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創世のソード・ブレイカー  作者: 柚木りん
第六章 新たなる地へ
52/70

● 新たなる歩み ●


「・・・全く意味わかんないんだが?」



ルイスの言葉を素直に受け入れられなかった。



「言葉の通りだよ。ファレルは霊力も持ってるし破壊者(ブレイカー)の力も攻撃系じゃないしな。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

「え・・・」



思わぬ言葉にファレルは固まってしまう。



「・・・さっきの話聞いてると、ファレル以外に騒いでないのがおかしいからな。魔力探知したのも、俺だけだったし。他の奴等の記憶かなんかを消したんじゃないのか?」

「・・・やっぱりルイスもそう思う?あの時、敵が倒れた瞬間リインは『あれ!いつの間にか倒れてる!!』って言ったんだ・・・他の皆もそれに驚いていたみたいで・・・肝心のレイは他に気づかれないように俺に『シィー・・・』って人差し指口に当てて言うから聞くに聞けなくて・・・って結局ここで言ってるけどーー!!!」



あ゛---!!!と頭をガジガジするファレル。



「・・・あんまり一人で抱え込んでるとハゲるぞ?」

「ハゲないよ!!!」



今度はハァーーー・・・っと深いため息をするファレル。そして膝を抱えて寂しそうに言うのだった。



「・・・レイは、俺の記憶も消すつもりだったのかな・・・破壊者(ブレイカー)って知られるのそんなにイヤなのか・・・?」



うなだれるファレル。そんな彼にルイスは後ろの扉を見ながら言う。



「・・・まぁそれは、本人に聞いてみたらどうだ?」

「え・・・・・・?」



ファレルに後ろを見ろと顎をクイッと動かして指示する。

それを受けてファレルも恐る恐るルイスの視線の先に目を向ける。










扉の、向こうに・・・

聞く者あり・・・・・・






「・・・・・・」



静かにたたずむその者はルイス達の会話を聞いていた。




「やっぱあの二人には効かないか・・・」



聞いていたのは、レイだった。




「・・・どうしようかなぁ・・・・・・」



これからどうしようか思案していると、また新たな影がレイの前に現れた。



『・・・・・・!(にこ!)』

「ん!?」



その影はいきなり飛びつき、扉にもたれかかっていたレイはそのまま後ろに傾き、おまけに・・・




—————— ガチャ・・・ ——————



「え゛。」



なぜか、()()()()()()()()()()()






・・・ドサァ!!・・・



()ぅっ・・・!!!」




盛大に押し倒されたレイは頭を押さえて苦い顔をしていた。





「っ!?レイ・・・と、レッカ!!?」

「おーど派手な登場だなぁーお疲れレッカ。」




ファレルは盗み聞きしていたレイに驚いていたが、そこにレッカまでいたことにさらに驚いていた。そして即ルイスに向き直り胸ぐらを掴んでくる。



「・・・てかアンタ(居るの)知ってたんですか・・・!?」

「レッカが反応したしな、あいつ人の子大好きっこだから。」



どうやらレッカは一早くレイの存在に気付き壁を通り抜けてレイに抱きついたようだ。体は幽体のような存在だから出来る技だ・・・








「んじゃ、もうバレちゃったしレイも()()()に参加しようかー!」



笑顔でちょいちょいと手招きするルイス。それを受けレイは頭を掻きながらゆっくりと体を起こしルイス達の方に近づいていく。

レッカはレイが立ち上がってもずっと首元に抱き着きながら飛んでいた・・・



「・・・ま、気づかれてるとは思ってたけど・・・まずこの子何者?」



近づきながらレッカに指さしながらルイスに尋ねるレイ。会ったのはあの洗脳中の戦闘時だけだったか・・・考えながらルイスは答える。



「あぁ、ちゃんと説明したことは無かったっけ?名はレッカ、ソードブレイカーの本体でうちの大事な相棒です。」

「レッカはよく抱き着いてきますが、ただ人が好きなだけらしいです。」



ルイスとファレルのざっくりな説明を受け、レッカ本人は笑顔でうんうんと頷いている。レイは少し、拍子抜けした感じだった。



「・・・ハハ、やっぱ君達面白いね。」



そうして二人の前に座ったレイ。ようやくレッカもルイス達の方に戻って来た。




「・・・・・・ハァ・・・」




少し間をおいて、話始めたレイ。




「・・・俺が破壊者(ブレイカー)って事は、黙っててくれると助かるんだけど。」



ようやくまじめな話になった。



「・・・どうして隠さなきゃいけないんですか?むしろ心強よいものだと思うのですが・・・」



ファレルは気になっていた事を尋ねた。しかしファレルは首を横に振るう。



「・・・君達も、大切な人を失ったことがあるなら分かるんじゃないかな?」




「「!!」」




レイは過去に思いをはせるように、目を伏せた・・・・・・






◆◆◆




—————— それはずっとずっと昔、まだカイキがほんとに小さい時だ・・・小さな村で家族で過ごしていた。あの時にはまだ、カイキの母親・・・俺の妻がまだ生きていたんだ・・・ ——————




「・・・最近魔物増えてきたわね・・・この子が大きくなる頃には、平穏に暮らせる世の中だと良いのだけれど・・・」

「・・・どうかな、発生する原因もまだよく分かってないし、元を絶たないとどうにもならない気がする・・・」




—————— その頃はまだ俺はただの魔導士で、魔物の調査もあまり進んでいなかった。家族を守りながら生きるのに必死だったんだ・・・・・・ ——————



「大丈夫よ・・・皆で力を合わせれば、いつか・・・きっと・・・」

「・・・そうだね・・・」



—————— 家族と過ごせる小さな幸せ・・・それだけでよかった・・・けどある日、あの事件が起こった・・・ ——————



「キャアアァァァ!!」

「助け・・・!!」



—————— 突如として、村は魔物の大群に襲われた。原因は不明だった・・・見たことない魔物、大小さまざまな魔物が村に押し寄せてきたんだ・・・ ——————




「っ!なんでこんなに魔物が・・・!!!」




—————— 逃げ惑う人々に押し流され、彼女と引き離されてしまった・・・ ——————



「ぐっ・・・頼む、通してくれ・・・!!」

「私はいい!カイキをお願い・・・!!!」



—————— 彼女は自分よりも息子の身を案じていた。当たり前だ、実の母親なんだから・・・俺は今使える魔法で精一杯応戦していたが、魔物は一瞬怯むだけで倒すには至らなかった・・・『・・・力が欲しい・・・』あの時初めて心の底から思ったよ・・・ ——————



「・・・やめてくれ・・・」




—————— 目の前で彼女に群がる魔物達を、心底憎んだ・・・体の奥からどす黒いものが沸き上がってくるのを感じたんだ・・・ ——————




「やめろーーーーーーーーー!!!!!!!」





◆◆◆



「「・・・・・・」」




ルイスもファレルも、言葉が出なかった。




「・・・破壊者(ブレイカー)として覚醒したのはその時だよ。魔力が膨張し一瞬で魔物を灰にしたんだ・・・村中に溢れたすべての魔物をね・・・」



静かに語るレイに、ルイスは尋ねた。



「・・・彼女は・・・どうなったんだ?」


「・・・消え去った魔物の灰に埋もれる形で眠っていた・・・体にはたくさんの歯形もあったよ・・・・・・」




話を聞く限り、レイの彼女は魔物によって殺害されている。しかし、レイは長年自分を責めているんだ・・・・・・



「・・・それはレイのせいでは・・・」



そのことをファレルは言おうとしたがレイは否定した。



「俺のせいじゃないってどうして言える!?覚醒した衝撃で彼女にも影響したかもしれない、もう少し早く目覚めれば傷すらつけずに助けられたかもしれない・・・結局は俺が原因なんだよ・・・・・・」



レイは両手で顔を覆った。




「そのこと、カイキは・・・?」

「・・・」



ルイスの質問に頭を横に振るレイ。



「・・・もともと幼かったからそもそも覚えていないだろうけど、俺が記憶を封印してる。()()()()()()()()()()()()()()()()になっている・・・おそらくその影響で、心が不安定になってるんだろう・・・。」


「そういう事か・・・」



サグで起こったカイキの状態について納得したルイス。




「・・・その後彼女を埋葬してカイキと村を出たんだ・・・ある程度魔法が使えるようになるまで隠れてひっそりと暮らし、カイキが戦えるようになってからは魔物を調べる事を名目に補助に徹しあとは君達が知る通りだよ・・・」



「そうか・・・」



俯いたまま話すレイ、レッカは慰めるようにレイの頭をそっと撫でていた。

ルイスは少し思案してから口を開く。



「・・・事情は理解した、しかしこのままで良いと思ってんのか?」

「・・・え?」



レイの肩を掴んで話すルイスに驚いていた。



「カイキはもう子供じゃない・・・いや子供だけど、自分で考えて行動出来るやつだ。いずれは気づいてしまうぞ?それに、もう守られるだけの存在じゃないだろ?アイツは。」



「!」



それを聞いて、レイは目が覚めたようだった。



「そう・・・だよね・・・自分で戦いに巻き込んどいて・・・何やってんだろ・・・」



レイはしばらく考えてからまた口を開いた。



「・・・ねぇ、まだ次の移動先は決まってないの?」

「ん?あぁ・・・直線距離ならここは政府に近いが、まだ攻め込む時じゃないし、キリヤの身体があるとは限らないしキリヤ自身反応無いしな。周りながら地道に・・・」

「だったら・・・!」



突如、レイが話を遮った。



「・・・行きたい所が、あるんだけど・・・」





◇◇◇




「これで良し!」



レゾルトは書いていた書類をトントンと束ね、一息つく。



「これでようやく身元と住所は確認終わったぞ、何人かはここに残ってもらって彼等にも手伝ってもらってあとは・・・」



ブツブツと言いながら考え事をしているレゾルト。すると、その部屋の扉が開いた。



「あれ?レーさん一人だけ?」



ゾロゾロと入って来た内の先頭の一人が開口一番そう尋ねた。聞いたのはカイキだった。



「・・・なんだその呼び方は・・・部下達は休んでるよ、今は被害者達を家へ帰す為の準備をしていたんだよ・・・あぁ、手当てに片付けにありがとうね。」




カイキの後ろに並んで入って来ていたリイン達にレゾルトは声をかけた。




「あ、いえ!好きでやってるだけですし!」

「はい、やれる事をやってるだけですから。」


「ほんとにありがとう・・・」




改めてレイを言うレゾルト。そしてカイキも口を開く。



「こっちの方が機嫌損ねない呼び方かなぁーって!」

「・・・もう好きにしろ・・・」




はぁ・・・っとため息をつくレゾルト。



「・・・ようやく身元確認が終わったんだ、何人かは既に故郷を失っていたからこの町に残ってもらうことになるんだが、ほとんどは家に帰せそうだよ・・・ゲイルさん達に手伝ってもらう事になりそうだがね。」




頭をガリガリ掻きながら話すレゾルトだが、少しホッとしたような顔をしていた。

そして思い出したかのようにハッとして顔を上げる。



「・・・って、そういえばルイス達はどうした?一緒じゃないのか?」

「あぁー多分・・・まだ作業中だと思います・・・」



上を指さしながら話すリイン。それを見てレゾルトもあぁー・・・と納得していた。




カイキが一言。「ファレル達も一緒なのかなぁ・・・」

キリヤが続く。「そういえば居なかったね、そのうち一緒に来るんじゃない?」



そんな話をしていると、ほんとに後ろから噂のメンバーがやって来た。



「ただいまぁー・・・」

「ふぅ・・・」



後ろからルイスやファレル、レイまでも一緒に現れたのだ。



「あれ、父さんも一緒!?」

「ま、ね・・・」




少し元気の無いレイを気にするカイキ。そしてリインもファレルの事が気になった。



「あれ・・・なんか荷物変わってる・・・?」

「あぁ・・・これはですね・・・」





◇◇◇



~遡ること少し前~



「ファレル、武器まとめないか?」

「・・・はい?」



いきなり何を・・・と言わんばかりの顔で振り返るファレル。ルイスはそのまま話を続けた。



「お前武器増えていってるからな・・・手荷物多いと思ってた。」

「まあ・・・」



確かに・・・って顔をしたファレル。



「でもどちらも貰い物・・・と言うか弓矢は形見だし、傷は・・・つけたくない。」



弓を手に取り真剣に見つめるファレル、その手にルイスはそっと触れる。



「・・・大丈夫、傷はつけない。この武器は魔力を蓄えてるしお前の魔力とイメージ、そして俺の力で新たな姿に生まれ変われる。お前に合う形になれるよ。」


「新たな・・・形・・・・・・」




◇◇◇



そうして皆の前に新たな武器を見せるファレル。



「・・・バングルと弓矢と剣と、俺の力を合わせて一つにしてもらったんです。まぁ、手持ちは楽になりましたね。」



少し冗談めかして言うファレルに、カイキ達は興奮しながら聞いていた。



「すげー!なんかカッコイイ形になってる!」

「凄い・・・双刃剣(ダブルセイバー)・・・?でも少し曲がってる?」

「ブーメランみたいな感じ・・・?あ、持つとこは真ん中か。」



・・・武器オタクなのか皆興味津々だ。

ルイスが追加で説明する。



「さっきリインが言ったみたいに基本は双刃剣(ダブルセイバー)だ、接近タイプ。杖みたいに振ることで今までみたいな結界(シールド)が出せる。弓を引く動作をすることで弦と矢が現れる仕組みだ、魔力で作られる。今まで以上に魔力配分は難しいだろうが、今のファレルなら十分に戦えるだろう。少し形が弓よりなのは、アイラさんの形見だからだろう?」

「・・・えぇ。」



武器を握りしめながら見つめるファレル、その表情は少し寂しげなようでいて決意に満ちているようにも見える。



「・・・まぁ、これからはもう少し攻めますよ。」



そして顔を上げてニッと笑うファレル。

それを見て、皆もやる気に満ちていた。



その後ルイスは向き直りユウキに新たな武具を渡す。



「んで、こっちはユウキの分!あの戦闘スタイルから籠手にした。足用も一応作ったけど・・・魔力を込めてあとは好きに戦うだけ、簡単な仕様だからお前でも使えると思うよ?」

「お、おう・・・」



自分のが用意されていると思ってなかったのか少し驚いているようだった。



ユウキが武具を受け取りながら確認していると、その光景を見つめながらルイスは尋ねた。



「・・・ほんとにいいんだな?俺達と一緒で。」




何度も確認した言葉、ルイスはせっかく自由になったユウキの時間をまた縛ってしまってもいいものかとずっと気にしていたのだ。しかし、ユウキもまた同じことを言う。



「くどい、何度言われても拒否ってもついて行くよ。もうずっと前から決めてたから。」



それを聞いてルイスはようやく決心したようだった。



「・・・フハッ・・・分かったよ。んじゃ、実戦でそれを慣らしていこうか!」

「っ!あぁ!!」




頭を撫でながら話すルイスに対し、誰から見てもハッキリと分かる嬉しそうな顔でユウキは応えたのだった。








「話は終わったか?揃ったならそろそろ食事にしないだろうか、別室に用意されているぞ。」



合間を見計らって教えてくれたレゾルト。ずっと切り出すタイミングを待ってたらしい・・・



「お、ご飯~!」

「コラ、カイキ!走らない!」



食事と聞いてはしゃいで部屋を出るカイキに注意するレイ。



「そういえばお腹減ったね―、何かな?」

「いい匂いがここまでしてきた~♪」



次いでリイン達も部屋を後にする。



「・・・ゲイルにもあとで話しておくんだぞ?」

「分かってる。」



ルイスは部屋を出ながらユウキに告げるのだった。




◇◇◇




「ユウちゃん見てみて!皆綺麗にカワイくなったワ!!!」



食事が用意されている部屋に入るやいなや、ゲイルがくい気味に報告してきた。




「お、おう。」



いきなりすぎて驚いてしまいユウキは上手く返事が出来なかった。



ゲイルが指し示すその後ろには、治療を終えた被害者の女性達が集まっていた。確かに身だしなみも綺麗に整えられていたが、何故か皆顔を赤くし目を合わせないようにしている・・・




「・・・お前、何かしたか・・・?」

「や~ねぇ~、可愛くするお手伝いしただけじゃない!」



ルイスの問いに答えるゲイルは自分の顔に手を添えながら上機嫌に言う。



「・・・慣れてないんだろうから手加減してやれよ・・・」



どうやら彼女達はゲイルの()()()()が恥ずかしかったようだった・・・






「わぁ―!美味しそう!!」

「これ食べていいんですか!?」




リイン達は並べられている食事を見て興奮していた。



「あぁどうぞ、好きなだけ食べてくれ!」



レゾルトの言葉で、皆一斉に食事に手をつけ始める。



「いただきマース!」

「がっつかないの!」



カイキが手を合わせたと同時に一気に食べ始めるのでレイが制止していた。

皆も各々手をつけ始める。



「・・・美味しい・・・です。」

「・・・!!」



彼女達もゆっくり食べ進めていた。

皆食事に舌鼓を打ちつつ会話に花を咲かせていた。そんな中、レゾルトはルイスに話をする。



「・・・本当に感謝しているよ。彼女達を助けてくれて・・・我々だけではどうにも出来なかった・・・」

「・・・結局町の連中皆で突撃してたし、俺ら居なくても大丈夫だったんじゃとは思うがな。」




ルイスはジュースを飲みながら答えた。



「・・・その場合は怪我人、あるいは無意味に死人を増やすだけになっただろうがな・・・」

「・・・そうだな・・・」



楽しそうに食事する皆を眺めながら、話を続ける二人。



「・・・政府に逆らってるけど、大丈夫か?捕まえた奴らの処置も・・・」



その質問に、フッと笑いながらレゾルトは答えた。



「逆らってるから()()に居るんだ。今更恐れるものなどないよ。それに、思った以上に町の皆は強いからな、心も体も・・・捕まえた連中も、皆でなんとかするさ。暫くはコルスさんが手伝ってくれることになったしな。」

「アイツ暫く残るのか、いつの間にそんな話を・・・」

「お前が作業中の時だよ。」

「なるほど・・・」





――――――――――――



ふと、ユウキ達の方に目がいったルイス。どうやらきちんと話をしているようだった・・・



「ルー、オレ・・・ルイス達と一緒に行くから。今までアリガトね、それと、心配かけてごめんなさい・・・」

「・・・何言ってるの・・・ユウちゃんの決めた事なら文句はないし、心配ぐらいさせてよ・・・大事で、大好きな、友達なんだから・・・!」



涙ぐみながらそっと抱きしめるゲイル。その背中に、ユウキもゆっくり腕を回した。



「ルー・・・ありがとう・・・ルーはオレにとって、大事な友達で・・・大好きな家族だよ。」



その言葉を聞いた瞬間、ゲイルは大粒の涙を流した。



「・・・もーー!!ユウちゃんーーー!!!可愛いーーー!アイシテルーーー!!!」



うわぁーんと子供のように泣くゲイルに、クロウがブチ切れていた。



「うるさいぞゲイル!!静かに食え!!!」



その後ゲイルとクロウは少し言い争いをしていたが、そんな光景を皆微笑ましそうに見つめていた・・・




――――――――――――



「これからどうする?次の行き先決まっているのか?」



間を置いて、レゾルトが尋ねてきた。



「・・・あぁ、レイと話してな。回り道する事になった。ユウキも鍛えなきゃだしな。」

「・・・それがいいだろうなぁ・・・こっちから進むのは目を付けられていそうだ・・・」

「そうなんだよな・・・それにキリヤの事もあるから、あちこち回った方がいいんだ。」

「なるほど・・・お前の事だからあまり心配はしていないが・・・どうか気をつけてくれ。何かあったらいつでも言ってくれよ、日頃の礼だ。」

「ありがと、それだけで心強いよ。」





小さな約束を胸に秘め、ルイスは誘う皆の元に戻っていく。

食事会はまるで宴のように楽しく騒がしくて、そうして夜も更けていった・・・・・・





◇◇◇


~次の日~




「それじゃあ行って来るワね!」

「ありがとう、ございました・・・」



被害者のうち数名は遠くの地に帰る家があった為、ゲイルが送って行くことになったのだ。



「行ってらっしゃい。」

「お元気で!」



サラベラの住民も町の外まで見送りに来ていた。



「うん~・・・・・・やっぱり最後にユウちゃんチャージ!!!」

「わっ。」



別れる間際にゲイルはユウキに抱きついてきた。



「さっさと行け!!!」

「ンもぅルイスちゃんのい・け・ず!!」



ぶーぶーと唇を尖らせながらようやくゲイルは彼女達を乗せ飛び立って行ったのだった・・・・・・



「それじゃあ我々も行きましょうか。」

「あ、はい!」

「よろしく、お願いします・・・」



歩いて行ける距離の者達は、レゾルトの部下が送り届ける事になっている。



「ユウキ・・・元気でね。」

「ん、そっちもね。」



同じ被害者同士、軽く手を振り別れの挨拶をして彼女達は旅立って行った・・・









「さて、後はお前達だけだぞ?」

「目的地は決まっているのか・・・?」



レゾルトとコルスがルイス達の方に向き直り、次の行き先について尋ねてくる。



「あぁ、ちょっと遠いが『リュー』に行こうと思ってな。」

「「リュー?」」



レゾルトとコルスは同時に聞き返していたが、瞬時にコルスは察したのだった。



「あぁ・・・()()()()()()()()()()()()()()()・・・」

「・・・そゆこと。」



ルイスは目を閉じながら小さく頷いて答えた。その話を聞いたカイキは困惑した表情でレイを見つめていた・・・



「・・・どういう・・・こと?」

「・・・・・・言わなきゃいけない事が、あるからさ。」



レイは寂しく笑う・・・





ルイスはファレル達の方に向き直り、話始めた。



「さっきも言った通り、リューまでは距離がある。その間で寄り道もするだろうし戦闘もあるだろう。辿り着くまでに、ユウキを戦力に加えられるよう皆も協力してくれ。」



それを聞いて、ユウキはより一層やる気に満ちていた。



「スグに戦えるようになってみせる。あんたらに、早く追いつきたいから。」



自分の前で両手で握りこぶしを作って気を引き締めていた。



「俺も・・・新しい武器、早く使いこなせなきゃいけませんね。」



ファレルもまた、新たな決意で前を見据えていた。



「私達も!!」

「頑張らないと、だね!!」



リインとキリヤも互いに見つめ合い意気込みを述べていた。



「フワァ~・・・」



クロウはルイスのフードの中で丸まって寝ていた。






「それじゃあコルス、レゾルト。後は任せた。何かあったらまたよろしく!」




ルイスは再びコルスとレゾルトの方に向き直り、挨拶をする。



「・・・いつもの事だろ・・・行ってこい。」

「こっちこそ今回は本当に助かった!我々で出来ることがあればいつでも言ってくれ。力になるぞ!」






こうして笑顔で町を後にしたルイス達、サラベラの皆も姿が見えなくなるまでずっと手を降っていたのだった。




「良い人達でしたね・・・本当に。そして強かった。」

「あれこそ光に溢れた町なんじゃないかな。心が強いからどんな悪にも立ち向かって行ける。」



ファレルとレイが、しみじみ語っていた。



「・・・あの町は政府に反感を持つ者達が追いやられて集まった場所だ・・・逆に言えば、俺達にとって味方の場所。政府が目をつけてはいるが、それでも心強いよ・・・」



ルイスの話を聞きながらレッカは人の姿になり、飛びながらルイスをそっと抱きしめるのだった。



「守らなきゃ・・・助けなきゃ・・・これ以上苦しむ人を増やさないために・・・!」



リインの言葉で、皆気を引き締める。

見つめる先は、皆同じ・・・・・・




「さぁ、行こうか!!」


「「おう!!」」





◇◇◇

































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