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創世のソード・ブレイカー  作者: 柚木りん
第七章 ルイス《光》とリヒト《闇》
55/70

○ 険しい道のり ○


◇◇◇



奴隷市場での一件で破壊者(ブレイカー)と判明したユウキを新たに仲間にし、次なる目的地『リュー』に向けて進んでいた俺達だが・・・




「・・・なっんでこんなとこ行かなきゃならないんですか~~~!!!」




ファレルの叫びが辺りに響く・・・





俺達は今、断崖絶壁な細い道を歩いていた。



「しょうがないだろ、魔物もいなさそうでリューまでの近い道がここだけだったんだから・・・」

「遠回りでいいので歩きやすい道が良かったです。」




ファレルの言葉にリイン達もウンウンと頷いていた。



さすがに無理させすぎたかな・・・でもあまり時間もかけていられないんだ・・・



「あ~あ、人間ってのは可哀想だなぁ~!」



フヨフヨ優雅に飛んでいるクロウを、ファレルはガッ!と鷲掴みした。



「・・・またタクシーになってくれてもいいんですよ?(にっこり)」

「・・・すんません。」



黒ファレル発動・・・



騒ぎながらも慎重に進み続ける中、キリヤが尋ねる。



「・・・ふぅ、ユウキ君はどこまで行ったんだろう・・・?」

「そうだな、そろそろ戻るとは思うけど・・・」



ユウキは今、あの身体能力の高さから索敵を買って出てくれた。まだ武具を扱いきれてはいないが、それでもとても身軽に進んで行った。



「・・・あ、帰ってきたよ。」



カイキが先に気づき、その視線の先に皆も目を向ける。

すると息も切らさず軽々と飛んで来るユウキがいた。




「ただいま。まだこの辺りいたんだ。」

「おかえり、お前みたいに身軽じゃないからな・・・」



早く進みたい・・・けれど魔力も体力も温存したいのでスピードを上げるに上げられないのだ。だから危険でも近道を進むしかない・・・



「それで、どうだった?」

「この先に潰れた町があったよ、荒れてるけどそこなら休めると思う。ここまでで魔物もいなかった・・・けど・・・」



急に言い淀むユウキに嫌な予感がした・・・



「おい・・・どうした?」

「・・・ごめん、面倒なの連れてきた。」

「は!?」



すると、何やらユウキの後ろから不穏な足音が響いてきた。



「・・・なんか、大量に来てない?」



リインが呟く。その直後、それらの正体が判明したのだった。




「うぉらー!金目(かねめ)の物置いていけーー!!」

「食いもんと武器も出しやがれ!!」




数にして十名ほど、いわゆる『野盗』と呼ばれる者達だった。



「・・・いやここで!?ちょっと場所考えてくれません!?」

「知るかンなもん!こっちも生きるのに必死なんだよ!」

「・・・人里行った方が安全に生きられると思うが?」

「行けねーんだよ!!ずっと外で暮らしてていつの間にかバケモンが増えて・・・ようやくこの辺まで逃げてやってきたが食料も尽きて、人も通らねーわで死にかけてたんだ!どうにかしやがれ!!!」

「八つ当たりかよ。」



まるで漫才のような言い争いはしばらく続いた。



「ということで・・・どうしよ。」



ユウキは考えるのを諦めたようだ・・・



「・・・ホントにめんどうだな・・・」



少し考えてたら、先頭の男が再び叫ぶ。



「おぅおぅ!とっとと出すもん出せよ!!命までは取らねーっての!」



持っていたバットのようなものを突き出しながら男は叫ぶ。

野盗達の姿を見てから、俺は一つ聞いてみた。



「・・・お前等、町まで護衛すれば大人しくするか?」



野盗達はここまで魔物から逃げ切り生き残っている。体格も良いし仕事を与えれば結構役立つのでは?と思ったのだが・・・



「護衛だぁ~・・・?」

「そんなのプライドが許すわけねぇだろ!?」

「守られるなんて有り得ねぇ!奪ってなんぼだろ!!」




今の言葉でさすがにカッチーンときてしまったので、ちょっと灸を据えることにした。




──── ガキン!! ────



ソードブレイカー(レッカ)を発動し、一太刀で野盗達が持っている武器を切り刻んだのだ。



「・・・はぇ?」



男達は驚きすぎて変な声が出てしまった。



「・・・もう一度言う、町まで護衛してやる。だからその後は仕事して真っ当に生きろ。」



圧をかけながら話す。その姿に男達は一瞬で怯え凍りついていた。



「「は、はいぃぃぃ!!!」」



剣を鞘に収めていると、ファレルが機嫌悪くしながら尋ねてきた。



「・・・護衛って・・・こいつらも途中まで連れていく気ですか?」

「いや、こいつらはサラベラに俺一人で連れていく。あそこなら悪いようにはしないだろ。お前等は先にユウキが見つけた場所まで進んでてくれ、幸い飛ばせば今日中に戻れる距離だしな。」



その言葉を聞いて、皆驚いていた。



「って、一人で戻る気なの!?さすがにそれは大変なんじゃ・・・」

「皆で行った方が安全じゃない?」

「・・・というか、なんで()()んですか?距離を考えると進んだ方が近いのでは・・・」

「・・・他の地がこいつらを受け入れるとは限らねぇし、こいつら自身ちゃんとするか分かんねぇ。その点サラベラなら皆で見張ってくれるし仕事も山ほどあるしな。更生させるならあそこ以外他ないよ。あと、皆で戻るよりは少しでも進んでた方がいいだろ。俺ならすぐ飛べるしな。」



その言葉でようやく皆納得してくれた。ファレルはまだ、機嫌悪そうだけど・・・



「ユウキ、皆頼む。そこで合流しよう。」

「あ、うん・・・分かった。」



そうして俺は(ブレード)を沢山顕現させ乱暴に男達を運んで飛んだ。



「ちょお!落ちる!!!」

「既に死にそうだぞ~~!!!」




男達の叫び声はみるみる離れていった・・・





「大丈夫かな・・・」

「・・・ルイスがああ言った以上、進むしかないでしょう。行きましょう。」



こうしてファレル達も進み始めたのだった・・・













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