○ 石の世界 ○
◇◇◇
「ぜぇ・・・はぁ・・・」
「・・・大丈夫・・・か?」
「これが大丈夫なように見えますか?」
森をぬけ、急な坂道を登る一行。
「俺はだいぶ慣れましたが、リイン達にはまだ少しキツそうですね・・・」
「うぅ~・・・さすがに足が痛い・・・道変わりすぎだよぉ~・・・」
「・・・・・・うぅ、この身体でさえキツい・・・」
リインとキリヤは既に言葉を発するのもキツそうだ。
その後ろにカイキも武器を杖代わりにしながらゆっくり進んでいる。
「・・・・・・鉱山って、なんで・・・こんな、高いとこに・・・あるんだよ・・・!」(ぜー、はー)
半ばキレ気味にボヤいている。
「魔石の鉱山はその性質上特に魔物や悪意のある者に狙われやすいから、人里離れた場所にあることが多いんだ。何故標高高いとこばっかなのかは俺にも分からんが。」
今絶賛山登り中・・・
この先に魔石が採れる採掘場がある。ちょっと逸れるけどちゃんとリューへの道に繋がっているのだ。
「あ、見えてきたぞ。あれが入口だ。」
ようやく見えた入口にリインは安堵の表情だったが、ファレルは逆にスンッてなっていた・・・
「・・・で、相変わらず中は迷路みたいに入り組んでいると・・・」
「・・・ついでに蟲もいます・・・」
「「え゛」」
俺のその一言に、ファレル達は固まった。
◇◇◇
「・・・おおぉ~・・・!!」
「凄い綺麗だね・・・!」
リインとキリヤは開いた口が塞がらない。
鉱山の入口、洞窟に入った途端に見えた景色に皆興奮していた。
そこは明るく紫に輝く神秘的な所だった。
「これは・・・壮観ですね・・・」
「キラキラすごーい!!」
皆この景色に見惚れているようだ。
「これ・・・紫に見えるのは流れいる魔力によるものかな?俺も加工された魔石は何度も見てるけど採掘場を見たことはないからねぇ。」
レイが辺りを眺めながら呟いたので、俺が追加で説明した。
「レイの言う通りだよ。ちょっとずつ蓄積された魔力が凝縮して魔石になる。この辺りはまだ管理されてた所で、目当てはもう少し先。あと、たまに蠢く蟲に気をつけてね。」
「!!?」
さっきまでキラキラ目を輝かせていたリインがビクッと肩を震わせた。
「・・・さっきからなんですか蟲って・・・」
「あ~・・・もしかしてあれのこと?」
ファレルが尋ねるその横で、レイが指を差していた。
その先に、確かに何かがモゾモゾ動いている。
「ん・・・?うん、あれ。魔力に群がる習性があるんだけど・・・」
指差す先を確認してから説明を続ける。
「基本は小さいしまだ害はないからほっといていいんだけど、たまに魔力を吸収しすぎてデカくなるヤツがいるんだ。そうなると人まで襲ったりするからその前に倒したりするんだ。食べるやつもいるけど、あんなふうに。」
そう言いながら俺はクロウを指差す。皆もつられて振り向くが、ちょうどクロウは絶賛食事中だった。
視線に気づいたクロウがかじっていたそれを持って見せるように言う。
「・・・ん?お前らも食うか?美味いぞ?」
バリボリと食べる姿に皆引いていた。リインとキリヤは今にも吐きそうだった・・・
「・・・やだ、ちょっと見たくない・・・」
「うぇ・・・」
「お前よく食えるな!?」
「なんでそんな引くんだよ!フツーに美味いぞ!!?」
ユウキだけは平然と見ていた。
「・・・野宿慣れてるからオレも平気。」
「・・・そうか、ユウキ君はゲイルさんと一緒にいたからね。ある意味サバイバル経験は一番豊富かも?」
そんな時、ファレルが俺の方に振り向いた。
「・・・まさかルイスも食べませんよね・・・?」
「・・・俺は食わんが、好みは人それぞれ、だからな?そこは人間と一緒だぞ?」
◇◇◇
「ここからだよ。」
ある程度進んだ所で目当ての禁止区画に入った。今いる場は少し広く、広場と言える程度の広さで一休み出来そうだ。
「今から二手に別れてこれから言うものを探してきて欲しい。採るのは俺とレイで、大丈夫だよな?」
「うん、だいたい分かるよ。」
指示を出しながらメモを書いていく。
「俺の方にはファレル、リイン、キリヤの三人。レイの方にはカイキ、ユウキ、クロウの三人がついてくれ。そしてこのメモに書かれた色の魔石を見つけて俺達を呼んでくれ。くれぐれも!不用意に触らないように。」
色を指定した紙をファレルとカイキに渡す。その紙を受け取りながらファレルが恐る恐る尋ねてきた。
「・・・もし、触ったりしたらどうなるんですか?」
その言葉に、ガッツリ言う。
「下手すりゃ死ぬ。」
「「え゛!!?」」
リイン達も驚いていた。
「それだけ危険なんだ。不用意に触って魔石の魔力が膨張して爆発したり、その人に逆流したり・・・だから専門の鉱夫がいるし加工師がいる。魔導士でも魔石について素人なら触らない方がいい。レイは科学者だから問題ない。」
「うん。鉱山来たのは初めてだけど加工したことが無いわけじゃないし採掘の仕方は分かるしね。任せてよ。」
レイのその言葉に、皆関心していた。
「それじゃ、レイ達は東側頼む。俺らは西側、それぞれ五つずつぐらいあれば充分だから集まったらまたここに集合な。」
言いながら俺の足元を指差す。それを見て皆頷く。
「それじゃあまた後で。」
「気をつけてな、何かあったら念話頼む。」
そう言ってそれぞれ別れた。
この先に、待つものが何かも知らずに・・・・・・
◇◇◇




