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創世のソード・ブレイカー  作者: 柚木りん
第六章 新たなる地へ
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番外編 ひと時の休息

ファレルメインの話です、まだ次にも視点代わり少し続きます。



◇◇◇



奴隷市場の事件から数刻経った・・・



あれからサラベラ住民皆で政府軍や加害者の男達を署に連行、被害者の女性達を治療するためサラベラの一角にある大きい建物に連れて行った。

まだ人々の行き来が盛んな時、そこは宿酒場を営んでいたらしい。これならゆっくり休めることだろう。



「皆手当済んだー?痛いとこあったら言ってねー!」



彼女達の手当てをリインが手伝っている。リインが居れば、彼女達も不安は無くなるだろう。



「キリヤ君こっち手伝ってくれ!」

「あ、はい!」



キリヤは資材運びを手伝っている。あのガタイだ、普通の人より重い物は運びやすいだろう・・・無理しすぎなければいいが。



「フッ!ハァ!!」

「ッ!!!」



カイキとユウキは早速組み手をしている、ユウキに至っては手当てが終わったばっかりだろうに・・・元気だなぁ・・・



「お前・・・なかなかやるな・・・それだけ出来るなら自分で逃げ出せただろう・・・なんでルイスの事待ってたんだよ・・・」(ハァー・・・ハァー・・・)



息を切らせながら尋ねるカイキ。ユウキは汗をぬぐいながら冷静に答えた。



「・・・オレだけならな。けど他にも捕まってるやつらがいた。あいつらを守りながらオレ一人で逃がすのは無理だったから・・・」

「・・・・・・なんか俺とおんなじ位なのにクールでむかつく。もう一本だ!!!」

「ハァ!!?」




・・・仲が良さそうでなにより・・・?



「あぁ・・・眼福・・・推しがじゃれてる・・・(ホワァ)」

「・・・お前いろんな意味で大丈夫か・・・?」



そんなカイキとユウキの様子をクロウとゲイルさんが見守っていた。








そういえば・・・レイの姿が見当たらないな・・・今の内なら聞ける・・・か?






◇◇◇



「・・・ハハッ、皆元気だな。」



ルイスは署の屋上で一人、町の様子を眺めながら作業していた。ユウキの武具を製作していたのだ。『一人の方が集中できるから』とのことだ。



で、そういう俺はというと・・・




「うーん・・・・・・どうするかなぁ・・・・・・」



屋上に続く扉の前で悩んでいた。市場の地下で起きた出来事を、ルイスに言うべきか迷っていたのだ。



「そもそも本人がいない時にその人の話をするのもどうかと・・・」(ブツブツ・・・)



一人悶々と考え込んでいると、扉の奥から声が飛んで来る・・・




『何ブツブツ言ってんだファレル!こっち来いよ!』



最初から気づかれていたらしい・・・



- ガチャ -



「・・・やっぱバレてたか・・・」

「お前ら俺が龍って事忘れてないか・・・?この距離なら匂いで分かるし、それになんか黒いオーラ駄々もれだったぞ?」

「はあっ!!?」



え、俺そんななんか出てた!?

思わず自分を確認してしまう。



「ま、とにかくなんか言いたいことあったんだろ?話してみろよ、悩むぐらいなら。」



ここに座れよと言うように自分の隣の空いている場所をトントン叩くルイス。

少しためらって、俺はゆっくり座った。

座ったのを確認したルイスはまた作業を始めながら、俺が話すのを待ってくれていた。



「・・・・・・」



まだ少し悩んだけど、意を決して話すことにした。



「レイの・・・ことなんだけど・・・」

「!」



ルイスは少し、驚いた表情をしていた。





◇◇◇



少しずつ、地下であったことを思い出しながらゆっくり話す。




「・・・あの地下で、奴隷達は牢獄に囚われていた。助け出そうとした時に、政府軍の奴等や警備が戻って来て・・・こっちは袋小路で追い詰められていってたんだ・・・」

「あぁ、その残りが(こっち)に来てたんだな?」

「・・・やっぱそっちに行ってたのか・・・」



あの時の事をお互い確認しながら話を進めていく。






「相手は魔物も連れていて、こっちは場所も狭く被害者を守りながら攻めに出るには余裕がない状態だったんだけど・・・」

「・・・?どうした?」



ついに、あの事を話す。



「レイが・・・倒したんだ。」



一瞬、間があいた。



「へぇ?魔力戻ってたのか、やっぱ魔導士一人いると助かるな。」



ルイスは笑いながら話すが、俺の様子に気づきもう一度尋ねてきた。



「・・・ホントにどうした?何があった・・・」


「・・・倒したんだよ・・・政府軍も警備も、()()()・・・すべて一人で倒したんだ・・・」


「・・・それだけ聞くなら、ただ単にすごいじゃないかとしか言えないが・・・まだ何かあるのか・・・?」




・・・そう、倒すだけなら誰でも出来るのだ。同じ魔物の素材で出来た武器なら、傷を与えることは出来るし核を破壊すれば倒せる。ただし、()()()()()・・・



「・・・破壊者(ブレイカー)の力で魔物を破壊(はかい)すると、魔物は塵となって消えるだろ?今までの経験上そうだったし、それみたいに武器の素材を集めたい時は発動を解いて普通の武器で戦っていた。違う?」

「・・・まぁ、そうだな。ちゃんと説明したことは無かったっけ?確かに素材欲しい時は発動しないで戦ってるよ。魔物に対抗するには魔物使うのが一番だし、共食いとおんなじ要領かな。ちゃんと浄化したりしてから造ってるけど・・・それがどうした?」



「・・・あの時、レイは氷の技を出したんだ。前にカイキが使った魔法と同じだと思う・・・大きい氷の塊を生みだし、一気に敵を氷漬けにした・・・魔物も氷で串刺しになった・・・ここまでなら、まだ分かる。問題はその後なんだよ・・・」


「あと・・・?」



「・・・消えたんだよ、跡形もなく・・・塵となって消えたんだ・・・」




そう、消えたのだ。串刺しになった魔物は身体にヒビが入り、レイが技を解くと同時に塵となって消えてしまった・・・



「レイは・・・本当は・・・!」



一番気になる事を言おうかした時、ルイスはサラっと答えた。



破壊者(ブレイカー)だろうな。」

「ってあっさり!!」



あまりにもフツーに話すルイスに驚きを隠せない。



「・・・あんな悩んだのに・・・その様子じゃ知っていたのか?」

「戻ってから様子がおかしかったのはそれが原因か・・・少し気になってたからな・・・俺達とレイが初めて会って戦った時、デッカイ火の玉攻撃くらっただろ?・・・()()()()()()()・・・最初は天才だからとかただ単に凄いと思ってたんだけど・・・」

「・・・魔法とかはよく分からないけど・・・違うのか?」



ルイスは頷きながら話を続ける。



「ファレルはさ、破壊者(ブレイカー)と魔導士の違いって何か分かる?あとどうして破壊者(ブレイカー)は武器を持つ人が多いのか・・・」



急に質問され困惑する。



「へぇ!?えっと・・・違いは、破壊(はかい)した魔物の痕跡とか・・・?武器は・・・・・・なんだろ・・・」



考えてみるが答えが出てこない。ルイスは少し笑いながら答えた。



「ま、分かんないのも無理ないさ。お前が考える通りほとんど同じなんだ。破壊(はかい)した後、形が残るかどうかだけ。武器を持って切り替えているのはな、無意識に暴走を抑えているんだよ。」



思わぬ言葉が出てきてつい言葉を挟んでしまった。



「え、暴走・・・?・・・・・・もしかして魔法と破壊者(ブレイカー)の魔力が合わさると、パンクする・・・的なこと?」



俺の答えを聞いたルイスは、目を丸くしていた。



「・・・ホントに察しがいいな・・・だいたいそんな感じだよ。」



そしてルイスのミニ講座が始まった。



「本来一人の器に収まる魔力はそれぞれに決まってる、例えば頭のてっぺんから足の先までぱんぱんに詰まってる・・・みたいな。そんな中破壊者(ブレイカー)として覚醒すれば詰まってる上からさらに魔力を注ぎ込まれるようなものだ。だからパンクして制御不能になる前に自分に合う武器を生みだしそっちに力を分けてるんだよ。」



ルイスの答えに、一つ疑問が生まれた。



「・・・武器って全部手造りなのかと・・・」

「・・・()()()()()()()なんだから自分で生みだした方が手っ取り早いだろ?ユウキの場合は接近タイプみたいだし、一応聞いてみたら獲物の使い方すら分かんない感じだったから武装を造ってるけどな。」

「なるほど・・・確かに・・・」



まさかの破壊者(ブレイカー)の仕組みに驚いてしまう。



「だからレイは洗脳されてたあの時、本来の力を出してたのかなと思った。さっきの市場でも、その戦闘中と思われるときの魔力感じだし・・・でも政府軍はおろか、カイキですら感じ取れてなかったから気のせいかとも思ってたんだ・・・ファレルの話で確信したけど。つまりレイは唯一の、ある意味最強の破壊者(ブレイカー)と言ってもいい存在だろうな。」






なるほど・・・二つの力を合わせ持つ存在・・・そりゃ確かに強いはずだ・・・


ん・・・?待てよ・・・



「あれ・・・なら俺は?」




破壊者(ブレイカー)やレイの事を聞いたうえで、さらに謎が生まれた。なんで俺には武器は無いのだろう・・・いや、今は持っているが俺本来の物じゃないし・・・




するとルイスは指をさしながら答えた。



「そ、ファレルもまた例外なんだよ。お前はレイと似たタイプなんだ。」


「・・・・・・はい?」




・・・謎が謎を呼んだ・・・


















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