅ・・・むにゃ。」

「・・・呑気だな。」



そしてこの人当たりの良さだ。


どうも一人で出掛けている時に困っている奴らを助けては仲良くなっているらしい。さっきのがまさにそのお礼の最中だったのだ。仲良くなるのは人に限らず、龍に限らず、だが・・・




「・・・()()()()()()お前は幸せなんじゃねぇの? (ボソッ)」





クロウの寝顔を眺めながら思わず呟いてしまった。


一人には慣れていたが、今となってはこの騒がしさが日常の一部になっていた。こいつの成長を眺めるのを、楽しんでいる自分もいたのだ。






まぁ、当の本人は離れる様子は一切無く、そして人間の成長速度は早いもんであっという間に青年となっていった。





「・・・・・・ぅおい。」

「ん?」



そしてあっという間に、



-ガヤガヤ・・・-



人間を集めてしまった・・・



「多すぎだろ!!!」



それはもう、村と呼べるほどの集落にはなっていた。



「そお? 少ない方じゃない?」

「俺にとっては多いわコノヤロウ!! なんで会うやつどんどん迎え入れてんだよ!」

「えー? 全員じゃないよ? 身寄りのない人達だけだよー。」




クロウの人助けは続いていたのだ。そして助けられた者達はお礼に来たり話するだけに来たり、とにかくクロウの周りに集まっていった。

その中で、帰る場所がある者達は帰っていくが居場所の無い者達をクロウはこの地に留めていた。そして今度は自分の魔法で住む家を造り、提供していたのだ。



「俺の静かな空間が・・・」(ガックリ)

「どーせ寝る時は奥に行くじゃん! なんなら防音設備造ろうか!?」

「・・・なんでそんなキラッキラな目させてんだよ。」



クロウの魔法の実力は、もうかなりのものだった。

集落の中で、クロウに魔法を教わる者も増え誰からも頼りにされていた。俺はと言うと・・・・・・



「あぁ、()()()。今日もお見守り下さりありがとうございます。」

()()()! この野菜見て下さい! 立派に育ちましたよ!」



何故か、崇められていた。



「・・・別に龍神じゃねぇんだが・・・」

「いいじゃない()()()! 形は違えど仲良くなれて!」



ニカッといたずらっ子のように笑うクロウ。もうだいぶ俺はこの顔に絆されたらしい。



「・・・お前はその呼び方ヤメロ。」

「ハハ! 分かったよレイ!」





・・・騒がしい毎日だが、確かにここには『平和』があったんだろう。


・・・・・・あまり長くは、続かなかったが・・・・・・





◆◆◆



~ 一方その頃、現在『リュー』にて ~



「・・・キッツ!」(リイン)

「もう・・・終わった?」(キリヤ)



ようやく政府軍との戦闘に一区切りがついた・・・



「・・・・・・いや、まだだ。」(ルイス)



・・・・・・と、思われた。





「あれは・・・!」(ファレル)


「・・・・・・」





・・・ ()()()()()()!!! ・・・




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